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ビンチョウ炭は良質の無煙炭割れ肌のような金属的な光沢をもち、たたきあわせると音までが金属的で、いかにも火力がでそうである。
そのくせ、松炭などよりはるかに低温で、六〇〇度しか出ない。低温であるということも温度にむらがないという特性のために、日本料理には欠かせないものとされてきた。
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ビンチョウ炭というこの奇妙な名称は、物の本によると、元禄年間に紀州田辺の商人備後屋長右衛門(略称・備長)が江戸へ売りだしたからこの名ができたということになっているが、べつに備長が創案したものではなく、土地に長く伝わっていた知恵を備長が商品化しただけのことなのであろう。
街道をゆく (8)
司馬 遼太郎(著)
朝日新聞社 (1995)

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