2012年4月23日月曜日

原因物質解明、九大チーム 「神経障害性疼痛」

共同通信社 4月6日(金) 配信

 九州大の津田誠(つだ・まこと)准教授(神経薬理学)らの研究チームは、がんや糖尿病で神経が損傷し、慢性的な激しい痛みに襲われる「神経障害性疼痛(とうつう)」を引き起こす原因物質が「IRF8」というタンパク質であることを突き止めたと、5日付の米科学誌セル・リポーツ電子版に発表した。
 津田准教授によると、神経障害性疼痛の患者は世界で約2千万人いる。服を着るなど肌に軽く触れただけでも激しい痛みを感じ、モルヒネなどの鎮痛薬も効果が薄く、有効な治療法がないのが現状という。
 これまでの研究では、神経が損傷すると、脳や脊髄にある免疫細胞「ミクログリア」が過度に活性化し、神経を興奮させる物質を作り出して痛みを引き起こすことは判明していた。ただ、ミクログリアが活性化するメカニズムは解明されていなかった。
 津田准教授らは、ミクログリアを活性化させる"スイッチ"として、同細胞だけに存在するIRF8に着目。神経が損傷するとミクログリアの核内でIRF8が増加し、活性化状態になることを、マウスを使った実験で実証したという。
 津田准教授は「IRF8の働きを抑えることで、慢性痛を緩和できる可能性がある」と指摘。既存薬を用いたIRF8の抑制などの研究を進めたいとしている。

東大が不正疑惑を調査 論文取り下げ、教授は辞職

共同通信社  4月6日(金) 配信


東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明(かとう・しげあき)教授が発表した複数の論文に、捏造(ねつぞう)や改ざんなどの不正を疑う指摘があり、東大が専門委員会で事実関係を調べていることが5日分かった。

加藤教授は3月末、米医学誌セルに2003年に掲載された遺伝子疾患の仕組みに関する論文に、不適切なデータの処理があったとして論文を取り下げ、大学を辞職した。東大によると、辞職の理由は「一身上の都合」という。

東大には1月、この論文を含む計24本に不正の疑いがあるとの指摘が外部から寄せられた。加藤教授の辞職後も調査は継続しており、不正があると認められた場合は処分を検討する。

加藤教授は分子生物学研究の第一人者で、セルやネイチャーなど一流の科学誌に成果を多数発表。学会が科学的不正問題を討論したシンポジウムにパネリストとして参加したこともある。