2026年3月4日水曜日

ペット

  チャピという男(住人注;ベネズエラの熱帯雨林にすむヤノマミ)に尋ねた。
「私が次に来る時、いちばん持ってきて欲しいものは何?」
刃物やアルミ鍋と答えると思っていた。ところが「犬がいいなあ」と思いがけない答えが返ってきた。
 犬は彼らのペットだ。犬以外にバク、サル、インコ、ペッカリーなどもペットとしてかわいがる。
~中略~
男たちはハンターでもある。弓を引く姿は実にりりしい。
狩猟をしてもペットになった動物には特別な感情を持つ。死んでも決して食べない。インコが死んだ時、一家で三日間泣き続けていた。
 犬は狩りの役に立たない。連れて行っても獲物を追いかけるけれど、自分で食べてしまうのだ。ペルディスというウズラに似た野鳥をペロリと食べ、口の周りを血だらけにした犬を見たことがある。飼い主のあぜんとした顔が忘れられない。
 それでも彼らは犬を大切にしている。

関野 吉晴 (著)
グレートジャーニー―地球を這う〈1〉南米~アラスカ篇
筑摩書房 (2003/03)
P110

グレートジャーニー ――地球を這う〈1〉南米アラスカ篇 (ちくま新書)

グレートジャーニー ――地球を這う〈1〉南米アラスカ篇 (ちくま新書)

  • 作者: 関野吉晴
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2014/10/31
  • メディア: Kindle版

 

この国では昔から、猫の飯は残飯に鰹節(かつおぶし)をかけたものと決まっていて、犬の飯は魚の骨やら肉片、野菜の煮物にそれらの煮汁か味噌汁の残りを残飯にかけた「汁飯」と決っていた。
「猫飯」は汁がないから、猫の食べ方は静かである。犬はピチャピチャと音を立ててまず汁を平らげ、それからおもむろに中身にとりかかる。そのピチャピチャに犬のいそいそした気持が滲み出ていて可愛かった。
 だが今はドッグフードなるコロコロが犬の常食になった。毎日毎日、来る日も来る日も何年も、同じコロコロを食べてよく飽きないものだと思う。
何かしらヘンだ。不気味だ。もうピチャピチャに始まる食事ではなく、初めから終わりまでカリカリ、カリカリだ。
だが、「それでいいのです。ドッグフードなら栄養も考えられているし、第一、糞が臭わないのがいい」と皆がいう。そうかもしれない。そうかもしれないが、そうでなければいけない、ということもないだろう。

九十歳。何がめでたい
佐藤 愛子 (著)
小学館 (2016/8/1)
P115

九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

  • 作者: 佐藤愛子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/08/01
  • メディア: 単行本

 

客観的な観察などありえない

興味深く、また重要なことだが、観察とは、主観的なものだ。客観的な観察などありえない。
どんな階級のどんな書き手が報告したものを集めたところで、それが詩人であれ、哲学者であれ、科学者であれ、それはひとりひとりの人間の経験に過ぎない。
―「日記」一八五七年七月二日

ソロー語録
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(著), 岩政 伸治 (翻訳)
文遊社 (2009/10)
P93

ソロー語録

ソロー語録

  • 出版社/メーカー: 文遊社
  • 発売日: 2009/10/01
  • メディア: 単行本

 

大台ヶ原山 奈良県

場を見せるな

「いざ闘いがはじまったら、敵を自分の左の方へ追い廻すようにせよ。そして難所が敵のうしろになるように、ともってゆく。
敵が難所にはいっても気づかせないように、油断せず追い詰める。”場を見せるな”というのがこれだ。(略)」
(場の次第ということ)

奈良本 辰也 (著)
宮本武蔵 五輪書入門
学習研究社 (2002/11)
P164

宮本武蔵 五輪書入門 (学研M文庫)

宮本武蔵 五輪書入門 (学研M文庫)

  • 作者: 奈良本 辰也
  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2022/04/04
  • メディア: 文庫

 

大台ヶ原山 奈良県

ポジション・チェンジ

 P113
 NLPでは、自分や相手などの視点のことを「知覚位置」といい、「第1の位置」「第2の位置」「第3の位置」があります。

「第1の位置」は自分自身の視点です。自分の考え方を持ち、自分の感情を感じます。
「第2の位置」は相手の視点です。あたかも、自分がその相手であるかのように、相手の考え方を持ち、相手の感情を感じます。
「第3の位置」は第三者の視点です。自分でも相手でもない中立的・客観的な視点です。
P117
 知覚位置を変える体験をするスキルを「ポジション・チェンジ」といいます。
 ポジション・チェンジをすると、相手の考え方や気持ちに気付いたり、中立的な視点で自分と相手との関係性に気づくことができます。

脳と言葉を上手に使う NLPの教科書
前田 忠志 (著)
実務教育出版 (2012/3/23)

脳と言葉を上手に使う NLPの教科書

脳と言葉を上手に使う NLPの教科書

  • 作者: 前田 忠志
  • 出版社/メーカー: 実務教育出版
  • 発売日: 2012/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

九重連山 大分県

思考のクセ

「思考のクセ」には、いくつかのパターンがあります。
代表的なものとして挙げられるのが、「べき思考」「どうせ思考」「過去執着思考」「「未来不安思考」「「完璧思考」の五つ。

メンタルトレーニング実践講座
田中ウルヴェ京 (著)
PHP研究所 (2009/7/18)
P103

メンタルトレーニング実践講座 (PHPビジネス新書 103)

メンタルトレーニング実践講座 (PHPビジネス新書 103)

  • 作者: 田中ウルヴェ京
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2009/07/18
  • メディア: 新書

坊ガツル湿原 大分県竹田市

「知らない」は「知りたくない」

 さて今しがた、「知らない」と言い張るのは、誤解しているからだといいました。
ところが、まさに誤解する目的を問題にすると、そういうふうに「知らない」というのはほんとうは「知りたくない」ということなのだということなのだということがひょとすると明らかになるかも知れません。
さて、「知らない」という裏にあるのは、責任回避なのです。その人は、反射的に、責任回避をしなければならないという気持ちになるのです。
それは、共同の罪を引き受けなければならないことをおそれるからです。つまり、自分がまったく関与していないことがら、それどころか多くの場合「なにも知らなかった」ことがらに関して、罪を着せられ同罪だと言われることがよくあるのです。

それでも人生にイエスと言う
V.E. フランクル (著), 山田 邦男 (翻訳), 松田 美佳 (翻訳)
春秋社 (1993/12/25)
P143

それでも人生にイエスと言う

それでも人生にイエスと言う

  • 作者: V.E. フランクル
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 1993/12/25
  • メディア: 単行本


愛媛県 石鎚山

五つの妨げ

P182
 道の者よ、迷いに満ちたおのれの心の状態に気づくがよい。そこには”五つの妨げ”がある。

 すなわち、①快楽に流される心、②怒り、③やる気の出ない心、④そわそわと落ち着かない心、そして⑤疑い、である。
 気づくがよい。このような心の状態では、物事をよく理解することも、正しく考えることもできない。ゆえに苦しみの連鎖は、いつまでも続くであろうと。
                    ―若き修行者への訓誡 マッジマ・ニカーヤ

P190
 仏教では、「心の弱さ」「妨げに負けてしまう心」を、ありのままに見ます。
 人間ですから、弱さはあります。妥協もします。快楽や怠惰に流されることもあります。
 それは事実なのだから、否定してもしようがありません。本当の自分とは”頑張れる自分”から”弱い時分”(五つの妨げ)を引いた残りなのです。
 そのいわば「等身大の自分」は、良いとも悪いとも、本当は判断できません(すべきではありません)。というのは、当たり前のことですが、それ以外の自分は存在しないからです。

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
草薙龍瞬 (著)
KADOKAWA/中経出版 (2015/7/31)

愛媛県 鎚山

直観は案外に正しい


危機に直面した時、人間の直観は案外に正しい。危機の時、何より正しい教科書は、マニュアルや想定より、目の前になる現実だ。そこが避難所に指定されているからといって、安全という保障は何もない。

天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災
磯田 道史 (著)
中央公論新社 (2014/11/21)
P199

天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)

天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/11/21
  • メディア: 新書

P175
春日 たとえば、一見普通に見えるんだけれど、こっちの身体のどこかで「何か変だぞ」というアラームが鳴る患者さんがいます。
 そんなふうに「何か変だ」と思っても、表面上は問題なさそうに見えるからとそのままにしておくと、あとでトラブルが起きたってことはよくあります。そういう一般化できない違和感は誰しも感じているし、それを指摘できるかどうかは大事だと思いますね。
内田(住人注:内田 樹) アラームの話はまさに同感です。学生の就職活動の話を聞いてみても、会社を訪問したときに「何か変だぞ」ということを感じているにもかかわらず、資本金とか給料とか、福利厚生のような可視的な数値を信じて「いい会社だ」と判断してしまって、後で失敗だって気づく人が多いんですよ。 「身体が感じるアラーム」というのは頭脳による知的な判断ではなくて、身体的な反応ですよね。相手から出ている、微妙なノイズを、頭は反応しなくても、身体はどこかで感じている。
瞬きの回数とか、喋っている言葉とピッチのずれとか、視線とか、そういった微細な情報を身体はキャッチしている。それに耳を傾けることが重要だと思うんですが、今は知的判断を優先させてしまうことが多いんですよね。

P177
春日 つまり言語化しづらい違和感ってことですよね。雑誌などに載っている間違い探しで、二つの絵が並べてあって違いを見つけろっていうのがあります。そういう場合、たとえば、「片方に何かがあって、もう片方にない」というのは比較的見つけやすい。けれど、「腕の角度がちょっと違う」とか「足の長さが違う」というのは、よほどその気にならないとわかりません。
 そういう違いというのは、非常に言語化しづらくて、見つけにくいのだけれど、直感的に「何かが違う」ということはわかる。そういう感じですよね。

「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室
春日 武彦 (著)
医学書院 (2007/07))

「治らない」時代の医療者心得帳-カスガ先生の答えのない悩み相

「治らない」時代の医療者心得帳-カスガ先生の答えのない悩み相

  • 作者: 春日 武彦
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2007/07/01
  • メディア: 単行本

大台ヶ原山 奈良県 大蛇嵓

感覚は当てにならない

P172
毎日立って前を向いて歩いているでしょう(住人注;90日の間、ひたすらお経を唱えながらぐるぐる回る「常行三昧」)。
そうすると、(住人注;「常行三昧」が終わっても)目の前にあるものはすべて真正面にあるものだと思い込んでしまうんだよ。寝ていて見える天井だって、天井に見えず、壁に見えてしまう。
 習慣っていうのはそれくらい人の感覚を狂わせてしまうんだな。

天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉 (著)
一日一生
朝日新聞出版 (2008/10/10)

一日一生 (朝日新書)

一日一生 (朝日新書)

  • 作者: 天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: 新書


 脳が、空間に占めるからだの拡(ひろ)がりを明確に把握している、というのはどういうことか、ちょっとでも考えたことがありますか?
実は、左脳の方向定位連合野に、からだの境界を明確にする細胞があり、それによって、からだがまわりの空間と相対的にどこから始まり、どこで終わっているかがわかるのです。
同時に右脳の方向定位連合野には、空間でのからだの向きを決める細胞が存在します。その結果、左脳は、体がどこで始まってどこで終わっているかを教えてくれ、そして右脳が、わたしたちを好きな方へ向かわせてくれるのです。※6

ジル・ボルト テイラー (著), Jill Bolte Taylor (原著), 竹内 薫 (翻訳)
新潮社 (2012/3/28)
P331

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/03/28
  • メディア: 文庫

徳島県 剣山

自然は優しい

 ぼくの経験では、もっとも親身で優しく、純粋無垢で力になってくれるような友人は、自然のなかにはいくらでもいる。それは、哀れな人間嫌いの人や、やたらとふさぎこんでいる人にとっても同じことだ。
自然の中に住み、自分の感覚をもち続けていれば、先の見えない憂鬱などありえない。―「森の生活」

ソロー語録
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(著), 岩政 伸治 (翻訳)
文遊社 (2009/10)
P10

ソロー語録

ソロー語録

  • 出版社/メーカー: 文遊社
  • 発売日: 2009/10/01
  • メディア: 単行本

 

 私はしばしば山に登る。それは山がいつも私の前に立っており、私はただわけもなく、それに登りたくなるのだから。
あながち「岩の呼ぶ声」に惹きつけられるというのでもない。私にはむしろ岩は多くの場合恐怖の対象物でしかあり得ない。
「雪と氷を追って」私の若い血潮が躍るのでは更にない。「白い芸術」は私には余りに遠い世界に距(へだた)っており、氷の労作(アイス・ワーク)は私には肉体的にも精神的にも余りに大きな負担であり、痛苦と屈服のみ与えこそすれ、なんら、戦闘意識といったものすら起し得ないからである。
私には、私の山、千メートル級の山々の何物をも限界から奪い去るひどいブッシュの中であってもいいのだし、また単に山々の懐深く入りながら、かえって峰々の姿も見ないで谷から谷へと歩くばかりでもいいのである。

新編 単独行
加藤文太郎 (著)
山と渓谷社 (2010/11/1)
P117

新編 単独行 (ヤマケイ文庫)

新編 単独行 (ヤマケイ文庫)

  • 作者: 加藤文太郎
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: 文庫

 

大台ヶ原山 奈良県