2026年3月14日土曜日

偏界かつて蔵(かく)さず

賢者は愚者からも学ぶが、
愚者は賢者からさえも学ばない。
学ぶべきことは、身の周りにいくらでもある。
見渡せば、ありとあらゆるものが、何かを教えている。

丸山 敏秋 (著), 倫理研究所
幸せになる法則を発見した人 丸山敏雄伝
近代出版社 (2001/11)
P84

幸せになる法則を発見した人 丸山敏雄伝

幸せになる法則を発見した人 丸山敏雄伝

  • 作者: 丸山 敏秋
  • 出版社/メーカー: 近代出版社
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 単行本
丸山敏雄生家 福岡県豊前市


私はよくひとから、楽しむことが多くて、仕合せな人だ、と祝福されますが、それは自然を見たり聞いたりするのが好きだからです。
花にも木にも哀歓があるし、鳥がはばたいても、けものが欠伸(あくび)しても興味をもちます。
四季の移り変わりも、風雨も、海も山も、水も石も、私にはおもしろいものだらけにみえます。
しかもこれらを見聞きする楽しみは、よその人に迷惑をかけず、自分ひとりで自由に得られる喜びですから、この点がまた気楽です。

幸田 文 (著), 青木 玉 (編集)
幸田文しつけ帖
平凡社 (2009/2/5)
P223

幸田文しつけ帖

幸田文しつけ帖

  • 作者: 幸田 文
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/02/05
  • メディア: 単行本


  [第四十一段] 五月五日に、賀茂の競馬を見に行ったところ、前の車に群衆が立ちはだかって見えなかったので、めいめい車からおりて、柵のそばによったけれど、格別大勢込み合っていて、とても割りこめそうにない。
こういう時に、向かい側にある樗(おうち)の木に、坊さんがのぼって、木の股に腰をかけて見物していた。つかまりながら、ひどくいねむりをして、何度も落ちそうになると、目をさました。
これを見ている人たちが、あざけりあきれて、「大馬鹿者だ。あんなあぶない枝の上で、よくも安心して、寝られるものだ。」と言うので、心中にふと浮かんだままに「我等が生死の到来も、ただ今、即刻かもしれない。それを忘れて、物見て日を暮らす。愚かなことは、あれ以上なのに。」と言ったところが、前にいた人たちが、「本当にそうでした。一番愚かです。」と言って、皆うしろをふり返って、「ここへおはいりなさい。」と、席をどいて、呼びこんでくれた。

これくらいの道理は、誰でも気が付かないはずはないのだけれど、ちょうどあの場合、うっかりしていて、胸にこたえたのであろうか。
人間は木石ではないから、その時によって、ものを感ずることがないわけでもない。

徒然草―現代語訳
吉田 兼好 (著), 川瀬 一馬
講談社 (1971/12)
P209

徒然草 (講談社文庫 古 3-1)

徒然草 (講談社文庫 古 3-1)

  • 作者: 吉田 兼好
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1971/12
  • メディア: 文庫


 この店には足繁く通ったのだが、年明けにカズちゃん(石巻市内の商店街「アイトピア通り」で、「まるか」という食料品店を夫婦で営むカズちゃんこと佐々木和子(63))はこんなことを言った。

 「毛ガニがこの時期にこんなに獲れたことはない。海の底がぐちゃぐちゃになっていて、大きな地震が起こるんじゃないかって、本当におそろしいよ」

 そのときは、まさかと思ったのだが、あれは本当だったねと言ったらこう応えた。

 「あのとき揚がっていたのは子を持ったメスの毛ガニばかり。今思えば、子孫を残すために疎開していたんだね。つい最近は、ネズミの姿を見ないって話をしたばかりだった。気づかなかったのは人間ばかり。人間はバカだね」

<ルポ>石巻市・希望と再生を求めて
  高成田 享 (前朝日新聞石巻支局長)

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P225

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌


「三密 刹土(せつど)に遍(あまね)く(仏の御業は国土にあまねく)
 虚空に道場を厳(かざ)る(虚空に荘厳な浄土の世界を作っている)
 三毫(さんがう) 溟墨(めいぼく)を点じ(山は筆となって大海原の墨池に墨をつける)
 乾坤(けんこん)は経籍(けいせき)の箱(さう)なり」(天地は経典の入れ物)
   (弘法大師 空海「遍照発揮性霊集」巻第一)

ボクは坊さん。
白川密成 (著)
ミシマ社 (2010/1/28)
P128


ボクは坊さん。

ボクは坊さん。

  • 作者: 白川密成
  • 出版社/メーカー: ミシマ社
  • 発売日: 2010/01/28
  • メディア: 単行本
望雲台 英彦山 福岡県

人でなく人間でないと生きられない

  自然物としての人間は、決して孤立して生きられるようにはつくられていない。
このため、助け合う、ということが、人間にとって、大きな道徳になっている。
助け合うという気持ちや行動のもとは、いたわりという感情である。
他人の痛みを感じることと言ってもいい。
やさしさと言い換えてもいい。
 司馬遼太郎「二十一世紀に生きる君たちへ」

大山 くまお (著)
名言力 人生を変えるためのすごい言葉 
ソフトバンククリエイティブ (2009/6/16)
P127

名言力 人生を変えるためのすごい言葉 (SB新書)

名言力 人生を変えるためのすごい言葉 (SB新書)

  • 作者: 大山 くまお
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2009/06/16
  • メディア: 新書

 

 老いも若きも、人間はひとりで生きられるものではありません。
アリストテレスがいうように、人間は社会的な生き物であり、家族、友人、そして社会と密接なつながりがあってこそ、充実した生を送ることができます。

北原 茂実 (著)
「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる!
講談社 (2011/1/21)
P22

「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる! (講談社プラスアルファ新書)

「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる! (講談社プラスアルファ新書)

  • 作者: 北原 茂実
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/01/21
  • メディア: 新書

 P67
では、人間は何を喜びにして生きるのか。
それは、他者との交わりである。
他者を愛すること、他者から愛されること、他者を助けること、他者から助けられること、それが人間の喜びである。
~中略~
p>だから、十分な物資をもち、豊かに生きている時でも、本来、人間は、富や名声や快楽によって、生の真の充足を経験しているのではないだろう。そうではなくて、本当は人と人は愛と信頼によって生きているのである。
このことが実は、富や地位や名声や快楽によって遮断され、見えなくさせられているのである。
 そして、もしも技術文明が本当の生に対するこういう増殖物を無限に増大してゆくことならば、文明は人間から生の本当の喜びを奪うものにほかならないだろう。
科学技術文明の進歩は、生の単純な意味(人と人との信頼と愛)のコントロール下になければならない。
~中略~
 この大災害(住人注;東日本大震災)は、人間の生き方を根本から考え直す機会を人類に与えた。
もしかしたら、もう半ば手遅れなのかもしれないと危惧されるとしても、それでも、プラトンの言い方を真似れば、祈りながらあるべき道を探し求める以外にないだろう。

「人間愛」の社会へ──禍の経験を希望につなぐために
  岩田靖夫 (東北大学名誉教授)

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)

 

 

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌

 

 

 

ヒトが生きる究極の目的は「複雑な社会の中でうまく生きて行くこと」で、それができて初めて幸福といえるわけです。
その目的を達するためには、一つひとつの知性だけではなしに、それらの知性を統合して使いこなしていくための知性、つまり前頭連合野の知性こそが肝心なんです。

数学ができたって、早く走れたって、「人間らしさ」が発達してなかったらヒトとして幸せになれないじゃありませんか。
 言語的知性も数学的知性も、知能指数すなわちIQも、最近流行っている感情的知性のEQも、すべて知性の一部にすぎません。それらを統合し、脳の中心的な役割を果たしているのは前頭連合野です。

平然と車内で化粧する脳
澤口 俊之 (著), 南 伸坊 (著)
扶桑社 (2000/09)
P199

 

 

平然と車内で化粧する脳

平然と車内で化粧する脳

  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2000/09/01
  • メディア: 単行本

 

 

 

アドラーは人間の悩みはすべて対人関係の悩みである、といっています(「個人心理学講義」二六頁)。
 人は一人で生きているのではなく、<人の間>に生きています。私たちは一人で生きているのではなく、他の人の間で生きているということができます。アドラーの言葉を引くと、
「個人はただ社会的な(対人関係的な)文脈においてだけ個人となる」
わけです。(「個人心理学講義」一八〇頁)。

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために
岸見 一郎 (著)
KKベストセラーズ (1999/09)
P44

 

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

  • 作者: 岸見 一郎
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 1999/09/01
  • メディア: 新書

 

 

P180
超高齢社会になると、お年寄りは昔ほど尊敬される対象ではなくなってしまします。
高齢者を支えるために若い世代の税金や保険料の負担が重くなり、周囲の家族には介護問題なども発生するため、どちらかというと社会の「お荷物」になってしまう。
それをはっきり口に出す人はいなくても、高齢者自身がそういう立場であることを自覚せざるを得ない空気が蔓延しているのではないでしょうか。
 いずれにせよ、多くのお年寄りは自己愛を支えてくれる鏡自己対象を持つことができません。
よほど社会的な地位の高い人なら、いつまでも取り巻きの若い人たちにチヤホヤされることもあるでしょうが、ふつうは大して褒められることもなく日々を過ごすことになるわけです。
 また、人間は年齢を重ねるほど、理想化自己対象を持ちにくくなrます。それはそうでしょう。親であれ、師匠であれ、親分であれ、頼りがいのある理想化自己対象は基本的に自分より年上です。~中略~
 私は、多くの高齢者が病院に足繁く通うのは、そこでしか理想化自己対象を体験できないことも大きな理由ではないかと思っています。
 老いて身心が弱ってきたとき、挫けそうな心を支えてくれるのは、多くの場合、宗教でしょう。しかし、日本の場合、それぞれ仏教などの宗派に属しているとはいえ、日頃から強い信仰心を持ってそれに依存している人は多くありません。
 親や師匠には先立たれ、宗教も心の支えにならないとすると、気持ちが弱ったときに「大丈夫だから心配するな」と励ましてくれる理想化自己対象は、医者ぐらいしかいないでしょう。
~中略~
しかも、その待合室には、似たような境遇の顔見知りが何人もいます。
~中略~
 それを通じて「いろいろダメなのは自分だけではない」と思うことができれば、これは双子自己対象を体験しているのと同じこと。前に紹介した、アルコール依存症患者の断酒会や認知症患者の家族会とも似ています。
 ですから、高齢者は病院に行くと「理想化」と「双子」という二つの自己対象に出会うことができる。
待合室の仲間とお互いに「鏡」になることもあるでしょう。そこに精神科や心療内科はなくても、病院はお年寄りにとって、コフート的カウンセリングを疑似体験できる場になっているのかもしれません。

P184
 いちばん良くないのは、苦しい心を抱えながら、それを「自分の心がけで何とかしよう」と考えることでしょう。
真面目な人ほど他人に甘えたり依存したりすることができず、「苦しいのは自分の心が弱いせいだ」などと思い込んでしまうものです。
 しかし、コフートのいうとおり人間はそんなに強いものではないと私も思います。
どんなに強い人でも、自分一人では確固たる「自己」を保つことはできません。私たちの心の健康は、健全な対人関係を通じて維持されるのです。

自分が「自分」でいられる コフート心理学入門
和田 秀樹 (著)
青春出版社 (2015/4/16)

自分が「自分」でいられる コフート心理学入門 (青春新書インテリジェンス)

自分が「自分」でいられる コフート心理学入門 (青春新書インテリジェンス)

  • 作者: 和田 秀樹
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2015/04/16
  • メディア: 新書

 

福岡県 英彦山 豊前坊 高住神社

生かされているという心

 生かされていることに気づくことです。自然の本当の姿を人間は知らなければなりません。

~中略~
科学を信じる、正しいと言うけれど、人間の幸せを考えて発達した科学が、いま大気汚染や、大変な地球破壊まで引き起こしているでしょう。
どこか間違っているんです。科学が正しかったら、いまはみんな幸せになっているはずなのに、現実はだんだんと生活しにくい世の中になってきているでしょう。
これは本当のことをみんな忘れてしまったからですね。

~中略~
人間の心が変れば、自然も宇宙もすべて変るということもあるんです。

葉室 頼昭 (著)
「神道」のこころ
春秋社 (1997/10/15)
P212

〈神道〉のこころ(旧版)

〈神道〉のこころ(旧版)

  • 作者: 葉室 頼昭
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 1997/10/15
  • メディア: 単行本

日本人は、自然に恵まれているから、自分で何かする、周りを変えていくというのではなくて、自然に生かされているということをこの何万年かをかけて感じ、そういう生かされているということに感謝してきた民族なんですね。
私はこの、生かされているという心が、神道として結実したんだと思っていますが、これは他の宗教ととは全然成り立ちが違う。そして、これが日本人の世界唯一なる特徴であり、その特長によって、真実の生活をしているのが本来の日本人であるはずです。

葉室 頼昭 (著)
神道 見えないものの力
春秋社 (1999/11)
P191

P199
「日本人の命の基本というのは、すべて神と祖先を祀って、それによって生かされているという感謝の生活である。これが日本人の命の基本である。まずこれを子供に伝えてください。」

P211
これも戦後の弊害で、ひとつに人間は自分で生きているという考えになってしまってから、こういう自殺者というのも増えているんですね。
生かされているということを忘れてしまったんでしょう。
才能に恵まれた人が自殺する例が非常に多い。

それは、人からほめられるという経験はしているんだけれども、自分が他人を認める、他人をほめるということを忘れてしまったんですね。人からされることばっかりに慣れてしまうと、最後に行き詰ってしまうんですね。
 人間はそういのではなくて、神を認め、神をほめたたえるというのが、日本人の本来の命なんですね。

P212
一生懸命に働くというのは、外国では労働だけれども、日本語は「はた」を「らく」にする。周りを楽しませる。というのが働くということです。
これはすごいことだと思うんです。自分のために働くから、行き詰ってしまうんです。そうではなくて、人を喜ばせるためだったら、行き詰まりというのはない。
それだけの人を喜ばせたら終りというのではなくて、対象は無限でしょう。そうすると、自殺なんかしていられなくなるわけです。

神道 見えないものの力(旧版)

神道 見えないものの力(旧版)

  • 作者: 葉室 頼昭
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 1999/11/25
  • メディア: 単行本

でも、手のひらの部分、根っこの見えない部分では平等で、全部つながっているんです。
なにが平等かというと、誰一人命をつくり出すことはできず、命をもらって生かされている存在であるということ。
完全な人はいなくて、限界があって、だからいつか必ず死ぬということ。
そして、そういう存在でありながら命を与えられ、大宇宙の大きな慈しみに満たされて生かされている大切な存在だということ。
その三つにおいて平等だと思うんです。
鈴木秀子

玄侑 宗久 (著)
多生の縁―玄侑宗久対談集
文藝春秋 (2007/1/10)
P74

 

多生の縁 (文春文庫)多生の縁 (文春文庫)

  • 作者: 玄侑 宗久
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/01/10
  • メディア: 文庫

 

 

 (住人注;東日本大震災のゆれが来た時)とっさに頭をよぎったのは、怒った自然の前で、自分がこんなに小さく無力な存在なのかということだ。
すぐに思ったのは、「環境保護」という言葉が、いかに人間中心の観念か、だった。環境を人間が保護するのではなく、自然環境が人間の生存を保護してくれてきたということだ。
「地球にやさしく」というスローガンは無意識の人間のおごりであって、人間に対して、生殺予奪の力をもつ「地球がやさしく」してくれる時に、人間は生きていられるのだという直観である。
人間のおごり
  坂本義和 (東京大学名誉教授)

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P46

 

世界 2011年 05月号 [雑誌]世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌


おかれた境遇を楽しもう

人は須らく快楽なるを要すべし。


快楽は心に在りて事に在らず。

                  「言志耋録」第七五条


                   佐藤 一斎 著

                   岬龍 一郎 編訳

                  現代語抄訳 言志四録

                 PHP研究所(2005/5/26)

                       P210

 

人間は心に楽しむところがなくてはならない。
楽しみは自分の心の持ち方であって、自分の外にあるものではない。

楽はこれ心の本体である。
         王陽明

 

[現代語抄訳]言志四録

[現代語抄訳]言志四録

  • 作者: 佐藤 一斎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2005/05/26
  • メディア: 単行本

 

 母(幸田 文)の生きてきた八十六年を考えると、大変だったなと思うことの連続だ。その出れもが、自分の選択の及ばないことが殆どといっていい。
家族の病気も、父親の気むずかしさも、関東大震災も、戦争も、母の心がけでどうにななるというものではない。
そういう避け難い苦労の数かずに母はよくもめげずに切り抜けた。

生まれ持った陽気な性格と気力体力に負うところが大きい。

幸田 文 (著), 青木 玉 (編集)
幸田文しつけ帖
平凡社 (2009/2/5)
P236

幸田文しつけ帖

幸田文しつけ帖

  • 作者: 幸田 文
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/02/05
  • メディア: 単行本

惣而(そうじて)病も苦しめば弥(いよいよ)苦しく、安(やす)んずれば少(すこし)は安らかになるものにて候(そうろう)
仏(ほとけ)に成(なる)も餓鬼道へ落るも、苦を得(う)るも楽を得るも、皆我(わが)心に有(ある)ことを能々(よくよく)御(おん)明らめ、今日只(ただ)一向に心をいさぎよく、物に泥(なず)まず滞(とどこお)らず常に楽しめる心にて御暮(おくら)し成(な)さるべく候(そうろう)。
(牛原氏の老母に与える)

中江藤樹 人生百訓
中江 彰 (著)
致知出版社 (2007/6/1)
P122

中江藤樹人生百訓

中江藤樹人生百訓

  • 作者: 中江 彰
  • 出版社/メーカー: 致知出版社
  • 発売日: 2007/06/01
  • メディア: 単行本

望雲台; 英彦山 福岡県

ホスタイル・ブランド

 「ホスタイル・ブランド」は、消費者に媚びず、その気がないふりをする。歓迎のじゅうたんを敷き詰める代わりに、挑戦状を叩きつける。まるでマーケティングの教科書を片っ端から否定しているかのようだ。
ホスタイル・ブランドは古典的な意味でのマーケティングを実行することなく、「アンチ・マーケット」の姿勢を貫いている。
 たとえば、製品の欠点を率直に語る。製品が容易に顧客の手に入らないようにする、顧客を魅了するのと同じくらい嫌悪感をも抱かせるようなメッセージを提供し、心地良いプロモーションを拒否する。

どの手法を採るにせよ、消費に対する障壁を築き、そのブランドにかかわる意志の強さを試す。消費そのものが私たちの忠誠心を露骨に表し、壁を超えられない他の消費者との間に大きなへだたりを生じさせる。
~中略~

マーケターは自社製品について口当たりのいいことを言うように訓練されている。
市場調査で消費者が製品の欠点に不安を感じているのが明らかになれば、それを確実に払拭するか、他の長所に目を向けさせようとする。
 その意味では、ミニクーパーのキャンペーンは慣例を無視していた。
~中略~

 これがホスタイル・ブランドの手法だ。説得という伝統的な手法を使わず、他のブランドが言いそうにもないことや、顧客を追い払いかねないことを言う。
これは裏をかくアプローチとも異なる。
~中略~

自社製品の長所も短所もさらけ出し、もし私たちが気に入らなければそれまでだと言ってのける。
しかも、颯爽と。

ヤンミ・ムン (著), 北川 知子 (翻訳)
ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業
ダイヤモンド社 (2010/8/27)
P120

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/08/27
  • メディア: 単行本

 

関門海峡花火大会

リバース・ブランド

P88
 グーグルのようなブランドを、リバース・ブランドと呼びたい。
アイデア・ブランドの中でも非常に特殊で、顧客が期待している拡張への流れを意図的に断ち切る。
他社が競争に欠かせないとみなしている便益の提供を控えようとする。リバース・ブランドは、他社がイエスと言うときにノーと言う。謝りもせず、堂々と。

 この意味をすこし考えてみよう。ビジネス全般、特にマーケティングにおいては、顧客の期待に応えられない以上の罪はない。
消費者が期待している便益を与えないという決断ほど、眉をひそめさせるものはない。
つまり、ビジネスパーソンの本能に逆らうものだ。カテゴリー全体が北を目指して競争しているとき、南を目指すのは正気の沙汰ではない。

P95
ところが、IKEAの愛好家は、短所をはっきり認めた上で長所を語る。
立地は不便だが、それも冒険のうち。買い物に時間がかかるが、店での時間はディズニーランドのよう。面倒な組み立ても、やりがいがある。
壊れやすいことですら、買ったものに縛られない解放感は何物にも代えがたいと答えるだろう。
~中略~

 顧客の過保護と満足度が完全に比例してくれればビジネス上は都合がいい。しかし、現実はそうはいかない。
~中略~

価値提案から便益を取り除くのは、結晶を作り出すようなものだ。
中核に新しい光を当てるために余計なものをそぎ落とす。その結果、驚くべき純度を誇るようになる。

 

 一方で、リバース・ブランドは分類するのがとても難しい。
典型的な最高級ブランドに比べればあまりにも簡素化されているし、典型的な低価格品に比べれば質が良すぎる。
いかなる鋳型にも当てはまらないが、似たものばかりのカテゴリーでかなりの吸引力を持っているのは確かだ。

ヤンミ・ムン (著), 北川 知子 (翻訳)
ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業
ダイヤモンド社 (2010/8/27)

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/08/27
  • メディア: 単行本

 

関門海峡花火大会

科学ジャーナリズムにできること

 科学ジャーナリズムが、本来の役割を自覚し発揮し始めるのは七〇年代以降だと私は考えている。
日本では、大阪万博(七〇年)を境に、科学技術への不信が芽生え始めた。公害など科学物質による健康被害や環境破壊、薬害、地球温暖化、脳死や生命倫理の問題。 科学技術の成果より「負」の側面に、国民の目が集まるようになった。
原子力で言えば、七九年の米スリーマイル島原発事故と八六年のチェルノブイリ原発事故。九五年には日本でも高速増殖炉「もんじゅ」の火災で情報隠しが発覚した。九九年には核燃料製造会社「JCO」で臨界事故が起き、二人の死者を出した。
原子力は危ない、取り扱いを電力会社と当局だけに任せておいてはいけない、という懐疑的な見方を科学ジャーナリズムは報じたし、社会にも伝わったと思う。事実、この事故をきっかけに、原子力安全・保安院が発足したのだ。
 しかし福島第一原発の事故は起きた。放射能はもれ続け、水や土や、その産物である農作物を汚染した。コメや牛肉へも拡大が心配されている。放射能を避けて家を追われた人たちが、いつ戻れるかめどが立たない。
 こんな中、科学ジャーナリズムにできることは何だろう。事故を防げなかったことへの後悔はむろん、原子炉の把握状況と、すぐに不具合を起こす頼りないシステムのお守りに追われる日々の中で、悩みは深まる一方なのだ。

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)
P216

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)

  • 作者: 元村有希子
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2012/12/20
  • メディア: 単行本

 

関門海峡花火大会

福島の人々の被ばくの量は、幸いなことにかなり低い

P101
早野 福島原発の事故の規模にたいして、福島の人々の内部被ばくや外部被ばくの量は、幸いなことにかなり低い。原爆、チェリノブイリの事故、それから1960年代の核実験による放射性降下物からの汚染、さらに自然被ばくの量が多い地域の放射線量など、さまざまなデータと比較しても、これは明らかです。現在、福島の方々が住んでいるところの線量はきわめて低い。
 そういう結果を踏まえて、次世代、つまり生まれてくるこどもに悪影響が及ぶなどということは絶対ない、と私は自信を持って判断しています。それはみなさん、安心していいと思います。
 今、外部被ばく量は追加分として年間1ミリシーベルト以下、というのが目標になっていますが、世界的に見れば、それをはるかに超えるところに普通に暮らして、普通に子どもを産んで育てている人の数というのは、とても多いんです。
 インドのケララ州やイランのラムサールは、もともと自然放射線量の高い地域として知られていますが、福島の居住区域のレベルは、それらと比較しても低く、アメリカのコロラドなどに住んだ場合の平均被ばく量よりも低くなるというレベルです。
 もちろん放射線のことがまったくなくても、さまざまな異常出産というのはあるわけですが、それが福島のこの状況によって特別に増えるというようなことは、私には考えられないし、その心配をする必要はないと断言できます。
事実、ごく最近の調査で、事故後に福島県内で生まれた赤ちゃんの先天異常の発症率が、全国の赤ちゃんと比べてほぼ同じだったということを、厚生労働省が発表しました。

P107
早野 前略~
 さきほども言いましたように、やっぱり放射線に関しては「量」の問題を踏まえなくてはいけない。放射線は、健康に関して無害なわけではない。ただ、デマとか間違った情報というのは、福島ではありえないような高い線量のケースを引き合いに出していて、それをあたかも福島で起こりうるかのように言ってるんです。
br>それは、2011年の早い段階では、仕方がないケースもあったかもしれない。それは、ぼくは否定しません。

 だけれども、ここまでの時間が過ぎて、これだけのデータが出そろって、線量の低さも非常に明確にわかってきた。この今の段階で、そういう話をするのは、ありえないし、あってはならないと思う。 

知ろうとすること。
早野 龍五 (著), 糸井 重里 (著)

新潮社 (2014/9/27)

知ろうとすること。(新潮文庫)

知ろうとすること。(新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/05/01
  • メディア: Kindle版

 

関門海峡花火大会

フクシマに学べ

P162
 雨降れば 雨に放射能 雪積めば 雪にもありと いふ世をいかに
 湯川秀樹はこの歌を、米国の水爆実験(一九五四年三月一日)の後に読んだ。ノーベル賞受賞後は核兵器廃絶運動に取り組み、激しさを増す核開発競争を批判した。
 太平洋上での実験は予想以上の破壊力を示し、操業中の「第五福竜丸」の乗組員二十三人は「死の灰」を浴びた。日本は広島、長崎に続いて三たび核兵器の脅威を経験している。

P163
 振り返れば人間はこの七十余年、同じことをくり返してきたのではないか。政治家が科学者を利用し、科学者は好奇心から目標を追いかけ、多くの命を奪い、地球を汚した。むなしい営みである。

P212
 ところで「なあに、福島の事故でしょ、九州は大丈夫と思っているあなた。コンパスを使って、佐賀の玄海原発から半径百キロの円を描いてごらん。他人事じゃなくなるよ。

 

P234
「うまい話には裏がある」。このことわざの意味を、福島の原発事故でかみしめた人は少なくないだろう。過疎に悩む地元にとって、原発が来ることは「仕事が増える、収入が増える、町も潤う」というおいしいことずくめの話だった。だけど、事故が起きてみたら、まるで夢から覚めたように現実が見えた。
 原発で定年まで働くことを前提に家を買った家族は、仕事を失い、避難させられて家も失った。東電がスズメの涙の賠償金を支払うことになるが、失ったものはそれ以上に大きい。電力会社からの補助金をあてにしていた町の財政は破綻寸前。それ以前に地域のコミュニティが崩壊して、いつ復活できるかもわからない。
 私たち日本人は、いかに頼りない「安全神話」を信じこまされてきたことか。現代生活に電気が必要なことは認めるけれど、たかがタービンを回す蒸気を作るために、わざわざ原発を作る必要がどれだけあっただろう。
にもかかわらず「原発は安全だ」「原発は安い」と言われて信じ込んだ。我々日本人はアホだった。

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)

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  • 作者: 元村有希子
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2012/12/20
  • メディア: 単行本

 

関門海峡花火大会

電気の地産地消

飯田
秋田県民四〇万世帯は一世帯当たり二五万円、計一〇〇〇億円の光熱費を払っているのですが、そのお金はほぼすべて県外へ出ている。
さらにはそれはほとんど日本国外に出ていて、日本は年に二三兆円も海外に支払っている。

一方、秋田県の代表的な農産物である「あきたこまち」の売り上げも二〇一〇年は一〇〇〇億円です。
つまり、秋田県の人が普段なにげなく使う電気や暖房などで、あきたこまちの売り上げ全顎が県外に流出している。
しかし、いま秋田県に風力発電機を一〇〇〇基作る計画があって、その売電だけで約一〇〇〇億円の売り上げになる見込みです。
~中略~

鎌仲 原発に何千億円も融資している三菱や三井住友のような大銀行に貯金していると、それが結局は自分たちの首を絞める方向に投資されてゆく。
そういうお金の流れに気づいて、地域の小さな自然エネルギーをつくるベンチャー事業に投資する。お金が地域でいきていく。
飯田 地域はエネルギーを自給した上で、さらに余った電気を売ればいいのです。

対談 自然エネルギーの社会へ再起しよう
  飯田哲也 (環境エネルギー政策研究所所長)
  鎌仲ひとみ (映画監督)

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P124

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌

 

P47
 そもそも原発は、いったい何年使い続けることができるのでしょうか?
圧力容器に中性子がぶつかり続けていくうちにもろくなっていき、地震や温度の上昇などに脆弱になっていくそうですが、世界の原発廃炉年数の分布を見ると、平均して二二年です。
いわば原発の平均寿命は二二年であって、四〇年を超えて稼動しているのは世界でも稀だという事実は、私にとって大きな驚きでした。
~中略~

世界のトレンドは原発だ、Co2を減らすために世界中どこでも原発を増やしているのだ、と私はつい一ヶ月前まで思っていました。
ところが、実は世界における原子力のブームは八〇年代半ばだったのです(図1)。これ以降新規の原発はほとんど作られなくなっている。

P49
このように、実はコストが膨大にかかるから、世界ではもう新規の原発は作られていないのです。
 驚くべきグラフがあります。アメリカでは太陽光と原子力の発電コストが昨年、二〇一〇年、クロスしているというのです(図2)。
自然エネルギーは理想だけど高いじゃないか、雨の日や夜は太陽光は使えないだろう、原子力は大量で安い、と私も思っていました。
しかし、雨や夜をみな勘案して、稼動しているときだけの発電コストを見てもなお、すでに昨年クロスオーバーしているのです。

こうした実例を見ても、いまこそ国民全員が安心できる社会へとエネルギー政策を転換するときが来ているのではないでしょうか。

東日本にソーラーベルト地帯を──太陽の港、風の港で日本は甦る
  孫 正義 (ソフトバンク社長)

世界 2011年 06月号

岩波書店; 月刊版 (2011/5/7)

 

世界 2011年 06月号 [雑誌]

世界 2011年 06月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/05/07
  • メディア: 雑誌

関門海峡