2026年3月13日金曜日

庖丁人は歯が命

辻(住人注;辻嘉一)ほんとの味わいというものは、義(い)れ歯ではちょっとわからんでしょうね。わたしは入れ歯ですけど、ほんとに自分の料理人の死命を制せられたと思うたことがございます。
幸いいい先生に巡り合って、なおしていただいたんです。それは入れ歯の上あごのところをとってあるんです。料理でもお茶でも、上あごにさわればわかるんですね。おおい隠してしまったらあかんですな。
そのいい先生に巡り合ってから、おかげでまた戻ってきましたけれども。
(一九七九年)

幸田文 台所帖
幸田 文 (著) , 青木 玉 (編集)
平凡社 (2009/3/5)
P65

幸田文 台所帖

幸田文 台所帖

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/03/05
  • メディア: 単行本

 

富美 北九州市門司区

精一杯おいしくたべよう

 料理の材料にしゅんがあるように、味にも最もうまいという時間があります。焼きざましがまずいのは、時間が外れているからです。ですから、ささやかな食卓でもせめて精一杯おいしくたべようというには、許せる範囲の行儀のわるさなら目をつぶって、食べ時を逃さないほうが、私は好きです。
これからの季節もの、さんまや鯖の塩焼など、一番おいしい食べ方は七輪のそばで、ちょんつくばいにしゃがんで、焼きたてをすぐ食べることです。
いいじゃありませんか。行儀というのも常識ですが、ちょっと常識をはずしてみると、さんまのおいしさも際立ちますし、食べる人にも活気が立ちます。
(一九七八年 七十四歳)

幸田文 台所帖
幸田 文 (著) , 青木 玉 (編集)
平凡社 (2009/3/5)
P147

幸田文 台所帖

幸田文 台所帖

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/03/05
  • メディア: 単行本

 

元祖瓦そば たかせ 川棚本館

2026年3月12日木曜日

職人

 宇和島藩にすれば、蔵六に黒船もつくらせ砲台も設計させるというのでは、蔵六のために負担が重いだろうとおもい、蒸気機関については別の人間を物色していた。
 家老松根図書は、 (御家中にはひとりもいない)
と、あたまからきめこんでいた。武士というのは規則と作法ずくめの環境であたまがかたくなっており、あたまの梁や柱をたたき折って想像をそとへひろげるという力をもっていない、とみている。
そこへゆくと職人であった。 職人はたえず手足の実感で物をつくっており、その実感のなかから蒸気機関を想像することはできないかとおもった。  

花神〈上〉
司馬 遼太郎 (著)
新潮社; 改版 (1976/08)
P210   

花神(上) (新潮文庫)

花神(上) (新潮文庫)

  • 作者: 遼太郎, 司馬
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1976/09/01
  • メディア: 文庫

 

三重県 外宮

二日酔い防止

P148  その物質が、からだに何らかの悪さをする、ひろい意味での「毒」である場合、口にしてしまった時、いかにして、その毒性を抑えることができるかが問題になります。
先に書いた順でいくと、第一段階としては、吸収を抑えてやる、次には代謝をあげて速やかに分解してやる、そして、排出を促してやる、ということになります。~中略~
 物質によって、消化管のどの部位において吸収されるかが決まっています。アルコールは、炭水化物のように酵素で分解などされることなく、アルコールのままで胃や所長の上部から吸収されます。~中略~
胃の中にアルコール以外のなにかがはいっていたら吸収は遅くなり、なにもなかったらアルコールの濃度が高くなって、吸収されやすいということです。
 これを避けるためには、まずなにか胃に入れてからアルコールを飲めばよろしい。簡単なことです。嫌いだから決して飲みませんが、牛乳がよいという話はよく聞きます。胃粘膜に層を作って吸収が抑えられると説明されていますが、どうやらその説はウソらしくて、単に濃度の問題のようです。

P151
 お次は代謝。いかにして肝臓におけるアルコールの代謝をあげてやるか、です。悪酔いを抑えるとか二日酔いの防止を謳うサプリメントなどがたくさん売られていますが、その多くはこのカテゴリーに入ります。
~中略~
 ひとつは、ご存じウコン系。飲み物やら錠剤やらパウダーやら、いろんなものがいくつものメーカーから発売されています。その主成分はクルクミン。別名ターメリック、カレーにも入っているやつです。調べてみましたが、クルクミンが肝臓の働きをよくする、そして、経験的にアルコールの悪い影響をなくす、ということはわかっているけど、実際にどんなメカニズムで効いているかはよくわかっていないようです。あれだけ飲まれているのに、ちょっと意外です。
 ふたつめはアミノ酸系。ウコン系が苦くてやや飲みにくいのに比べると、こちらは味付けがよろしくて飲みやすい。アミノ酸を混合したものだけでなく、肝臓水解物、しじみエキス、牡蠣エキス、とかそれぞれ成分に特徴がありますが、おおむねアミノ酸系+αと考えていいでしょう。
 こういったサプリメントにも、肝臓の働きをあげる、といった漠然とした書き方がされているだけで、アルコールそのものの代謝にどの程度関係しているのか、というのはいまひとつわかりません。

P154
 吸収、代謝がすんで、三つ目は排出です。摂取されたアルコールの一部は、汗、尿、呼気などから直接出て行きます。ただし、通常の状態では、その量がたかだか摂取量の10%以下とされています。~中略~
 ついでにいうと、漢方薬である五苓散は二日酔いに効くとされています。うれしいことに、このお薬は、体の中の水の分布をただすことによって、悪心、嘔吐、頭痛といった悪酔いや二日酔いの症状をすべてやわらげてくれるそうです。

(あまり)病気をしない暮らし
仲野徹 (著)
晶文社 (2018/12/6)

(あまり)病気をしない暮らし

(あまり)病気をしない暮らし

  • 作者: 仲野徹
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2018/12/06
  • メディア: 単行本


三重県 外宮

林泉、我を酔わしむ

林泉、我を酔わしめて、一たび入って帰ることを忘る。
未だ就いて披(ひら)くに由なし。
高野雑筆集 巻上

山の自然は私を陶酔させ、ひとたび山に入れば都会の生活を忘れてしまいます。
申し訳ございませんが、当分独りにさせてください。

空海 人生の言葉
川辺 秀美 (著)
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010/12/11)
自然について一八二

空海 人生の言葉

空海 人生の言葉

  • 作者: 川辺秀美
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2013/02/04
  • メディア: Kindle版

 

三重県 外宮

楽訓

 貝原益軒は、健康書のはしりの「養生訓」で知られるが、実は「養生訓」を発表する前に、「楽訓(らくくん)」という本を書いている。
~中略~
「楽訓」では全三巻にわたり、人生を楽しむ意義と、楽しむ方法が述べられている。
「人の心のうちにもとよ此れ楽(たのしみ)あり」と言っており、、「楽は是、人の生まれつき楽しむために生まれてきたのだ。楽しまないことはこの世の道理にそむくとまで言い切っているから、痛快だ。
 益軒の言う楽とは、「つねに我が心の内に、天機(てんき)の生きてやはらぎ喜べる勢いの止まらざるものあり。これを名づけて楽と云ふ」とあるように、生きていることを心穏やかに喜べる、そうした境地を指している。
 こうした境地は、老後にこそ、到達できるものだろう。端的にいえば、老後は、心のなかに楽しさを満たして生きる、そんな時期だということだ。

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術(
保坂 隆 (著)
大和書房 (2011/6/10)
P21

 

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

  • 作者: 保坂 隆
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2011/06/10
  • メディア: 文庫

三重県 外宮

オトナこそ歯が命

QOLが重要視されるようになった今、医療の在り方も変わらなければなりません。もっと患者をトータルに、ひとりの人間としてとらえることが必要でしょう。そうしたとき、口は食べるためだけでなく、しゃべるため、人とかかわるためになくてはならない器官として再認識されなければならないと思います。

オトナこそ歯が命

花田 信弘 (著)
小学館 (2005/6/7)
P212

 

オトナこそ歯が命(小学館文庫)

オトナこそ歯が命(小学館文庫)

  • 作者: 花田信弘
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/07/01
  • メディア: Kindle版

 

三重県 外宮

誰でもできる歯周病予防

 美味しくしっかり食べるということでは、口腔(こうくう)ケア(口の中のケア)も大事です。
特に、歯周病の予防を忘れずに。
 歯周病予防で誰でもすぐにできる対策としては、歯ブラシは最低でも月に1本変えることです。歯ブラシは長く使っていくと、毛先が開いてしまって使いにくくなりますし、雑菌だらけになります。歯ブラシの状態が悪いと、歯垢の除去率は6割近くにまで減ってしまうともいわれています。

老人の取扱説明書
平松 類 (著)
SBクリエイティブ (2017/9/6)
P185

老人の取扱説明書 (SB新書)

老人の取扱説明書 (SB新書)

  • 作者: 平松 類
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/09/05
  • メディア: Kindle版

三重県 外宮

味覚障害

P73
年を重ねていくと味覚を感じにくくなります。同じ料理を食べていても味気ないと感じてしまうのです。55歳を超えると若い人の3倍以上味覚障害が出てきます。1)

高齢になって味覚がおかしくなるなんてあまり印象にないですよね。でもあなたも「自分の味覚は正常だ」と言い切れるでしょうか?味覚の変化はわかりにくいので、味覚低下を自覚していない人がたくさんいるのです。
~中略~
 味覚が低下すると、どんどん味付けが濃くなったり、塩分の多い料理を食べたりしてしまうため、高血圧や糖尿病にかかりやすくなってしまいます。
 また、心臓が悪い人は、味覚が弱く塩分を感じにくいことがわかっています。

P79
 年を取っても味覚を衰えさせないためにはどうするか?
一番大切な栄養素が亜鉛です。
 ~中略~
国民健康栄養調査によると1日当たりの亜鉛摂取量は、平成13年度で8・5mgだったのに対し、平成27年度は8・0mgと徐々に減っているのです。10)
 さらに悪いことに現代人は、亜鉛の接種量が減っているだけでなく、亜鉛を体外へ排出してしまっているのです。その原因は、スーパーやコンビニで売られている加工食品に含まれている食品添加物の一種であるフィチン酸とポリリン酸です。
加工食品は手軽で美味しいものも多いのですが、味覚が弱くなってしまうことも覚えておきましょう。11)
 では、亜鉛が多く含まれている食材とはどういうものでしょうか?
牡蠣、カニ、牛肉、レバー、卵、チーズなどです。

 

P81
 かみ合わせが悪くなっても、味覚の低下が起こることがわかっています。18)
歯医者さんで一度、かみ合わせをチェックしてもらうことを勧めます。

老人の取扱説明書
平松 類 (著)
SBクリエイティブ (2017/9/6)

老人の取扱説明書 (SB新書)

老人の取扱説明書 (SB新書)

  • 作者: 平松 類
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/09/06
  • メディア: 新書

 

三重県 外宮

たばこ

 たばこは天正・慶長年間(一五七三~一六一五)の近年になって、他国から渡ってきた。「淡婆姑」は日本語ではない。外国語である。
 煙草は、毒である。煙を吸い込むと目が回り倒れることもある。習慣になれば害も少なくなり少しは益もあるといわれるが、害のほうが多い。
病気になったり、火事になったりと、心配ごとが増える。習慣になると、煙草をやめられなくなり家計にも負担をかけることになる。

養生訓 現代文
貝原 益軒 (著) , 森下 雅之 (翻訳)
原書房 (2002/05)
P124

養生訓: 現代文

養生訓: 現代文

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2002/05/01
  • メディア: 単行本

  ニコチンは脳に快楽をもたらすと同時に、タバコ中毒を誘発する。
 不思議と世間ではニコチンのあしき面ばかりが強調されているが、好ましい作用も多い。ニコチンには脳を覚醒させ集中力を高める働きがあり、記憶力を増強させる。
パーキンソン病の症状を改善させる効果もあるらしい。また、アルツハイマー病などの認知症患者の脳ではアセチルコリン作動性神経が劇的に減っている。
つまり、ニコチンの脳内作用を解明することは、健康な脳がどうやって記憶や集中力を保持するかを理解するための足がかりになるだけでなく、脳疾患の治療に向けて有用な知見をもたらす可能性さえあるのだ。

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?
池谷 裕二 (著)
祥伝社 (2006/09)
P290  

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)

  • 作者: 裕二, 池谷
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/05/28
  • メディア: 文庫

P117
 アメリカの著名な研究者は、「非喫煙者の、どこをどう押してもタバコと関係なさそうな腺癌が増えている、その原因について私らは何も分からないし推測すらできない。今できるのは患者の血液や腫瘍サンプルを保存して、将来的な解析に備えることだけである」と言っていた。
アメリカは教条主義的な国であって、肺癌はイコール喫煙にきまっている、他の要素のあろうはずがない、だから治療の研究なんか金を使うのは言語道断という人たちも多いので、こういう「わからない」こと正直に告白する研究者はそれだけで尊敬に値すると、私は思う。
 これだけではむろん、タバコ反対の根拠は何も揺るがない。仮に肺癌を(もしくは他の病気を)根絶させることができないにしても、相当数(おそらくは大部分)減らせるだけでも、タバコを失くす意義は十分にあるのだから。ところが以前、私がある学術誌で、「禁煙と関係ないであろう肺癌もある、しかも増えていると思われる」と書いたところ、「そういうことを書いて研究者生命を断たれた医者もいるから、お前も気をつけたほうが良い」という有り難いご忠告(一般人には脅迫の範疇に入る)の手紙をいただいた。

P119
 タバコは有害である。やめた方がよろしい。それは間違いない。しかしアルコールだってそうだろう。~中略~
 健康や生命はそれ自体貴重なものであるが、他のすべてに優先するものか、これを第一義的に尊重するのが唯一の正義なのか、私には確信はない。私には、今の禁煙運動の正義は、愛国婦人会の正義と重なるのではないかという疑念がどうしても拭えない。

偽善の医療
里見 清一(著)
新潮社 (2009/03)

偽善の医療 (新潮新書 306)

偽善の医療 (新潮新書 306)

  • 作者: 里見 清一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/01
  • メディア: 新書

喫煙は頭を悪くします。考えたり、創作したりすることを不可能にします。
それは怠け者や退屈している人々だけのすることです。彼らは人生の三分の一を寝て過ごし、三分の一を飲食その他、必要な、あるいはむだなことで空しく過ごし、そうしておいて、人生は短いと口ぐせに言いながら、残りの三分の一をどうすべきか知らないのです。
そうした怠け者にとっては、パイプに親しむこと、空中に吐く煙をながめることは、時間つぶしになるので、利口な楽しみです。
喫煙にはビールもつきものです。それで、熱くなった口腔がさまされるのです。
(「クネーベルへ、一八〇八年)

ゲーテ格言集
ゲーテ (著), 高橋 健二 (翻訳)
新潮社; 改版 (1952/6/27)
P84

ゲーテ格言集(新潮文庫)

ゲーテ格言集(新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/04/22
  • メディア: Kindle版

禁煙、禁煙とプレッシャーを感じているくらいなら、「タバコはやめません」と腹をくくってしまうのも一つの考え方ではないだろうか。
はっきり言ってしまえば、この年齢までタバコを吸ってきたのだから、いまさらやめても手遅れの感があるのも否めない。
 そう思うくらいなら、いっそ、タバコをおいしく楽しんでしまえばいいのである。
どうせなら、心の底から「うまい」と思って吸うことだ。「やめなければ」「やめなければ」と罪悪感を持ちながら吸うのと、「うまいなあ」と楽しんで吸うのでは、心に与える影響がまるで違う。「やめなければ」という思いのストレスのほうがマイナスが大きいことも考えられよう。

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術
保坂 隆 (著)
大和書房 (2011/6/10)
P201

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

  • 作者: 保坂 隆
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2011/06/10
  • メディア: 文庫

三重県 外宮