イチゴからイヌの歯周病薬 量産化に成功、年内申請へ 「ぐるり北海道」
2011年1月24日 提供:共同通信社
密閉した植物工場で生産した遺伝子組み換えイチゴから、イヌの歯周病薬を量産する技術開発に、独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)などが成功した。遺伝子組み換え作物の利用でコストが千分の1になる試算もあり、臨床試験を経て、年内にも認可申請する見通しだ。
産総研の北海道研究センター(札幌市)と北里研究所(東京)、ホクサン(北広島市)による共同開発。産総研によると、2歳以上のイヌの8割が潜在的に歯周病に罹患(りかん)。口臭や歯が抜けるなどの症状だけでなく、寿命にも影響がある。だがコストの問題などから薬は未開発だった。
研究グループは、種でなく子株で繁殖するため遺伝的に同じ作物が生産できる果物のイチゴに着目。2004年から、細胞に薬効成分のイヌインターフェロンを組み込んだイチゴの開発を始め、06年に完成した。医薬品としての実用化には、同質のイチゴを繰り返し生産する完全な"再現性"も必要で、密閉した植物工場での栽培技術も求められた。
薬は、イチゴを凍結乾燥した粉末状。常温保存が可能で、1日1回イヌの歯茎に塗る。臨床試験は最終段階に入っているという。
産総研の松村健(まつむら・たけし)・植物分子工学研究グループリーダーは「人間の薬での実用化には時間がかかるが、商用化への突破口を開くことが何より重要。認可にこぎつければ、この分野への新たな企業の参入も期待できる」と話している。
2011年1月25日火曜日
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