2025年9月2日火曜日

がん治療で二次的がん

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 小児がん全体でも、およそ7割が治る時代になったとされています。よろこばしいことなのですが、それにつれて、小児がんを克服した子どもたちが成長した後に生じる晩発障害が問題になるようになってきました。成長期にある子どもに放射線治療や抗がん剤による化学療法をおこなうことにより、成長や内分泌系などに異常が生じることがわかってきたのです。
 まずは、がんを治療することが最重要目標なので、いたしかたない面もあり、難しい問題です。
がんの治療では、抗がん剤や放射線によってDNAに傷がつく、すなわち突然変異の生じることもあるので、治療が原因で二次的にがんが生じる場合もあります。ですから、大人のがんにも増して、小児がんの治療は、必要にしてできるだけマイルドな治療が望ましいのです。

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ある種の抗がん剤は、DNAに結合して、がん細胞を殺します。そのDNAに対する作用が、がん細胞にだけ効けばいいのですが、どうしても正常な細胞にも効果をおよぼしてしまうのです。
 抗がん剤や放射線による治療が原因であるがんを二次性がんといいます。一般的に、このようにしてできる二次性がんは、複雑な染色体異常の頻度が高く、治療が難しいとされています。
また、若年における治療ほど二次性がんを引きおこしやすいことも知られています。なので、最初に悪性腫瘍を治療しきれなかったらどうしようもないのですが、できるだけ少量の抗がん剤や放射線で治癒させることが望ましいのです。

こわいもの知らずの病理学講義
仲野徹 (著)
晶文社 (2017/9/19)

こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義

  • 作者: 仲野徹
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: 単行本

坊ガツル 大分県

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