2025年12月18日木曜日

明けない夜はない

苦しみはいつまでも続くものでない。ゆえに、逆境にある人は常に「もう少しだ、もう少しだ」と思うて進むがよい。いずれの日か、必ず前途に光明を望む。

修養
新渡戸 稲造 (著)
たちばな出版 (2002/07)
P301

修養 (タチバナ教養文庫)

修養 (タチバナ教養文庫)

  • 作者: 新渡戸 稲造
  • 出版社/メーカー: たちばな出版
  • 発売日: 2002/07/01
  • メディア: 新書

 

分けて見よ。今は葎(むぐら)のしげるとも、中に直(す)ぐなる道のありしを。
(「方谷年譜」万延元年)
今は草むらが生い茂って混沌としていても、よくかき分けて見れば、その中に真直ぐな(進むべき正しい)道がみつかるものである。

山田方谷のことば―素読用
山田方谷に学ぶ会 (編集)
登龍館 (2007/07)
P24

 

山田方谷のことば (サムライスピリット)

山田方谷のことば (サムライスピリット)

  • 出版社/メーカー: 登龍館
  • 発売日: 2015/05/01
  • メディア: 単行本
88番大窪寺 香川県

自分の「器」と向き合う

 スポーツの世界でも、芸術の世界でも、みんながスーパースターや人間国宝になれるわけではありません。
自分の「器」と謙虚に向き合い、どのステージで戦えるかを考えてみることも悪くないと思います。諦観と言ってもいいでしょう。それは諦めではなく、悟りに近い境地ということです。
~中略~
 私が言いたいのは、自分の「器」を知り、等身大の自分の仕事の仕方を見極めることもまた、気働きではないかということです。
 そのうえで自分の人生のペース配分は、自分できちんと決めた方がいいでしょう。
 ペース配分をするわけですから、そこは必ず「間」が必要です。

一流の男は「気働き」で決める
高野 登 (著)
かんき出版 (2014/4/23)
P064

一流の男は「気働き」で決める

一流の男は「気働き」で決める

  • 作者: 高野 登
  • 出版社/メーカー: かんき出版
  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

87番長尾寺 香川県

身の程を知れ

一、考案して思うべし。
我が位のほどをよくよく心得ぬれば、それほどの花は一期失せず。
位より上の上手と思へば、もとありつる位の花も失するなり。
よくよく心得べし。

一、よく工夫して考えよ。
自分の芸の程度をきちんと認識していれば、その芸相当の魅力は一生失せることはない。
  自分の実力以上の上手だと思い込むと、もともとあった芸相当の魅力もなくなってしまうのだ。
よくよく理解せよ。

世阿弥 (著), 竹本 幹夫 (翻訳)
風姿花伝・三道 現代語訳付き
角川学芸出版 (2009/9/25)
P39

風姿花伝・三道 現代語訳付き (角川ソフィア)

風姿花伝・三道 現代語訳付き (角川ソフィア)

  • 作者: 世阿弥
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2009/09/25
  • メディア: 文庫

 

世に成功熱に浮かされ、
野猪的に進む者が多いが、
その多く失敗に終わるは、
身の程を知らぬからである。
「渋沢栄一訓言集」道徳と功利

渋澤 健 (著)
巨人・渋沢栄一の「富を築く100の教え」
講談社 (2007/4/19)
P102

巨人・渋沢栄一の「富を築く100の教え」 (講談社BIZ)

巨人・渋沢栄一の「富を築く100の教え」 (講談社BIZ)

  • 作者: 渋澤 健
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/04/19
  • メディア: 単行本


  みんなさ、背伸びしたくなるの、ねえ。自分の力以上のことを見せようと思って、ええかっこしようとするじゃない、だから、ちょっと足元すくわれただけでもスコーンといっちゃう。
自分の身の丈に合ったことを、毎日毎日、一生懸命やることが大事なんじゃないの。
人間から見た偉いとかすごいとかなんて、仏さんから見れば何にも変わらないから。

天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉 (著)
一日一生
朝日新聞出版 (2008/10/10)
P16

一日一生 (朝日新書)

一日一生 (朝日新書)

  • 作者: 天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: 新書


86番志度寺 香川県

ソーシャル・サポート

P169
 ソーシャル・サポートとは、ある人の周囲にいて、その人をさまざまな意味で助けてあげる人のことを言う。具体的にどんな人たちを想像すればいいのかというと、配偶者・パートナー・兄弟姉妹・親・子供・親友・同僚・近所の人・趣味で知り合った人、などさまざまな人のことである。

 なぜ、ソーシャル・サポートの構築が必要かと言うと、まず「ソーシャル・サポートのない人は、ある人に比べて病気になりやすい」という医学的な研究結果がたくさんあるからだ。

P170
 このソーシャル・サポートには、いくつかの分類があるが、ここでは、情緒的・手段的・情報的そーしゃる・サポートという3つの分類で考えることにする。~中略~ それぞれに、2人くらいかそれ以上の人がいたら安心だが、もし不足していたら、今から新しいソーシャル・サポートを構築すればいい。

空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う
保坂 隆 (著)
大法輪閣 (2017/1/11)

空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う

空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う

  • 作者: 保坂 隆
  • 出版社/メーカー: 大法輪閣
  • 発売日: 2017/01/11
  • メディア: 単行本

85番八栗寺 香川県

スキソイド

統合失調症という病気がある。昔は精神分裂病と言われていた。幻聴とか妄想を生ずる病気だが、昔は良い薬が少なかったので、入院治療が必要になったり、その入院期間も長期化する傾向があった。
しかし、薬剤の改良により、今では、経過は劇的に改善し、入院しないでも外来だけでコントロールできたり、入院したとしても、ごく短期間の入院治療で済むようになった。学校は卒業できるし、就職もできるし、仕事も続けられるようになった。
 この統合失調症という病気ではなく、パーソナリティとして、自閉的で対人関係がうまくいかず、孤立を好む傾向の人がいる。そのような傾向や、特徴的なパーソナルティを、精神医学では「スキソイド」と呼んでいる。
この人たちは、人との適切な距離感をとりにくく、特に、「近づきすぎる」ことを怖れる特徴がある。このパーソナリティにとって、格好のツールが登場した。それがメールやインターネットである。

空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う
保坂 隆 (著)
大法輪閣 (2017/1/11)
P93

空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う

空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う

  • 作者: 保坂 隆
  • 出版社/メーカー: 大法輪閣
  • 発売日: 2017/01/11
  • メディア: 単行本

84番屋島寺 香川県

瞑想

P188
 まずは一点集中して、さらに集中していることに気付くように心がけます。これで瞑想の大切なところはほぼ完了しています。

 集中する場所(瞑想の対象)はお腹や胸、鼻の先などが一般的です。ここでは仮にお腹といたしましょう。
 あるがままの自然な呼吸をしながら、呼吸を伴ってお腹がどう動いているのかを観察します。たいていは、
息を吸う→お腹が膨らむ
息を吐く→お腹がへこむ
~中略~

すると、呼吸に集中できたら、不思議なことにいったん思考が鎮まって穏やかになります。
ところが退屈してくると集中が途切れていろいろな思考(雑念!)が出てきます。
「もうどのくらいやったかな」
「お腹すいたなあ」
「こんなことやってなんになるの?」
「そうだった!あれやらなきゃ」
「いいこと思いついた!」
 そこで思考していることに気付けたら、「雑念!」と心で名づけてラベリングしたり「これは思考だ。私は今雑念にとらわれている」と実況して思考し続けることを棚上げし、ふたたび呼吸によって動くお腹の動きに集中します。
 するとしばらくは集中できているので、思考が消えています。しかし、ほどなくしてまた思考(雑念)が出てきます。
運よく思考していることに気付けたなら出てきた思考を追わずに手放して呼吸に戻ります。
 思考が出る。思考に気付く。思考を手放す。
 思考が出る。思考に気付く。思考を手放す。
 思考が出る。思考に気付く。思考を手放す。
 思考が出る。思考に気付く。思考を手放す。・・・・・・・
あとはこの繰り返しです。
 この瞑想は姿勢・動作や瞑想の対象を変えれば、なんにでも応用可能です。
 たとえば座って鼻の感覚にフォーカスすれば、
「座る瞑想=座禅」になります。
歩きながら足裏の感覚にフォーカスすれば、
「歩行瞑想」になります。
口の中に注目して食べれば、
「食べる瞑想」です。
~中略~
このエクササイズの要点はどこにあるんでしょう?
それは思考への気付きです。
 自分が思考していることに運よく気付いたら、それはマインドフルネスが立ち上がったということです。気付きが失われる前に瞑想の対象(この場合はお腹の動き)に意識を戻せるかどうかがマインドフルネスのエクササイズの肝になります。

マインドフルネス 「人間関係」の教科書 苦手な人がいなくなる新しい方法
藤井 英雄 (著)
Clover出版 (2017/5/25)

 
マインドフルネス 「人間関係」の教科書 苦手な人がいなくなる新しい方法 (スピリチュアルの教科書シリーズ)

マインドフルネス 「人間関係」の教科書 苦手な人がいなくなる新しい方法 (スピリチュアルの教科書シリーズ)

  • 作者: 藤井 英雄
  • 出版社/メーカー: Clover出版
  • 発売日: 2017/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
83番一宮寺 香川県

2025年12月17日水曜日

我というは煩悩なり

 鎌倉仏教の開祖・一遍上人は、いってみれば”遅れてきた青年”である。ほかの宗派がほぼ影響力を固めたあとに、時宗を興した。
「我というは煩悩なり」と、その語録にいう。
 すなわち、人間は己を頼み、自己本位の執着を離れえない。念仏をも自らの修行と思いこんでいる。
そのような我執が、人間の迷妄の根源である。こうした己を頼む心の一切を捨て去り、南無阿弥陀仏の名号を唱えるときに、はじめて名号の力が往生させてくれる。
つまり、彼の教義とは、他力念仏の極致を示すことにあった。
~中略~
 この一遍が享年五十で、和田岬(神戸市)の観音堂(のちに真光寺)で没したのが、正応二年(1289)八月二十三日である。

この国のことば
半藤 一利 (著)
平凡社 (2002/04)
P95

この国のことば

この国のことば

  • 作者: 半藤 一利
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2002/04/01
  • メディア: 単行本

 

人間が社会に完全に適応するということなど、ありうるだろうか。
あからさまな生存競争は終わるかもしれないが、それで完全な適応が達成されるだろうか。
強者もいれば弱者もいるという事実は消えない。肉体的な欲求は人によって異なる。
美しい人もいれば醜い人もいるだろう。才能に恵まれて大きな収入を得るものもいよう。
失敗者は成功者を妬むだろう。人間は年をとるが、老人は年を忘れて、若い時の特権にしがみつこうとするだろう。
(「作家の手帳」一八九六年)

モーム語録
行方 昭夫 (編集)
岩波書店 (2010/4/17)
P36

モーム語録 (岩波現代文庫) (岩波現代文庫 文芸 163)

モーム語録 (岩波現代文庫) (岩波現代文庫 文芸 163)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/04/17
  • メディア: 文庫
82番根香寺 香川