2009年12月22日火曜日

診療報酬改定、厚労省と財務省が火花 予算年内決着にも影響か

2009年12月19日 提供:毎日新聞社
診療報酬改定:厚労省と財務省が火花 予算年内決着にも影響か

 ◇厚労省、10年ぶり増額/財務省、財政難で削減
 医療関連予算を巡る厚生労働省と財務省の主張が真っ向から対立している。厚労省は「医療崩壊を食い止めたい」と、10年ぶりの診療報酬全体の増額改定を狙うが、財務省は財政難を理由に診療報酬の削減を要求している。中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)への財政支援を巡っても両省の意見の隔たりは大きく、政府は予定していた週内決着を断念し、週明けに持ち越した。年内の決定を目指す予算編成のスケジュールにも影響を与えそうだ。【佐藤丈一、坂井隆之】
 診療報酬は手術など医師の技術料にあたる「本体」部分と「薬価」の二つの公定価格で構成される。厚労省の政務三役は、薬価を1・37%引き下げて稼いだ原資(5000億円)をすべて本体部分の増額に振り向けて、本体部分を1・73%(6300億円)引き上げ、差し引き(ネット)での診療報酬全体の改定率をプラス0・35%(1300億円)にする戦略をとった。国費負担ベースで300億円の追加にとどめて、財務省の理解を得る作戦だ。
 しかし、財務省は「デフレ状況で医師だけ報酬が増えるのは国民の理解を得られない」と主張。本体部分を最低でも据え置き、薬価をさらに引き下げることで診療報酬全体の減額を求めている。民主党が16日提出した政府への要望では、本体部分の増額を求めたため、財務省は本体部分引き上げは容認姿勢に転じたものの、総額削減は譲っていない。
 財務省が減額を譲らない背景には、加入者の高齢化などで財政が悪化している協会けんぽへの支援問題もある。厚労省は保険料引き上げを抑えるため国庫負担を増やす方針で、必要な財源約1800億円を見込んでいる。財務省はマニフェスト項目でないことを理由に、「診療報酬の削減で財源を捻出(ねんしゅつ)すべきだ」と訴える。1800億円を捻出するには、診療報酬を2%以上引き下げることが必要だ。
 自民党政権時代は、診療報酬は日本医師会と族議員との間で事実上決められてきた。鳩山政権が「政治主導」を掲げ、医師会や族議員の影響力を排除したことで、各省が互いの主張を譲らず事態が迷走する状況になっている。

2009年12月14日月曜日

うつ病100万人超す…10年で2.4倍に

うつ病100万人超す…10年で2.4倍に
2009年12月4日 提供:読売新聞

軽症者の受診増加も一因
 抑うつなどの症状が続くうつ病の患者数(躁(そう)うつ病を含む)が、初めて100万人を超えたことが3日、厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査でわかった。
 長引く不況などが背景とみられる一方、新しい抗うつ薬の登場が患者増につながっていると指摘する声もある。
 患者調査によると、うつ病が大半を占める「気分障害」の患者数は、1996年に43万3000人、99年は44万1000人とほぼ横ばいだったが、2002年調査から71万1000人と急増し、今回の08年調査では、104万1000人に達した。
 10年足らずで2・4倍に急増していることについて、杏林大保健学部の田島治教授(精神科医)は、「うつ病の啓発が進み、軽症者の受診増も一因」と指摘する。
 うつ病患者の増加は、新しいタイプの抗うつ薬が国内でも相次いで発売された時期と重なる。パナソニック健康保険組合予防医療部の冨高辰一郎部長(精神科医)は、「軽症のうつは自然に治るものも多い。しかし日本ではうつを早く発見し、薬を飲めば治るという流れが続いており、本来必要がない人までが、薬物治療を受けている面があるのではないか」と話す。

2010年度は国立の8割が赤字と予測

中央社会保険医療協議会
「大学病院は、国立も私立も死んでいる!」-山形大・嘉山氏
特定機能病院の危機を訴える、2010年度は国立の8割が赤字と予測
2009年12月10日 村山みのり


嘉山孝正氏(山形大学医学部長)
 11月27日の中医協において、委員の嘉山孝正氏(山形大学医学部長)は特定機能病院の現状について、約30分にわたりプレゼンテーションをした。中医協でこうしたヒアリングを行うのは異例のこと。
 嘉山氏は、特定機能病院が担っている医療とそれに必要な人員、収支の実態などについて解説し、「2010年度、8割の大学病院が赤字になる。このままだと大学病院は倒産する。それを避けるためには、特定機能病院の入院料を0.5倍増、DPC係数を1.9にして、2996億円(医療費総額の0.88%に相当)増やすことが必要」と訴えた。(嘉山氏の資料はこちら:『医療の最後の砦の現状』)
 「大学病院の低い人件費でも手術は赤字」
 プレゼンテーションの冒頭で、嘉山氏は日本の医療が世界的に非常に高いレベルであることを紹介。また、特定機能病院が、高難易度の手間のかかる医療を最後の砦として行っている現状について、データを示しつつ、「難しい医療を大学病院が赤字覚悟で背負っている」と強調した。例えば、山形大学では、脳腫瘍の開頭手術でも、患者と話をしながら、言語機能を確認しつつ行う、覚醒下脳手術を実施している。この手術を安全に行うためには、術者、多くの助手、麻酔科医、看護師、臨床工学技士がかかわるほか、学生も臨床実習の一環として参加していると説明した。
 このような手厚い人員配置の一方で、嘉山氏は「ここにお金は一銭もついてない」と指摘。そのため、多くのスタッフが関わることにより不採算・赤字となる。例えば、頭蓋内脳腫瘍摘出術の手術料は、8万2000点(82万円)。一方、機器使用料、人件費、消耗治療材料を合わせると、97万8013円。これは、大学病院の低い人件費で見積もった数字だが、それでも15万8013円(19.3%)の赤字になると試算した。
 通常の病院では、これほど難しい手術は行わないため、スタッフ数はより少なく済みながら同じ医療費になるとの実態があり、それが大学病院の問題として強調すべきことの一つだという。「低賃金長時間労働」の実態も大きな問題だとした。
 「大学病院の医師の人件費は医療費で賄われていない」
 2008年度の医療費の施設別割合を見ると、特定機能病院は全体の4.6%、1.57兆円となっている。しかし、嘉山氏は「実際はこの金額でやっているわけではない」と指摘する。大学病院の医師は文部教官であり、人件費は医療費ではなく、文部科学省による補助金等で賄われているためだ。例えば、東京大学病院の医療費の半分近くは補助金だったという。しかし、2004年度の国立大学の法人化により、この補助金が大幅に削減されたため、「大学がほとんど崩壊している」という。
 運営費交付金は、国立大学附属病院全体で2004年度は584億円だったが、2009年度は207億円にまで減少。法人化当初、大学病院の診療報酬収入を2%上げ、その代わりに交付金を減らす計画が立てられたが、実際には減額が増益をはるかに上回っており、国立大学法人は2009年度予算全体で197億円の赤字。私立医科大学についても、2008年度決算で80億円の赤字となっている。
 嘉山氏は「大学病院は、国立も私立ももう死んでいる。赤字部分は、大学本体からも補填している。私も病院長として様々な改革を行ったが、もうその限界を超えた。患者数もついに減った。ここまで大学は追い込まれている」と危機を訴える。また、同時に大学病院の建物について、スタッフが働いて得た医療費で借金を返しているとの実態にも触れ、「全部で1兆円の借金がある。財務省は、『大学病院は教育だ』と言うのならば、これを払うべきだ」と主張した。
 「約3000億円あれば、大学病院の窮状をなんとかできる」
嘉山氏資料より
 大学病院の財政状況のデータから、嘉山氏は「2010年度、8割の国立大学病院が赤字になる。現在大学は法人化されているので、不渡り手形を出すことになる。このままでは大学病院は倒産する。このような状況にあるのは、我々が大学で不採算部門をやってきた結果であり、良い悪いではなく、それが実態」と警鐘を鳴らす。
 この対応策として、嘉山氏は「大学病院が健全に医療費で自立するために、特定機能病院の入院料を0.5倍増、DPC係数を1.9にして、2996億円(医療費総額の0.88%に相当)増やせば、大学病院は何とかやっていける」と試算。「このような対策を講じずに“最後の砦”である大学病院が崩壊すると、医療難民が発生する。今日お話ししたこともデータ、エビデンスに基づいたもの。ここできちんと議論しなければならない」と主張した。
 最後に、嘉山氏は「今でも医療機関で医療費以外の税金を使っている部分はある。大学病院には文部科学省が、自治体病院には市町村がお金を投入してやっている。しかし、医療機関の健全な経営のためには、医療費で自立できるようにすることが重要だ」と結んだ。

2009年11月26日木曜日

インフルエンザワクチンについて

インフルエンザワクチンについてhttp://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.htm
インフルエンザワクチンhttp://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090828-02.pdf
インフルエンザワクチンは効果があるのかhttp://netti.seesaa.net/article/1660731.html
院震えんなワクチンは有効だが無用http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/seijinbyou/148infuruenzawakutinn.htm

2009年11月16日月曜日

健康な歯の価値、100万円

歯:健康な歯の価値、100万円--入れ歯5本以上の人調査 
健康な歯の価値は100万円弱--。
医薬品メーカー、グラクソ・スミスクライン(本社・東京都渋谷区)が、5本以上の入れ歯を使っている人を対象に、インターネットで入れ歯に関する実態調査をしたところ、こんな結果が出た。
 同社は今年8月、インターネットモニター600人を対象に「自分の歯をすべて健康な歯に替えられるとしたら、いくらまで支払いますか」という質問をした。
 その結果、100万円までの費用を示した人が18.8%とトップで、50万円まで(16.2%)、10万円まで(11.7%)と続き、1000万円までと1000万円以上が各0.2%いた。
 また、「入れ歯のままで十分」と答えた人(24.5%)を除いた平均は96万円となり、一般的な入れ歯の平均的な購入費15万~25万円の約4~6倍となった。
 同社は「健康な歯でいられることの価値を再認識する結果になった」としている。【石塚孝志】
毎日新聞 2009年11月13日 東京朝刊


http://mainichi.jp/life/health/news/20091113ddm013100149000c.html

2009年11月11日水曜日

行政刷新会議ワーキンググループ日程・ライブ中継サイト

http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/live.html

 明日(11月11日)から、行政刷新会議による「事業仕分け」が始まります。民主党政権が掲げる、税金の「ムダの排除」を実現するための手法です。
 概要は行政刷新会議のホームページに記載されています。各省庁が管轄する事業を計3つのグループに分けて実施。スケジュールは11月11日から17日までが第一弾、24日から27日までが第二弾。厚生労働省管轄は「第2グループ」で、まず11日に予定されています(PDF:16KB)。作業は公開で、インターネットでも同時中継(中継サイトはこちら)されます。

2009年10月20日火曜日

オンライン請求5割超える

オンライン請求5割超える 9月請求分、支払基金2009年10月19日 提供:Japan Medicine(じほう)
 社会保険診療報酬支払基金は、9月請求分のレセプト総件数に占めるオンライン請求の割合が50.6%で5割を超えたと発表した。電子媒体による請求の割合は14.7%、紙レセプトによる請求は34.7%だった。
 また、医科診療所のオンライン請求の割合は16.0%、電子媒体は34.9%で、電子レセプトによる請求の割合は50.9%に達した。400床以上の病院はオンライン請求が98.0%、400床未満の病院は電子レセプトによる請求が88.7%、調剤では電子レセプトによる割合が99.7%だった。
 
Copyright (C) 2009 株式会社じほう

2009年10月9日金曜日

大酒の女性に多い乳がん 閉経後、週7合で1・74倍

2009年10月6日 提供:共同通信社

 酒を多く飲む女性ほど乳がんになりやすい傾向にあることを、愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の川瀬孝和(かわせ・たかかず)主任研究員らが6日までに確かめた。閉経後の女性では、1週間に日本酒換算で7合以上飲んでいると、発症率は全く飲まない人の1・74倍だった。
 乳がんは女性で最も多いがんで、最近急増している。研究グループの田中英夫(たなか・ひでお)疫学・予防部長は「酒と乳がんの関連は欧米で指摘されていたが、今回の研究で、閉経後の日本女性でも明白になった。乳がんを予防するには、大酒を控えた方がよい」と話している。
 研究グループは、愛知県がんセンター病院で乳がんと診断された1754人と、乳がんと診断されなかった女性3508人を分析。全般に酒量が増えるにつれて、乳がんの発症率が高くなっていた。この傾向は50歳前後の閉経の後で著しく、閉経前の女性では、はっきりしなかった。
 閉経後の乳がん発症率は、酒を飲まない女性を1とすると、少し飲む女性は1・24倍、時々飲む女性は1・39倍、日本酒換算で週に7合以上飲む女性は1・74倍だった。

2009年10月2日金曜日

「楽しい」は健康のもと 脳卒中リスク低、男性だけ

2009年9月30日 提供:共同通信社

 生活を楽しんでいる意識が高い男性は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの循環器疾患の発症、死亡リスクが低いとの調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎(つがね・しょういちろう)国立がんセンター予防研究部長)が30日、発表した。

 40~69歳の男女約8万8千人を約12年間追跡調査。開始時点のアンケートへの回答から、生活を楽しんでいる意識が「高い」「中程度」「低い」の3グループに分け、循環器疾患の発病や死亡との関係を分析した。

 意識の高いグループを基準にすると、中程度グループの発症リスクは1.20倍、低いグループは1.23倍、死亡リスクはそれぞれ1.15倍と1.61倍。女性では関連はなく、男性の方がストレスの影響を受けやすいためではないかという。
 意識の高いグループは、運動習慣のある人が多く喫煙者が少ないなど生活習慣の違いもあった。
 病気の影響で楽しいと感じなくなる場合もあるため、そうした可能性がある人を除外してさらに分析し、心理的要因が発病、死亡に影響を与えると判断した。
 担当した琉球大法文学部の白井(しらい)こころ准教授(社会福祉学)は「ストレスの多い社会だが、生活を楽しもうと意識し、楽しむ方法を自分なりに見つけることが大切だ」と話している。

2009年10月1日木曜日

混合診療訴訟:患者が逆転敗訴 「全額自己負担は妥当」--東京高裁

混合診療禁止は適法 がん患者が逆転敗訴 東京高裁 (1)2009年9月30日 提供:共同通信社

 公的医療保険が適用される診療と、適用外の自由診療を併用する「混合診療」を原則禁止した制度の是非が争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は29日、医療費が全額自己負担となったがん患者の男性に一部保険適用を認めた一審東京地裁判決を取り消し、男性の請求を棄却した。
 大谷禎男(おおたに・よしお)裁判長は「財源面の制約や安全性確保の点からやむを得ない」と、制度を適法と判断。「負担が重すぎる」と訴えていた原告側の逆転敗訴となった。原告は上告の方針。
 2007年11月の一審判決は「法的根拠がない」と、混合診療禁止を違法とする初の判断を示し、国が控訴していた。
 原告は、神奈川県藤沢市の団体職員清郷伸人(きよさと・のぶひと)さん(62)。
 大谷裁判長は判決理由で、国が健康保険法上、例外的に混合診療を認めた「保険外併用療養費」制度について「先進医療など診療の内容や実施医療機関などの支給要件を満たす場合だけを保険給付の対象としている」と指摘。
 その上で「制度に定めた以外の診療については本来、保険診療に相当する部分も給付は受けられないと解するべきだ」と結論付けた。
 清郷さんは記者会見し「日本で認められていないというだけの理由で、世界各地で受けられる医療を受けられず命を落とすことがあってはいけない。今回の判決には失望しており、立法などによる解決の道も探りたい」と述べた。
 判決などによると、清郷さんは2000年に腎臓がんが見つかった。神奈川県立がんセンターで医師の勧めを受け、保険適用のインターフェロン治療と、適用対象外の「活性化自己リンパ球移入療法」を受けた結果、インターフェロン治療の分も自由診療として全額を自己負担とされた。
▽混合診療
 公的医療保険が適用される保険診療と、保険がきかない自由診療を併用すること。原則禁止されており、保険適用外の治療を受けると、通常の検査や手術、投薬、入院料など保険診療分も含む全額が自己負担となる。医薬品の治験や先進医療などを対象に、例外的に「保険外併用療養費」として保険適用が認められるケースもある。未承認薬や技術の確立されていない最先端の医療を望む患者、経済界などから、混合診療の全面解禁を求める声がある一方、日本医師会などは国民皆保険制度が維持できず、患者の不利益になるとして反対している。

識者談話 (2)2009年9月30日 提供:共同通信社

▽患者の立場、理解せず
鈴木亘(すずき・わたる)・学習院大教授(社会保障論)の話 患者の立場を理解していない判決だ。混合診療の原則禁止は法律に明文規定がなく、健康保険法上で解釈可能かどうかという点が重要だったのに、判決はその点に全く触れず、国の言い分を認めただけだ。既に一部に保険が適用されるようになったとはいえ、支給対象を増やす作業も全く進んでいない。重い病気などになり、一刻も早く高度な医療をより軽い負担で受けたいと思う患者の立場に立てば、このような結論にならないと思う。
▽一定の制限、やむを得ない
 医事評論家水野肇(みずの・はじめ)さんの話 保険や医療の実態を考えれば、妥当な判決だと思う。判決では直接触れられていないが、治療法の確立していない分野に関してはいかがわしい療法も多く、それらの一部にも保険が適用されるようなことがあれば、財源がどれだけあっても足りず、保険制度そのものが成り立たなくなる。現在の健康保険制度で給付の対象に一定の制限があるのはやむを得ないだろう。ただ、国も新しい技術についてはできるだけ早く安全性などを精査し、保険適用の医療に加えるための努力をする必要があると思う。

患者が逆転敗訴 「全額自己負担は妥当」 東京高裁 混合診療訴訟2009年9月30日 提供:毎日新聞社

 保険診療と保険外診療(自由診療)を併用する「混合診療」を受けると、本来は健康保険が適用される診療も含めて治療費全額が自己負担となる厚生労働省の運用の妥当性が争われた訴訟の控訴審で、東京高裁(大谷禎男(よしお)裁判長)は29日、「運用は妥当」と判断した。その上で、原告に保険給付を受ける権利を認めた1審判決を取り消し、請求を棄却する逆転敗訴を言い渡した。原告側は上告する方針。
 国は混合診療を原則禁止している。1審は「運用に法的根拠はなく違法」と判断したが、2審は国の政策を追認した。
 訴えていたのは、神奈川県藤沢市の団体職員、清郷伸人(きよさとのぶひと)さん(62)。腎臓がんを患い、01年2月から保険適用のインターフェロン療法を受け、その後、保険適用外の療法を併用した。このため、治療費全額を自己負担すべきだとされ、06年3月、国を相手に保険適用の確認を求めて提訴。
 控訴審では、84年の健康保険法改正で混合診療を一部認める例外規定が盛り込まれたことを巡る法解釈が最大の争点だった。判決は「認められたもの以外の混合診療は禁止されていると解釈すべきだ」と指摘し、国の運用を妥当と認めた。清郷さんは「患者が希望する治療を選択する権利を奪い、憲法が保障する生存権などを侵害している」とも主張したが、「医療の安全性確保などから、合理性を欠くとは言えない」と退けた。
 1審・東京地裁は07年11月、「保険診療と自由診療を一体として判断すべき法的根拠は見いだせない。保険が適用されるかどうかは個別の診療行為ごとに判断すべきだ」として、厚労省の法解釈は誤りと指摘していた。【伊藤一郎】
 ◇「命の限り闘う」
 清郷さんは判決後、記者会見し「控訴審は1審と違い、厳しい雰囲気だった。失望した」と悔しさをにじませた。闘病生活は9年目。「がんや難病の患者の命を危機にさらし、治る可能性は遠のく。命がある限り闘い続ける」と声を振り絞った。
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 ■解説
 ◇議論尽くす時が来た
 混合診療について国は「安全性が確保できず、患者の資力で医療格差が生じる。国民皆保険の根幹を揺るがす」との姿勢を崩さない。一方、「患者の選択権に基づく医療制度を推進すべきだ」と解禁を求める医師もいる。1、2審で判断が分かれた今回の訴訟は、改めて医療の在り方をめぐり議論を巻き起こした。
 法改正で84年から、一部の高度先進医療などは例外的に混合診療が認められた。05年に実施可能な医療機関を承認制から届け出制に簡素化し、06年には制度改定で適用範囲が拡大された。今月1日現在で認められている先進医療は130種類。1審判決時から増えたのは7種類。
 ただし、抗がん剤治療などは安全性や有効性に問題があるとして外されるものもある。患者にとって安定した制度とは言い難いが、保険局は「保険適用までの『つなぎ』の位置付け。限定はやむを得ない」と語る。
 1審判決を追い風に、政府の規制改革会議(当時)は07年、混合診療の全面解禁を提言したが、厚労省や日本医師会の反対で実現していない。原告の清郷さんは「原則解禁して、安全性を確保できないようなケースを禁じるべきだ」と訴える。
 日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表は「難しい問題。解禁した場合に医療が企業の利益の対象にならないか懸念される」と話す。司法判断とは別に、幅広く議論を尽くすべき時が来ている。【伊藤一郎、清水健二】

新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの特性を解明-90歳以上の高齢者が高レベルの抗体を保有-

http://www.jst.go.jp/pr/info/info652/index.html

科学技術振興機構報 第652号平成21年7月13日
東京都千代田区四番町5番地3科学技術振興機構(JST)Tel:03-5214-8404(広報ポータル部)URL http://www.jst.go.jp

2009年9月30日水曜日

肺がん治療法紹介サイトの3-4割、内容に問題 東大病院の医員ら調査

2009年9月29日 提供:毎日新聞社
肺がん:治療法紹介サイトの3~4割、内容に問題 東大病院の医員ら調査

 インターネットで肺がん治療情報を紹介する日本の主なサイトのうち、効果が立証されていない治療法を紹介するものが3-4割を占め、米国に比べて信頼性が低いことが、東京大病院呼吸器内科で肺がん治療に携わる後藤悌(やすし)医員らの調査で分かった。後藤さんは「患者が信頼性を見分けるのは難しいが、国立がんセンターのサイト(http://ganjoho.jp/public/index.html)などの利用を勧めたい」と注意を呼びかけている。
 後藤さんは、ネットで見つけた怪しい治療法を実践した患者が不幸になった例を多く体験した。そこでネットの信頼性を調べ、3月まで勤めていた国立がんセンター中央病院の医師らと国際肺がん学会の機関誌に発表した。
 07年5月末、「肺がん」などをキーワードに、日本の検索サイト「ヤフー」と「グーグル」で検索。上位各50サイトを調べると、ヤフーで27サイト、グーグルで17サイトが、進行した肺がんの治療法に触れていた。
 このうちヤフーで20サイト(74%)、グーグルで10サイト(59%)を、学会の肺がん治療ガイドラインなど、世界的に妥当と認められた治療を紹介していたとして「納得できる」と評価した。しかし、残る各7サイト(ヤフー26%、グーグル41%)は、「認め難い」と位置づけた。
 一方、米国のグーグルで同様の分析をすると、29サイト中28サイト(97%)が「納得できる」と評価できた。グーグル社の日本法人は「検索結果の決め方は日米で同じ」と説明している。【高木昭午】

2009年8月28日金曜日

新型インフル流行 10月にも第1波ピーク

2009年8月27日 提供:毎日新聞社
クローズアップ2009:新型インフル流行 10月にも第1波ピーク

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
 全国的に流行の勢いが止まらない新型インフルエンザ。厚生労働省は、集団感染の発生件数は23日までの1週間で前週から2割も増えたと発表した。新学期が始まった直後に休校する学校も相次いでいる。新型インフルはどこまで拡大するのか。流行拡大に伴い、重症患者が増え続けると、医療機関の受け入れが困難になったり、患者同士の接触で感染が広がることも懸念される。
 ◇沈静化後、第2波も 専門家「春までに3600万人」
 「10月が流行第1波のピークかもしれない」。冬とみられていた新型インフル流行のピークが大幅に前倒しになる可能性を、専門家が指摘し始めた。国立感染症研究所の安井良則・感染症情報センター主任研究官は「秋に感染者数が減る要素がない」と説明する。
 浦島充佳・東京慈恵会医科大准教授(疫学)によると、過去の新型インフルのパンデミック(大流行)は、流行期入りからピークまで約1カ月半。厚労省は今回、今月21日に流行開始を宣言したためこれを当てはめると10月にもピークを迎えることになる。厚労省は10月下旬にも新型用ワクチン接種を始める方針だが、ピークに間に合わない恐れが出てきた。しかもこれは第1波のピークで、いったん沈静化した後に第2波があるとの見方も強い。
 では最終的にはどこまで拡大するのか。
 季節性インフルエンザは毎年、約1000万人が感染し、流行期は12-3月。昨秋-今春に定点医療機関から国立感染症研究所に報告された患者数は、1月19-25日に1施設当たり37・45人に達し流行のピークとされた。これは厚労省が新型流行を宣言する根拠となった8月10-16日の同1・69人(全国患者推定数は約11万人)の約22倍に当たる。
 ほとんどの国民は新型ウイルスに対する免疫を持たないため感染は容易に広がり、新型が流行のピークを迎えれば、季節性の数倍規模になるとされる。
 東京大医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)は「この冬、必ず日本で大流行する」とし、季節性の3倍以上の規模となり、来春までに国民の約30%、約3600万人が感染すると予測する。浦島准教授は最大約5000万人の感染可能性を指摘。押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は「11年春までに約8000万人が感染し、患者は5000万人に達するのではないか」と警鐘を鳴らす。世界保健機関(WHO)は8月、大流行が終わるまでに世界の人口の約3割、約20億人が感染するとの予測を公表した。【江口一、関東晋慈】
 ◇重症患者対策が急務
 新型インフルの症状は季節性とほぼ同じだ。だが感染者が多くなれば、季節性に比べ重症患者も増加するとみられる。
 21日朝、救急車が千葉県東部の中核病院、県立東金病院(東金市)に到着した。運ばれたのはぜんそくの既往症を持つ50代の糖尿病の女性。体温は40度、胸の痛みを訴えていた。簡易診断キットでA型インフルと判明、多臓器不全の恐れがあり血圧も低下し始めた。
 「新型かもしれない。集中治療が必要だ」。内科医が付き添い、集中治療室(ICU)のある千葉市内の病院へ転院した。女性は5月を最後に通院しておらず、過去1-2カ月の平均的な血糖状態を示すヘモグロビンA1cは10%(正常値は4・3-5・8%)を超えていた。糖尿病をはじめ腎臓病、心疾患、呼吸器疾患などの持病がある人は、新型インフルに感染すると重症化しやすい「ハイリスク」とされる。
 東金病院の平井愛山院長は「非常に厳しい状態だった。流行のピーク時にはICUはどこも満床になるだろう。その時はここで診るしかない」と話す。とはいえ、常勤医師はわずか14人。医師らが感染すれば、十分な診療ができなくなり得る。地域の重症患者発生をできるだけ減らすことを目指し▽ハイリスク者への注意喚起の通知発送▽糖尿病治療中断者の把握と早期受診の勧奨▽細菌性肺炎を防ぐワクチン接種--などを始める。
 死亡者が出た名古屋市内の病院では、看護師ら6人への感染が疑われた。医療施設では院内感染防止が極めて重要だ。
 東京都内の人工透析クリニック。仕切りのない部屋に20床を超えるベッドが並び、腎不全で人工透析を受ける患者でいっぱいだ。治療は4-5時間で週3日ほど。院長は「新型インフルの患者でも透析は中止できないから受け入れる」と話す。

2009年8月11日火曜日

自民、民主党ともに“医療崩壊”の本質を理解せず

2009年8月10日 原中勝征(茨城県医師会会長)

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 今度の総選挙に臨む各政党の医療・介護に対するマニフェスト読むと、文章的には大変似ていることを感じる。裏を返せば、現在の「医療崩壊」を認め、国民の最も不安に感じている年金問題を含めた「国民の生活保障」が争点になっていると言える。
 自民党は7月30日、民主党(7月27日)より遅れてマニフェストを発表した。「生活を支えるしくみのマイナスを改め、プラスへ」の項に、(1)70歳現役時代―生涯現役社会の実現へ 、(2)老後の安心を支え続ける年金制度の充実強化へ、(3)医療・介護サービスを、もっと身近に。安心と満足が、全国どこでも受けられる健康長寿社会へ、という文字が記されている。医師の増員も挙げている。さらに、民主党と同様、大学病院、社会保険病院、厚生年金病院については地域医療における重要性を述べ存続すること、診療報酬は「骨太の方針」を凍結して増額改定すると述べているが、その目的は従来通り救急、産科および地域医療を確保するためとしている。しかし、数字などの具体策が全く見えない。
 4年前の総選挙時の「自民党公約2005」、いわゆる小泉改革の120項目の4つの大きな柱として、「官のスリム化により少子高齢化の下でも、年金・医療など社会保障の充実を可能に」が掲げたが、実際には全く反対の政策を実行し、「消えた年金」、「医療崩壊」を生じさせた。しかし、今回のマニフェストで、政府の最優先政策として位置づけられた社会保障費年2200億円削減をはじめ、医師増員、医療費の凍結や増額を掲げたのは、従来の自民党の政策と正反対になっている。この方向転換は選挙対策のためか、従来の医療政策の間違いを認めたのか、説明がほしいものである。
 すなわち、このたびのマニフェスト合戦は、自民党政権が作ってきた社会保障や「医療崩壊」の修正案である。ただし、政治家が官僚任せの結果であったことの反省が全く見られない。一方、野党はすべて「後期高齢者医療制度」は年齢による人間差別として廃止を掲げており、廃止による国民保険への資金援助を盛り込んだことは大切なことである。
 次に、民主党のマニフェストの内容を見ると、党を挙げて議論されたとは思えない。医療の現状は複雑であり、現場の一部を強調しても医療は良くなるどころか、かえって混乱してしまう。誤解に満ちた中央社会保険医療協議会(中医協)の改革案、地域医療が病院だけで持っているような内容や米国的なメディカルスクール案などである。期待される民主党である。もっと広く深い知識で政策を作ってほしいものである。
 また、民主党はキャッチフレーズ「誰もが安心して暮らせる社会」の中で、年金について一元化して月額7万円を最低保障することと、社会保障費2200万円削減をしないことを明示している。医療介護については、国民皆保険の堅持からすれば、7万円は現在の特別養護老人ホームの自己負担分に相当し、最低の生活保障かと思われる。医学部定員を1.5倍にして医師数を先進国並みにすることと看護職員などの増員、介護職員の処遇改善を述べているが、この数がわが国に本当に必要な数なのか、医療費や現場検証を検証しつつ見直しが必要になると思われる。
 さらに主要政策のポイントを見ると、救急、産科、小児、外科、そしてへき地の医師不足の解消とその方策、地域医療崩壊を防ぐための医療費増額、医師派遣センターの設置、そして厚生年金・社会保険病院の地域医療に重要な病院として原則公的病院として存続、国民健康保険財政の地域格差の是正などが盛り込んである。自民・公明党、そして民主党双方とも、これらは現在の問題点の指摘であり、地域医療の将来像が見られないことが残念である。すなわち、地域医療の中核ともいえる診療所、中小・慢性期病院について一行も記されていないことは不安を感じる。マニフェストにおける「地域医療」の意味は、急性期病院と同意語と感じられる。地域医療は急性期病院だけでなく、慢性期病院、そして診療所すべての医療機関が連携して成り立つものであり、現在すべての医療機関が崩壊の危機に瀕していることへの配慮が見えない。自民・公明党、民主党の双方とも、「医療崩壊」の本質を理解していないのではないかと思われてならない。
 そのほか、民主党は、医療費の包括化について述べているが、例外規定を設けることも今後必要だろう。自民・公明党、民主党の大きな違いとして、医療費の財源が挙げられる。将来は消費税を含めた国民の負担増は避けられないことは明らかだと思う。しかし、現在国民の多くは、消えた年金、官僚の天下り、特別会計の存在、雇用法拡大による生活不安が解消されない限り、増税には否定的であると思われる。今回の総選挙で期待されている政権交代の意味がここにあるとすれば、当面民主党が公約している、この困難な改革の実行を支持したいと思う。
 政権の担当経験のない民主党、さらに新人が多く入る新しい与党が誕生したとき、いくら立派なマニフェストを掲げようとも必ず壁に突き当たるに違いない。そのときこそ国民の英知を求める姿勢が最も大切であり、政治が国民のものであることの原点に帰することが、国民から期待された政権交代であると評価されるであろう。
 最後に、他の政党のマニフェストを見ると、公明党は結党以来、生活重視を掲げている。また、社民党はセフティーネットの中に具体的数値はないが医師・スタッフの増員、療養病床やリハビリの制限の中止などが入れている。そして、共産党の主張は医師会の主張に近いと思われる。二大政党の流れの中で、党の存亡をかけて書いたマニフェストと思われた。

2009年7月1日水曜日

あごの骨の壊死 がんや骨粗しょう症治療薬の副作用で発症する可能性

あごの骨の壊死 がんや骨粗しょう症治療薬の副作用で発症する可能性… 
医療ナビ2009年6月30日 提供:毎日新聞社
医療ナビ:あごの骨の壊死 がんや骨粗しょう症治療薬の副作用で発症する可能性…

 ◆あごの骨の壊死 がんや骨粗しょう症治療薬の副作用で発症する可能性。厚労省も注意を呼びかける。
 ◇「骨を守る薬」が逆に 投与中の歯科治療注意
 ◇口の中の違和感/歯ぐきに骨露出/歯の脱落…
 問題が指摘される薬は「ビスフォスフォネート」系薬剤。発症率は高くないが、治りにくく、重症化して生活に支障の出る人もいる。厚生労働省も5月、「重篤副作用」として、対応マニュアルを策定した。
 ●破骨・骨芽細胞が死滅
 骨は一見、無機質なカルシウムの塊のようだが、実は骨を壊し続ける「破骨細胞」と、骨を再構成する「骨芽(こつが)細胞」という2種類の細胞活動が均衡を保ち、常に生まれ変わっている。この両細胞が死滅するのが骨の壊死(えし)。「腐骨」と呼ばれる残骸(ざんがい)が異物として体外に吐き出されたり、雑菌の温床となって化膿(かのう)する。
 ビスフォスフォネートは、骨粗しょう症の飲み薬として一般的なほか、乳がんや前立腺がんなどの骨への転移を防いだり、骨髄腫などの注射薬としても広く使われる薬の総称だ。この「骨を守る薬」が逆にあごの骨を壊死させたと03年、米国で初めて報告され、3年後には報告が世界で2500人を超えた。
 ●発症率、注射で1%
 詳しい原因は不明で、発症率は注射で1%前後、飲み薬で0・01-0・04%とする豪州の調査もある。注射と飲み薬では骨への吸収量が約50倍違うためらしい。
 歯ぐきなどに骨の一部が露出したり、腫れたり痛むといった症状が多いが、症状がない場合や「なんとなく口の中に違和感がある」程度のこともある。重症になると、上あごに大きな穴が開き、口から鼻へ水などが入ったり、歯が抜け落ちる場合もあるという。
 国内初報告を行った社会保険船橋中央病院(千葉県船橋市)の高橋喜久雄副院長(歯科口腔(こうくう)外科)は05年、口の中の皮膚が破れ、上あごの骨の一部が露出した81歳の女性患者を初めて診た際、「転移がんと思って疑わず、何度も精密検査した」と話す。当時、患者は乳がんの転移を防ぐためビスフォスフォネートの注射を受けていたが、薬の副作用は想像外だったという。
 米の報告例を知って他の薬に切り替えたところ、2年後に約6センチの骨片がポロリと取れて口の中は元に戻った。しかし、これは良い例で、有効な治療法はまだないのが現状だ。一定期間休薬したり、うがいや化膿止めで口の中を清潔に保って経過を見る治療が主だという。
 ●糖尿病患者も要注意
 不思議にも、壊死が起きるのはあごの骨だけだ。高橋医師は、もともと口の中は常在菌が多いほか、あごの骨を覆う口の中の皮膚は薄く、歯の周囲から感染が骨に及びやすいといった条件が重なるためだと推定する。
 このため、ビスフォスフォネートの投与中に抜歯やインプラント、歯槽膿漏などの歯科治療を受けた人は特に注意が必要だという。抜歯後には発症率が8-9倍上がるとの調査もあり、厚労省のマニュアルでは、若年性リウマチなどでステロイド薬を併用している人や糖尿病患者も要注意とされる。予防が重要で、患者はビスフォスフォネートを使っていることを歯科医に必ず言うこと、年1、2回は歯科検診を受け、常に口の衛生状態に気をつけること――と高橋医師は説明する。
 最近では、骨が壊れると成分のコラーゲンが溶け出すため、血液中のコラーゲン濃度を測って適切な休薬期間を取る予防法の研究も始まった。一方で、米国で07年、骨粗しょう症の注射薬が認可されるなど、骨への吸収力を高めた薬の開発も進んでおり、「今後より一層注意が必要になる」と高橋医師は訴える。【山田大輔】
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 ■早期発見のポイント
・口の中の痛みがなかなか治まらない
・歯ぐきに白や灰色の硬いものが出てきた
・あごが腫れてきた
・下くちびるがしびれた感じがする
・歯がぐらついてきて、自然に抜けた
 →すぐに医師や歯科医に相談を
 ■主な予防・治療策
・ビスフォスフォネート投与前に歯科を受診し、抜歯など必要な治療は済ませておく
・歯磨きやうがいを行い、口の中の衛生状態に気をつける
・定期的に歯科検診を受け、口の中をチェックしてもらう
 (骨壊死が始まっている場合)
・化膿や痛みがあれば抗菌薬で治療する
・医師に十分相談した上で可能ならビスフォスフォネートの投薬を一時休止する
・腐骨を切除する
 =厚生労働省マニュアルより

2009年6月30日火曜日

患者を叱る医師になれ

6/8号 「患者を叱る医師になれ」、コラムニスト・勝谷氏2009年06月08日
 「確かに親は月末には徹夜でレセプトを書いていたが、僕が子供の頃、開業医は非常に金持ちだった。医師が特別な時代があった。一方、今は初期投資をして開業しても、元が取れるか取れないかという時代。しかし、国民の中にはこうした『お医者さん、イコールお金持ち』という深層心理が残っている。その時代を知っている人は子供や孫にそのことを話したりもする。世間の目は容易には変わらないことを理解してほしい」  「医師をよく知る立場」から、一般の方が医療、医師をどう見ているか、ではどうすれば患者とコミュニケーションが取れるかという視点から講演したのがコラムニストの勝谷誠彦氏。勝谷氏は、昨日(6月7日)に開催された第2回全国医師連盟集会で、「日本の医療を斬る - 全国医師連盟に期待すること-」というテーマで1時間強、記念講演を行いました(同集会については、『医師個人加入の労働組合「全国医師ユニオン」設立』を参照)。  勝谷氏は、文藝春秋で『週刊文春』などの記者を務めた後に独立、現在は雑誌に多数連載するほか、テレビのコメンテーターとしても活躍しています。「記念講演」と言っても堅苦しいものではなく、歯に衣着せぬ、軽快なトークショーでした。
 勝谷氏は1960年生まれ。同氏の父親は1959年に兵庫県尼崎市で開業、81歳の今でも現役だそうです。勝谷氏の弟が医院の後継者。
 勝谷氏がまず紹介したのは、子供・少年時代のエピソード。勝谷氏は、全国でも有数の進学校、灘中・高等学校の出身。「優秀な成績で入学したのに、どんどん下がっていった。進学校は何もしてくれない、自分で勉強するところだということに気づいたのは後になってからのこと。1日1時間授業に出ればよかったので、皆勤賞だった。1学年4クラスで、土曜日は4時限まで。他のクラスの授業にも出て、4時間とも体育をやっていたこともあった」(勝谷氏)。そんな勝谷氏が高校生の頃、母親から言われた言葉が、「離乳食としてポタージュを食べさせるために、宝塚ホテルに毎晩行ったのに……。どうしてこうなるの」。
 自家用車を持つのが珍しかった時代に、ご両親は米国製の車に乗って神戸のダンスホールまで遊びに行っていたそうです。近所の開業医の先生を見ても、往診に行く時とプライベートで乗る車を変えていたとか。
 「開業医は、その辺りの後ろめたさをずっと感じながら、やってきているのではないか。こうしたことを気にすることが、実は日本の医療の様々なところに関係しているのではないか。『妊婦のたらい回し』などのヒステリックなマスコミ報道の根底にも、人間の嫉妬、あえて言えば下劣な感情があるのではないか。それを怒っても仕方がないことで、どう解消していくかがこれからの医師と患者・国民との関係を考える上で重要なのではないか。データで現状を示すことも大切だが、お互いに本音でトークすることも必要」(勝谷氏)。
 患者とのコミュニケーションの重要性を強調する勝谷氏は、以下のように展開します。
 「モンスター・ペイシェントと言うべきでない。モンスターと言ったら、それは逃避。私の父は本当に患者を叱っていた。往診に行くと、しつけまでやっていた。これを50年間も続けていると、地域にいい患者が育ってくる。しかし、今は家の中には踏み込まなくなっている。これが本当にいいことなのか」
 「長野県では、若月俊一先生(地域医療で有名な佐久総合病院の創成期を支えた医師)が、患者宅で、味噌汁の塩分指導までしたことが今の低医療費につながった。患者に文句を言う医師であってほしい。『患者に文句を言ったり、叱ることが評価される』という論壇を作ってほしい」
 「兵庫県立柏原病院では、お母さんたちが小児科を救った。お母さんたちは、国が何をしてくれるかではなく、自分たちに何ができるかを考えている。疾患別の患者会だけでなく、例えば、勤務医が、診察以外に患者さんと向き合う場、サークルのような場を作ってはどうか。そこで話し合っていくうちに、『お前、何を言っているんだ』と患者を叱ってくれる怖いオヤジが出てくるのではないか。訴訟社会の米国とは異なり、日本社会にはまだこうしたことができる余裕があるのでは」
 勝谷氏の話は、記者クラブ制に依存したマスコミへの批判、福島県立大野病院事件などを例に挙げた検察批判にも発展。すべてを紹介すると長文になってしまうので、「記念講演」の主題である、「全国医師連盟に期待すること」に関連したコメントの一部を最後に取り上げます。
 「日本は、利権談合共産主義国家だった。これは、ボスがいて、パイを配分する仕組み。典型的なのが、医師会と農協。私の父は臨床医としてはすばらしいが、医者としての仕事が大事なのか、医師会の派閥活動をやっているのかが分からない時があった。全体のパイがあるときはいいが、パイが少なくなってくると、この構造が崩れ、ボスの力がなくなる。特に、ここ10年でこうした構造は崩れた。先人たちにこれまでできなかったが、全国医師連盟のような会が温厚に開催できること自体、画期的ではないか。上意下達の利権分配型の組織ではなく、自分たちで自分の権利を守るという組織にしてほしい」
以上2009/6/8
橋本佳子 氏

2009年5月28日木曜日

日本の医療をどうしたいですか?

社会保障費抑制の方針継続求める…財政審の建議原案
2009年5月27日 提供:読売新聞

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が6月初旬にまとめる、2010年度予算編成に向けた建議(意見書)の原案が26日、明らかになった。原案は、与党内でも方針撤回を求める意見が根強い、社会保障費の伸びを毎年2200億円ずつ抑制する方針について、「歳出改革の基本的方向性は維持する」とし、抑制を続けていくことを求めた。
 一方、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を11年度に黒字化するとした政府の財政再建目標について、目標達成は「困難になったと言わざるをえない」と指摘。ただ、目標自体は撤回せず、引き続き「プライマリーバランスの黒字化に向け、その道筋を示しつつ、その早期実現を図ることが必要」との見解を盛り込んだ。
 長期的には、国内総生産(GDP)に対する国と地方の債務残高の比率を引き下げる重要性を訴えた。
 財務省には、建議を通じて他省庁や与党からの歳出圧力をけん制する狙いがあり、提言内容を09年度の「経済財政改革の基本方針」(骨太の方針)に反映するよう求めていく考えだ。だが、次期衆院選などをにらみ、与党内からは今後、社会保障費の抑制方針の撤回などを迫る声が上がりそうだ。
 ◆財政審建議原案の要旨◆
 ▼景気後退に伴う税収減と一連の景気対策により、財政悪化が見込まれ財政は危機的な状況
 ▼2011年度までの国・地方のプライマリーバランスの黒字化目標の達成は困難になったと言わざるを得ない
 ▼財政の持続可能性を確保する上で、国・地方の債務残高対GDP比の発散を止め、安定的な引き下げが必要不可欠。まずプライマリーバランスの黒字化に向け、その道筋を示しつつ、早期実現を図ることが必要
 ▼10年度予算編成は、経済状況に応じて弾力的に対応しつつ、「骨太の方針2006」の考え方を踏まえ、歳出改革を維持していくことが必要
 ▼医師確保対策等必要な対応を行う必要はあるが、社会保障分野も「骨太の方針2006」等に示されている歳出改革の基本的方向性は維持する必要がある

歯科の保険制度崩壊の危機

東京新聞から、みんなの歯科ネットワークが取材を受け「こちら特報部」というコーナーで「歯科の保険制度崩壊の危機」(仮)という特集記事が5/31(日)東京新聞に掲載されます。
歯科の問題を丁寧に取材しています。みなさんぜひご覧下さい。 
概要は以下です。※あくまで取材時の概要であり、紙面では多少の変更もあります。

歯科においては保険でまじめにやればやるほど経営は苦しくなる。 その上、保険ではビジネスモデルが成立せず、また高得点での指導などもあり「保険で経営努力は事実上ムリ」と歯科医は保険をサボタージュし、患者さんへの最良の治療の提供の為、そして経営を考え自費に逃避する。 結果、保険は形骸化し、ますます歯科医は保険治療をしたがらなくなる。そうなればイギリスなどの例にあるように高額な治療費が払えない人は、自分で自分の歯の治療をするなど異常事態となる。

歯の疾患は全身に及ぼすものも多く、歯科の保険が崩壊してしまった場合どうなってしまうのか。 保険は公共財すなわち国民のものである。「歯科医はワーキンプア」などと興味本位で見ているのではなく、保険の低点数は国民の不利益になることを認識し改革をしていかねばならない。
※また、このような歯科医院経営の圧迫のしわ寄せを最も受けているのが技工士であり、その過酷さから7割以上の離職者が出ているということも同時掲載の予定です。

http://www.minnanoshika.net/

http://www.minnanoshika.net/wiki/index.php?%B0%E5%CE%C5%A4%CB%A4%AA%A4%A4%A4%C6%A5%D3%A5%B8%A5%CD%A5%B9%A5%E2%A5%C7%A5%EB%A4%CF%C0%AE%CE%A9%A4%B7%A4%CA%A4%A4

http://www.minnanoshika.net/wiki/index.php?plugin=attach&refer=%B0%E5%CE%C5%A4%CB%A4%AA%A4%A4%A4%C6%A5%D3%A5%B8%A5%CD%A5%B9%A5%E2%A5%C7%A5%EB%A4%CF%C0%AE%CE%A9%A4%B7%A4%CA%A4%A4&openfile=%B0%E5%CE%C5%A4%CB%A4%AA%A4%A4%A4%C6%A5%D3%A5%B8%A5%CD%A5%B9%A5%E2%A5%C7%A5%EB%A4%CF%C0%AE%CE%A9%A4%B7%A4%CA%A4%A4%20.pdf

より引用
PDFをコピーしたので段組が崩れています。
リンクが壊れてなければ上のリンクからどうぞ

◇ ◆ ◇ 医療においてビジネスモデルは成立しない ◇ ◆ ◇
保険医療において「ビジネスモデル」は成立しません。健康保険のルールは頻繁に、突然に、通達も無く、遡って変わります。役人が、末端の役人ですら、ルールを変更でき、遡って適応できます。100 円バーガー。10 円饅頭。350 円の牛肉料理、牛丼。これらの「ビジネスモデル」は、大量仕入れやコストカット、効率的な調理システムなど簡単にマネが出来ないシステムを構築しました。これらのモデルが出たときには世間の注目を集めました。
医療において、こうした創意工夫が可能でしょうか。ビジネスモデルが成り立つでしょうか。たとえば、歯科医療で入れ歯に特化、他の歯科治療は行わないというシステムを作ります。保険治療では、価格は公定価格ですから変えられません。一般的な入れ歯では出来上がるまで3~4 週間かかりますが、これを3 日で作ります。スピードが売りです。「早く」というニーズはありますから集客が見込めます。一定価格なので、集客で利益を上げるビジネスモデルです。
指導料を集中的に請求するモデルも考えられます。歯科医師は削る、詰める、入れ歯を作るだけではなく、病気を良くするために生活上の留意点や食事内容の注意や指導を行うことができます。この指導に専念するビジネスモデルです。システムの構築にそれなりの手間がかかりますが収益が見込めます。
しかし、どちらも数ヶ月、遅くとも1 年以内に終焉するでしょう。保険指導という名目の規制がかかります。「入れ歯だけということはありえない」「指導だけを行うことはありえない」「平均から突出している」こういう指導に対して、特化した「ビジネスモデル」だという言い訳は通用しません。ビジネスモデルが成立する条件は何でしょうか。いろいろな要件があるでしょうが、ルールが変わらないこと、見通しが立つことが必須です。ルールが変わったとき、牛丼屋は売る物がなくなり閉店を余儀なくされました。狂牛病の牛肉輸入禁止です。ルールの変更がビジネスモデルを壊しました。
制度上、請求しやすい点数があったとして、多くの歯科医師が請求しました。不正をするわけではありません。ルールブックに書いてある通りに行いました。数ヶ月で請求できなくなります。実際、今回の改正でも大臣告示によるルールが、単なる事務連絡で変更されました。大元の大臣告示が書き換えられたわけではなく、「認めない」と事務連絡が出ただけです。どういう根拠があるのか、なぜ、そんなことが可能なのか分かりません。この事務連絡も医療機関に直接に送られてくるわけではありません。「なぜか」と国会議員が国会で聞いても、言語明瞭・意味不明な返答しか帰ってきません。一定のルールがあり、この中で創意工夫をします。このルールが一方的に、片方のプレイヤーの都合で変えられたら試合は行えるでしょうか?3ストライクでアウト、4ボールで出塁というルールの野球が、今日は観客が多いから、打者凡退が続いているから、1 ストライクでアウト、即チェンジ、さっさと9 回を終わらせろと途中で言われたら、プレイヤーはどうすべきでしょうか。そして見に来た観客はどうすればいいでしょうか。ホームベースを踏んだ人数が多い方が勝ちというルール以外は、適時、変更ありというルールならば、勝敗がつけることが出来ます。次の回が1 アウトでチェンジなのか、10 アウトでチェンジなのか分からないけど、とにかく点の多い方が勝ちならば、まだやりようがあります。変更が遡って適応されるとしたら勝負は可能でしょうか。9 回になって、1 回のホームランは認めないとされたら。後出しジャンケンで、どっちが勝つかの解釈もルールも遡って変えられる、そんなゲームに誰が参加するでしょうか。
保険医療ではこうしたルール変更が頻繁に行われています。ルールを変えるルールは闇の中、いえ、無いのかもしれません。国会で厚生労働大臣が「おかしいから正す」と答弁しても、正されるのはほんの1 ヶ月間だけで、翌月には元のおかしい状態に戻ります。急に変更するのは合理性がないそうです。大臣までがおかしいと認めたルールも、遡って変更されたルールで生じた違反も「不正」とされます。
数年後に予定されているレセプトオンライン化により、機械的に「平均から逸脱→不正」と判定されるでしょう。不正と判定されたら、自殺者まででている「指導」が待っています。いくらでもいやがらせが可能な制度が待っています。理不尽なルールであろうと従わざるを得ない現実があります。このレセプトオンライン化は、保険医療のさらなる経済的抑制、受けられる医療の縮小、個人情報の漏洩、医療崩壊の促進などいろいろな危険性が指摘されています。今日、力の限りを尽くした治療を、ルール通り請求して大丈夫でしょうか。分かりません。ルールがいつ変わるのか。分かりません。私は不正をしたのでしょうか。分かりません。誰が不正か否か知っているのでしょうか。誰も知りません。「俺がルールだ」「保険治療は医学的に行うのではなくルールに則ってやるものだ」と言う役人が正しいのでしょうか。
保険医療ルールとはその程度のものでしょうか。保険医療現場でも創意工夫は可能です。でも、経営的には成立しません。
結局、国は何がしたいのでしょうか。ある役人が言いました「それを許すと、蔵を立てる医者が出てくる」ユニクロの社長は豪邸に住んでいます。イチローは数億円もらっています。能力がある人が大金を稼ぐ。資本主義ですから、正しい行為です。医療において、特に、保険制度においては、経済行為---お金を稼ぐこと---は悪とされています。医者は「かくあらん」なんて精神論・倫理観ではなく、国の方針です。そして特化すること、狭い範囲の専門家、すなわちスペシャリストとして保険医療を行うことも事実上、認めていません。「狭い分野だけに特化するなんてありえない」そうです。
どんな職種であれ、人ひとりを派遣して1 時間労働させる。移動の交通費、移動時間の拘束、勤務コスト、作業時間中の勤務コスト。1 日3~5 件まわるとして、労働者のフィー、雇用元のフィー、その他の材料コストを考えると最低でも1 日3~5 万円のチャージが必要です。介護保険だと1 件当たり数千円~2 万円程度の報酬。移動の時間ロスがあるので、どんなに回れても10 件以下。件数を回ろうとすれば単価が下がる。単価を上げようとすると保険の規制がかかる。1 日分のチャージを稼げない。あげくに同じ行為は「十分に普及したため」単価が下がります。このしわ寄せが現場に、末端の労働者にいきます。これが介護の現場から人が立ち去っている理由です。
道路工事はもう十分に普及した技術なので単価をうんと下げてもおかしくないのですが下がりません。歯科医療の現場でも、人が立ち去りつつあります。歯科医療者の養成学校の大部分が定員割れをし、閉校も相次いでいます。国家医療資格を得た人たちが現場から立ち去っています。現場から立ち去らないでも、保険医療から立ち去っています。深い不信と絶望のもとに。「一度入れたクラウンには、2 年間お金を出せません。その間に再治療の必要が生じたときには、国の制度では面倒を見れません」「リハビリは90 日間しか行えません。90 日を過ぎてリハビリの効果がない方の面倒は見れません」
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なぜですか「%$+!☆¥(国会答弁)」
こんな意味不明な答弁ではなく、「お金がありません」「もっとお金を出してください。現場には予算が必要です」「財源はどのようにしたら良いと思いますか。増税、赤字国債、他の予算を削る、どうしたらいいですか」「どのぐらいの予算が必要ですか。それだけ出すと何ができますか」「どのようなルールならば、皆が納得できますか」継続できるシステム。必要なことを必要なだけ行える制度。創意工夫が認められる制度。経営が成り立つ報酬制度。こうした当たり前の事が今の保健医療には認められていません。したがって、ビジネスモデルなんて成立しえません。
ビジネスが成立しないところから人が立ち去るのは当たり前のことです。持続可能な保険医療システムがないと、元気に年老いて、ころりと逝けるような世の中にはなりません。
ミサイルでも落ちて来いなんて叫ばずに済ませられる世の中にしたいですね。
May23, 2009 / Asahai wrote

2009年4月1日水曜日

病院の医業収支赤字、過去最大 100床当たり月1261万円 08年調査 2009年3月31日

提供:毎日新聞社
医業収支:病院の赤字、過去最大 100床当たり月1261万円--08年調査

 全国の病院の医業収支(医療での収入と経費の差)の赤字が08年に、ベッド数100床当たり月約1261万円に上ったことが、全国公私病院連盟(竹内正也会長)と日本病院会(山本修三会長)の調査で分かった。67年の調査開始以来最も赤字が大きかった。コストカットを優先する病院が多い中、診療報酬だけで経費を賄えない現状があるとみられる。
 全国の病院の約4割にあたる3412病院に対し、08年6月1カ月の医業収支などを尋ね、1206病院(回収率約35%)が回答した。
 医業収入は100床当たり約1億3609万円で、対前年比1・1%の減少。内訳は、入院収入が約9063万円(対前年比0・1%増)でほぼ横ばいだったが、外来収入は3・6%減の約3995万円と落ち込んだ。
 必要経費に当たる医業費用は約1億4870万円で、1・2%増。給与費の伸びが目立ち、1・3%増の約7791万円。100床当たりの赤字額は月約1261万円で、過去10年で最少だった00年(月約475万円)の倍以上に膨れ上がった。
 また、医業外を含めた総収支でみると、黒字の病院は23・8%にすぎず、76・2%は赤字だった。【河内敏康】