2012年3月30日金曜日

ホタルイカに脂肪肝の改善効果

ホタルイカに脂肪肝の改善効果
読売新聞  3月29日(木) 配信

「富山湾の神秘」とも呼ばれるホタルイカに脂肪肝を改善する効果があることを、富山短大食物栄養学科の竹内弘幸准教授(47)らの研究グループが動物実験で初めて実証した。

イカにはコレステロール値を下げる作用のあるタウリンが多く含まれていることが、これまでにわかっている。竹内准教授らは、富山県特産のホタルイカにも同様の作用があるとみて昨年4月に研究を始めた。
実験では、ラット21匹を7匹ずつ3グループに分け、それぞれに、通常の餌、ホタルイカの凍結乾燥粉末を5%混ぜた餌、スルメイカの同様の粉末を5%混ぜた餌を2週間与え続けた後、血液と肝臓を調べた。
その結果、ホタルイカを与えたグループは通常の餌を与えた場合に比べ、肝臓の中性脂肪量が平均で3割減少した。一方、スルメイカの場合は1割減にとどまった。血中コレステロール濃度も、スルメイカでは1割減だったが、ホタルイカでは2割減ったという。
ホタルイカを与えたラットの肝臓の遺伝子を解析したところ、脂肪合成に関係する遺伝子の働きが抑えられていることもわかった。竹内准教授は「有効成分の特定や、人間が食べても効果があるのかどうかは、これからの研究課題。有効成分が見つかれば、脂肪肝の治療につながるかもしれない」と話している。
研究成果は5月18-20日に東北大学で開かれる日本栄養・食糧学会で発表される。

2012年3月27日火曜日

46歳開業医が自殺、個別指導が原因か

日医代議員会、新潟県代議員が指導・監査の改善求める
2011年10月25日 橋本佳子

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10月23日の日本医師会の第125回臨時代議員会で、新潟県代議員の吉沢浩志氏は、新潟市内の46歳の開業医が今年8月5日に自殺したと説明、その原因は個別指導であると見られるため、指導・監査の改善を要望した。
吉沢氏は、個別指導の対象となる保険医療機関の選定基準の明確化などを求めるとともに、2010年秋の臨時代議員会で、日医が指導大綱・監査要綱の見直しを求めると説明したことに対し、その進捗状況を質した。
吉沢氏によると、自殺した医師は、自殺の10日前に個別指導を受けたという。「算定要件を満たしていない特定疾患療養管理料、外来管理加算などの指摘で、過去1年間にさかのぼって、自主点検の上、返還するよう指導が行われた。
この個別指導に立ち会った新潟県医師会理事は、『特別な状況があったとは思われない』と報告している。
遺族に聞いてみると、『その後、嫌がらせの電話が続いていた。決して個別指導が関係ないとは言えない』とのことだった」(吉沢氏)。
誰からの嫌がらせかについては言及しなかったが、個別指導との関連が疑われるとした。

日医常任理事の鈴木邦彦氏は、「開業医の自殺の原因が、個別指導の行き過ぎた内容であったとすれば、あってはいけないこと。指導・監査については、まず運用の見直しで対応できるものがあると考え、厚生労働省と協議を続けている」と回答。
厚労省との協議では、まず集団的個別指導について、
(1)対象医療機関を選定する際の類型区分を時代にマッチしたものに改める、
(2)集団的個別指導を医師会のピアレビューと連携させる可能性、
(3)継続して高点数であった場合の個別指導への連動の改善――
などについて協議をしているとした。(1)については、在宅医療、あるいは高額薬剤の投与の場合に高点数になり、指導対象になる場合などを検討、「合意に達したものについては、来年度中にも改善していきたい」と鈴木常任理事は説明。さらに今後は、新規指定保険医療機関に対する個別指導の位置付けについても改善していくとした。ただし、指導大綱・監査要綱の見直しには触れなかった。
また吉沢氏は、新潟県における個別指導の現状も紹介。個別指導は、2010年度は、診療所51件、病院9件、計60件、うち「情報提供による指導」は、診療所9件、病院2件、計11件。2011年度はこれまでに診療所19件、病院3件、計22件が行われた。そのうち、「情報提供による指導」は診療所6件、病院1件、計7件で増加傾向にあるとした。「個別指導の対象の選定基準に、『情報提供による指導』があるが、その情報の出処や詳細は知らされず、信憑性も明らかではない」(吉沢氏)。
この点について、鈴木常任理事は、「情報提供者の保護の観点から、慎重に対応する必要があると考えている。今後、プライバシーを保護した上で、情報提供について納得できる説明が可能になるかを検討していきたい」と回答した。
新規医療機関に対する再指導の増加を問題視
個別指導に関連して、愛知県代議員の市川朝洋氏は、「新規指定保険医療機関に対する個別指導後の再指導が増えている上、再指導のあり方も問題。厚生労働省がこの再指導は、今後、一般の個別指導と同様に実施する方針であることが、地方厚生局から県医師会に伝えられた。新規の医療機関に対する個別指導は、“見習い運転”に対する教育的指導だが、再指導であれば、診療報酬の返還もあり、自主返還も1年間さかのぼる。これを是とするのか、非とするのか」と質問。
鈴木日医常任理事は、「新規の医療機関に対する個別指導は、一般の個別指導と一緒に行うことはあってはならず、教育的指導であるべき。(市川氏が紹介したような)事例は私どもには情報が入ってきていない。確認した上で、行き過ぎの方向に行かないよう厳重に申し入れていく」と回答した。
市川氏はこの回答に納得せず、「地方厚生局では、『厚労省の方針として、新規医療機関の再指導を一般の個別指導の形で行うようにする。来年には(個別指導の対象を決める)選定委員会に話を載せる』と言っているのに、日医に話はないのか」と返した。
同じく愛知県代議員の柵木充明氏も、「東海北陸厚生局長宛てに、中部ブロック圏の県医師会会長名で要望書を出している。厚生局は、厚労省に聞いてほしい、との回答だったので今日質問した。日医として事実確認して善処してもらいたい」と求めた。さらに、東海北陸厚生局長に対しては、前回改定から導入された診療報酬改定に伴う集団指導が、会員からの評判が非常に悪いために、従来通り医師会、医会などに任せるよう要望していることも説明。「この問題も厚労省に、ということだった」と述べ、柵木氏は日医に対応を求めた。
診療報酬、「5年間にさかのぼり返還」は問題
そのほか代議員会では、保険診療に関して、以下のような質問も上がった。 
埼玉県医師会長の金井忠男氏は、診療報酬の施設基準に合致しているかどうかを確認する、「施設基準等適時調査」のあり方を問題視。「適時調査は、年に1回、届出の受理から6カ月以内に実施するとされているが、実際は病院には数年に1回、診療所に対してはほとんど行われていないのが現状。しかし、実施された場合には5年間にさかのぼって返還が求められる」と金井氏。
鈴木日医常任理事は、「適時調査では、不合理かつ過大な返還が求められることもある。厚生局の事情で遅れているため、自主返還は最大1年になるよう厚労省に求めている」と回答。
レセプトの縦覧点検、トラブルの懸念も
初診料の算定要件の明確化を求めたのは、愛知県代議員の加藤雅通氏。「診療所の監査で、慢性に経過することが公知の疾患で、最終診療から6カ月後に初診料を算定したことが不正だとされた。高血圧など特定疾患療養管理料の対象疾患以外については、慢性疾患の解釈が不明であり、その解釈を(地方厚生局に)聞いたが、明確な答えは得られなかった」と加藤氏は訴える。
加藤氏は、「今後、支払基金でレセプトの縦覧点検が実施されれば、従来は問題なしとされていたケースが、不正とされたり、初診料算定の解釈が現状と異なれば現場は混乱する」と指摘、初診料の算定ルールなどの明確化を求めた。
これに対し、鈴木日医常任理事は、初診料は、患者が任意に診療を中止し、1カ月以上経過した場合は、同一病名または同一症状によるものでも、初診として取り扱うことが可能とされていることを説明。「慢性疾患であるかどうかは、医師の判断であり、ケースバイケース。慢性疾患とは何かを決めることは、医師の裁量権を狭めることになる」と回答。レセプトの縦覧点検については、想定される問題点を整理し、支払基金と話し合うとともに、ルールが決まった場合には周知徹底するとした。


11/16号 「個別指導で開業医自殺、厚生局に疑問」
2011年11月16日 (
「地方厚生局は、同じような情報が何回も来ると、動かざるを得ないという状況は問題」。新潟県医師会副会長の吉沢浩志氏は、こう指摘します。吉沢氏は先月10月の日本医師会臨時代議員会で、指導を苦に自殺したと思われる開業医の例を挙げ、指導・監査のあり方を問題視しました(『46歳開業医が自殺、個別指導が原因か』を参照)。
改めて吉沢氏にインタビューしたところ、指導・監査の最近の問題点として以下の三つを挙げています。
◆「情報提供による指導」が明らかに増加
新潟県では、2010年度は、診療所51件、病院9件、計60件に個別指導が行われ、うち「情報提供による指導」は、診療所9件、病院2 件で計11件。2011年度はこれまでに診療所19件、病院3件、計22件で、そのうち、「情報提供による指導」は診療所6件、病院1件、計7件。
⇒ 「支払基金や国保連以外からの情報提供による指導は、出所や信憑性が明らかではない中、指導に進んでいくような状況」(吉沢氏)
◆個別指導を中断し、同一日の午後から続いて監査に移行したケースあり
⇒ 「本来であれば、個別指導を行っても、改善が見られない場合は再指導をやり、それでも問題がある場合に初めて監査に入る。これがルールのはず」(吉沢氏)
◆診療報酬適正化連絡協議会の設置
   ⇒ 「協議会は、県、地方厚生局、支払基金、国保連の四者で構成、そこには医療関係者は入っていない。四者が、お互いが持っている情報を共有することが協議会設置の一つの目的。協議会の議論は総論が中心で、一般的な傾向などの把握の場であるとしているが今後も注視していく」
診療報酬適正化連絡協議会は今年2月に厚生労働省通知で打ち出されたもの。行政刷新会議の事業仕分けを受けて設置された「審査支払機関の在り方に関する検討会」が2010年12月10日にまとめた「議論の中間的整理」などを受けた対応。「審査支払機関における審査を効率的・効果的に行う」ことなどが目的です。
自殺した開業医の事例については、指導の発端が、支払基金や国保連以外からの「情報提供」であり、実際にその開業医に対して個別指導が行われたことが、当事者以外が知っていることなどから、地方厚生局の情報管理のあり方を吉沢氏は問題視しています。
指導・監査については、長年、様々な場で問題視され、今年5月末には、国が監査で保険医療機関指定を取り消したことは違法だとする、東京高裁判決もありました(『国が上告断念、「保険取消は違法」が確定』を参照)。

2012年3月14日水曜日

首相、小泉改革を批判 「医療が崩壊した」

首相、小泉改革を批判 「医療が崩壊した」
共同通信社 3月9日(金) 配信
 野田佳彦首相は8日の衆院財務金融委員会で、小泉内閣の構造改革による社会保障費抑制について「かなり無理が生じたのではないか。
結果として医療崩壊、介護難民などの弊害につながった」と批判した。
その上で、自らが手掛ける社会保障と税の一体改革については「国民生活が第一との理念で必要な手当てをする」とアピールした。
 小泉内閣の地方交付税見直しや補助金削減、税源移譲による国・地方の三位一体改革についても「地方の疲弊につながった」と指摘した。公明党の竹内譲氏への答弁。

ビタミンE 取りすぎ注意

ビタミンE 取りすぎ注意 骨粗しょう症リスク高まる 慶大チーム
毎日新聞社 3月5日(月) 配信
ビタミンEを取り過ぎると骨粗しょう症を起こす危険があることを、竹田秀・慶応大特任准教授の研究チームが突き止めた。
ビタミンEは、老化防止に有効とされる抗酸化作用があり、最も人気のあるサプリメント(栄養機能食品)の一つ。
4日付の米科学誌ネイチャーメディシン(電子版)に発表した。
 健康な骨は、骨を作る細胞と壊す細胞「破骨細胞」がバランス良く働いて維持される。ビタミンは骨の強度に関わり、特にビタミンDは骨粗しょう症の治療に活用されている。
しかし、ビタミンEの働きは謎だった。 チームがビタミンEを取り込めないマウスを作って調べたところ、破骨細胞の働きが弱く全身の骨量が多いことに気づいた。
そこで、破骨細胞を培養し、ビタミンEを加えると、破骨細胞が巨大化することを発見。解析すると、ビタミンEが破骨細胞の巨大化に必要なたんぱく質の合成を促していることを突き止めた。
 さらに、正常なラットに毎日10ミリグラムのビタミンEを含んだ餌を8週間与えると、骨を壊す細胞の活動が高まり、骨粗しょう症になった。
10ミリグラムは、人が1000ミリグラム摂取するのに相当し、主に海外で同量程度を含んだサプリメントが流通しているという。
 厚生労働省が定めるビタミンEの摂取上限は年代、性別で異なるが、最大は30~49歳の男性で1日当たり900ミリグラム。
食品では魚卵や植物油、ナッツ類に豊富だが、例えばアーモンドでも100グラム当たり約30ミリグラムで日常の食生活では問題ない。
 竹田さんは「サプリメントの量ならば、骨がもろくなる可能性はある」と話す。【久野華代】

女性の肥満、所得で差

女性の肥満、所得で差 200万円未満25%、600万円以上13% 厚労省10年 国民健康・栄養調査
毎日新聞社 2月1日(水) 配信

国民健康・栄養調査:女性の肥満、所得で差 200万円未満25%、600万円以上13%--厚労省10年  所得が比較的低い人ほど喫煙率が高く、女性は肥満の割合が高い傾向がみられることが厚生労働省が10年に実施した国民健康・栄養調査で分かった。
国が所得水準と生活習慣との関連について調査したのは初めて。【佐々木洋】
 調査対象の約3200世帯の所得を「600万円以上」「200万~600万円未満」「200万円未満」に3区分し、「体形」「食生活」「運動」などの項目で比較した。 喫煙者の割合は「600万円以上」の世帯が男性27・0%、女性6・4%、「200万~600万円未満」は男性33・6%、女性8・8%、「200万円未満」は男性37・3%、女性11・7%と、所得が低いほど増加する傾向が認められた。
 身長体重の数値から「肥満」と分類される人の割合は、男性は所得とは関連が認められなかったのに対し、女性は3区分ごとに13・2%、21・0%、25・6%と差が付いた。
 一方、成人の喫煙率は男性32・2%(前年比6ポイント減)、女性8・4%(同2・5ポイント減)で男女とも86年の調査開始以来、過去最低を記録した。
下げ幅も少なくとも03年以降では最大で、たばこ税の増税に伴う10年10月の値上げが影響した可能性もある。
 厚労省は、所得により生活習慣に差があることについて「健診や医療、健康づくりに関する情報へのアクセスといった点で影響が出ている可能性がある」としている。