2026年1月10日土曜日

他人と比べるな

P32
  相対性は(相対的に)理解しやすい。しかし、相対性には、絶えずわたしたちの足をすくう要素が一つある。

わたしたちはものごとをなんでも比べたがるが、それだけでなく、比べやすいものだけを一所懸命に比べて、比べにくいものは無視する傾向がある。

P42
相対性は人生における決断を助けてくれる。けれども、わたしたちをとんでもなく惨めな気持ちにさせることもある。
なぜだろう?
嫉妬やひがみは、自分と他人の境遇を比べるところから生じるからだ。
 モーセの十戒で、”隣人の家、畑、男女の奴隷、牛、ろばなど、隣人のものを一切欲しがってはならない”(「聖書 新共同訳」)と戒めたのも、それなりの理由があったわけだ。

P44
給料の多さと幸福感のあいだに、私たちが思っているほど強い関連がない(というより、むしろ関連は弱い)ことは、これまで繰り返し立証されている。

研究によれば、「もっとも幸福な」人々が住んでいるのは、個人所得がもっとも高い国ではないこともわかっている。
それなのに、わたしたちは、より高い給料を求めてやまない。そのほとんどはたんなる嫉妬のせいだ。
二〇世紀ののジャーナリストにして、風刺化、社会評論家、皮肉屋、自由思想家だったH・L・メンケンは言った。
いわく、給料に対する男の満足度は、(読者のみなさん、覚悟はよろしいか?)妻の姉妹の夫より多く稼いでいるかどうかで決まる。
なぜ、妻の姉妹の夫なのだろう?
それは、この比較ならぱっと目につくし、手っ取り早くできるからだ。

 

P49
ジェームズ(住人注:Hotornot.comという格づけ出会いサイトの創設者)は<ニューヨーク・タイムズ>紙にこう語っている。
”ボクスターの生活を送りたいとは思いません。だって、ボクスターを手に入れたら、つぎは911に乗りたくなりますからね。その911を持っている人たちが何に乗りたがっていると思います?
フェラーリですよ。
 これは、わたしたちがみんな活用できる教訓だ。
人は持てば持つほどいっそう欲しくなる。唯一の解決策は、相対性の連鎖を絶つことだ。

予想どおりに不合理[増補版]
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 熊谷 淳子 (翻訳)
早川書房; 増補版版 (2010/10/22)

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: ペーパーバック

  人間は弱いもので、常に自分を他人と比較して生きています。また比較しなければ、自分がどのような位置に立っているかを自覚できないものです。
~中略~

 この世にいるのが自分だけだとしたら、比較もないし、もしかしたら苦しみも生まれないかもしれません。他人がいて、それを比較する言葉があって、はじめて 自分の立っている位置を認識します。
比較ができるからこそ人類は進歩したのかもしれないし、比較こそが苦しみを生む原因なのかもしれません。
 これを「比較三原則」と私は勝手に呼んでいます。
”他人と過去と親”。この三つと自分を比較してはいけないのです。
~中略~

 悩みの根源が比較にあることに気づくことで、楽になれることも多いはずです。むしろそのことに気づかないままでいる方が、圧倒的に苦しい。

マイ仏教
みうらじゅん (著)
新潮社 (2011/5/14)
P172

マイ仏教 (新潮新書)

マイ仏教 (新潮新書)

  • 作者: みうらじゅん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/01
  • メディア: Kindle版

 人は自分の値打ちを測るとき、とにかく他者と比べたがる。自分が他者をどう見るかばかりでなく、他者が自分をどう思うかをひどく気にする。そんな自他の比較に一喜一憂している。
 特に問題なのは、比較のものさしが、企業内のポストや社会的なステイタスである点だ。そういう肩書は、たしかに人間の”時価”を指し示しているかもしれない。しかし時価は必ずしも”真価”ではない。
人間の真価は結局、自分で自分を磨く以外にないはずだ。自ら納得できる生きかたをしたかどうかである。
 そうだとすれば、自分の値打ちは自分で自分を評価するよりほかない。
評価のものさしは、あくまでも目標と成果である。

経営の行動指針―土光語録
土光 敏夫 (著), 本郷 孝信 (編集)
産能大出版部; 新訂版 (2009/10/15)
P190

経営の行動指針―土光語録

経営の行動指針―土光語録

  • 出版社/メーカー: 産能大出版部
  • 発売日: 2009/10/15
  • メディア: 単行本

 禅でも、人と比較することを、「莫妄想(まくもうぞう)」という言葉で戒めています。
この「妄想すること莫(なか)れ!」という強い一言を残したのは、唐代の無業(むごう)禅師という人です。
~中略~ この一言には、単に「妄想するな」というメッセージだけではなく深い意味があります。一般的には、考えても埒(らち)があかないことをクヨクヨ考えることを「妄想」と言います。
しかしここでは、二元的な考え方にとらわれるなという意味で使われているのです。「いい・悪い」「成功・失敗」というように物事を二元化して、あれこれ思い悩むなということです。

怒らない 禅の作法
枡野 俊明 (著)
河出書房新社 (2016/4/6)
P125

怒らない 禅の作法 (河出文庫 ま 14-2)

怒らない 禅の作法 (河出文庫 ま 14-2)

  • 作者: 枡野 俊明
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: 文庫

 人は自らの体験に優れた成果を見て、それ以外の者たちを劣ったものと見なす。
 それこそが、苦しみを生む執着であると、賢者は悟る(理解する)。
 自分と他人を較べて「等しい」とも、「劣っている」とも、「優れている」とも考えてはならない(それらは新たな苦しみを生むからである)。
―スッタニパータ〈最上なる思考について〉の節

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
草薙龍瞬 (著)
KADOKAWA/中経出版 (2015/7/31)
P146

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」

  • 作者: 草薙龍瞬
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2015/07/29
  • メディア: Kindle版

 クラス会などで幸せそうな友だちをうらやましいと思う気持ちは、裏返せば、「人の不幸は蜜の味」という心理にどっぷり浸っていることになる。
たしかに、これも人の心理の一面であるのだが、なんだか自分が小さく感じないだろうか。
 人と比べて、そのたびに落ち込んでいるようでは、クラス会はパスしたとしても、どこにいても、誰と会っても心穏やかではいられないはずだ。
「私たちのいろいろの問題は・・・・・比べることに端を発している場合が多いのです」
 スリランカの仏教家アルボムッレ・スマナサーラはこう話している。
 人の幸せを自分と比べる。自分の不幸を人と比べる。過去の幸せといまを比べる。将来の幸せ(望み)といまを比べる。理想の幸せと現実を比べる。そうすると、不幸な気持ちになってしまうことが多いのである。

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術
保坂 隆 (著)
大和書房 (2011/6/10)
P111

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

  • 作者: 保坂 隆
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2011/06/10
  • メディア: 文庫

 他人と自分を比べて、くよくよ思い悩み、劣等感を抱え込む人がいる。しかし、一概に「世界に一つだけの花」の歌のように、他者と比べるのは無駄というわけでもない。先に述べたように、主体性を意識し、ベンチマーク、つまり自分の居場所を確認するために他者と比べるのは有効だ。
~中略~
 そこで「世界に一つだけの花」を決め込んで、他者をまったく意識しないというのもおかしい。
「世界に一つだけ」になりたかったら、ほかの花がどんな花なのかよく知ったほうがいい。差別化戦略は、逆説的だが、他者の後追い戦略をしっかり立てることで見えてくる。
~中略~
 頑張っている他者のツイッターやフェイスブックのフィードを見て、やる気を出したり、やる気をなくしたりするくらいなら、見ない方がいい。

頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
田村耕太郎 (著)
朝日新聞出版 (2014/7/8)
P170

頭に来てもアホとは戦うな!

頭に来てもアホとは戦うな!

  • 作者: 田村耕太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2014/09/25
  • メディア: Kindle版

権威とは実力と人格からにじみでてくるもの

前略~
 トップでもマネージャーでも、そのポストからじかに生まれる力をもっている。外から与えられた力である。これが権力(パワー)である。
この権力は伝家の宝刀だから、できるだけ抜かないほうがよい。これに対して、権威(オーソリティ)は、トップやマネージャーに必ず備わっているとはかぎらない。権威は内から自然に身についてくるものだからである。 実力と人格からにじみでてくるものだからである。この権威こそ大いに発揮してほしい。

経営の行動指針―土光語録
土光 敏夫 (著), 本郷 孝信 (編集)
産能大出版部; 新訂版 (2009/10/15)
P39

経営の行動指針―土光語録

経営の行動指針―土光語録

  • 出版社/メーカー: 産能大出版部
  • 発売日: 2009/10/15
  • メディア: 単行本

 

脚下照顧

P113
見栄や雰囲気に流されると自分自身を見失いやすくなる。
また、本物も見えにくくなる。
一度は流れの中で立ち止まって、足元を見つめることも必要だ。

橋本 保雄 (著)
感動を与えるサービスの神髄―ホテルオークラを築いた人間(おとこ)の経営学
大和出版 (1999/09)

感動を与えるサービスの神髄: ホテルオークラを築いた人間の経営学

感動を与えるサービスの神髄: ホテルオークラを築いた人間の経営学

  • 作者: 橋本 保雄
  • 出版社/メーカー: 大和出版
  • 発売日: 1999/09/01
  • メディア: 単行本

 

元ホテルオークラ副社長が説く実践的サービス論。
筆者は元ホテルオークラ副社長(現顧問)。

>>>脚下照顧

-6425b.jpg薬師寺3

P157
寮に懇親会、茶話会があって、入り口に足の踏み場がないくらいに履物が乱れている。これは心の乱雑を表すなによりの証拠だ。情けなくなって、学長自ら散乱している履物をそろえていたら、さすがに人間だからそれくらいの気はつく。その辺にいた学生が恐縮したような恰好をして手伝って整理した。それで「難しいことはいわないが、せめてわが履物くらいは揃えようじゃないか」と言ったら、それから揃えるようになった。
 禅寺へ行けば必ず禅僧が「脚跟下(きゃくこんか)を照顧せよ」という。かかとを跟という。脚跟下を照顧せよ。そういうことを自覚することから修行というものが始まる。
 人間の進歩、文明、文化というものは、突きつめると、孟子が断言したように、「自反」―自ら反(かえ)るというところにある。自分が自分に反ることをいい加減にして忘れて、外物に自分を奪われる。
徒(いたず)らに外物を追う、つまり自分を棚に上げてしまう。自己をおろそかにする、自己を疎外するというところからあらゆる間違いやら迷いやら、いろいろの失敗が起ってくる。

P274
 どうしても、自ら志を立てて実践するという心構えとか根本的生活態度というものを確立しないと、なにを言っても空論である。いかなる期待される人間像も理想社会もみな空論・幻影である。だから人間は機会あるごとに、己に反って己自らが考える。
王陽明と楊茂の聾唖の問答でいうならば、常に「多少の閑是非を省了」する必要がある。

知命と立命―人間学講話
安岡 正篤 (著)
プレジデント社 (1991/05))

 

人間学講話第6集 知命と立命 (安岡正篤人間学講話)

人間学講話第6集 知命と立命 (安岡正篤人間学講話)

  • 作者: 安岡 正篤
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 1991/05/27
  • メディア: 単行本

 足元を見て、できることを積み重ねる。改善を重ねていく―こういう努力をは、自分の内側だけを見て、今立っている場所からスタートすればよいので、とてもラクだし、自然です。
もはや嫉妬とは無縁になります。努力する自分自身の道のりを、謙虚に楽しみながら生きています。

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
草薙龍瞬 (著)
KADOKAWA/中経出版 (2015/7/31)
P196

 

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」

  • 作者: 草薙龍瞬
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2015/07/29
  • メディア: Kindle版
薬師寺 奈良県

些細なことをまもり通す

 子ども心に残る祖母の台所の静けさは、実際の音の有無というより、乱雑さがなかったことから受ける印象が強く残っているのだと思う。
静けさはすなわち、いつでも料理にかかれる態勢が整えられていることを意味していた。まっ白に気持よく乾いた布巾を保つことは、祖母が一生かけてまもっていた心の支え。
夕食後にその日使った庖丁をきちんと晒(さらし)にくるんでしまうのは、刃物に対する敬意、そして女所帯の用心のよさでもあった。
布巾も庖丁も些細なことながら、それをまもり通すのは容易ではない。
青木奈緒

幸田文 台所帖
幸田 文 (著) , 青木 玉 (編集)
平凡社 (2009/3/5)
P248

幸田文 台所帖

幸田文 台所帖

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/03/05
  • メディア: 単行本

 

私自身、基本的な事柄の徹底がいつも最重要課題として位置づけています。企業再生を請け負う時にも、最初に手がける意のは必ずといっていいほど「あいさつの徹底」です。
基本の徹底ができる組織をつくることが、会社にとって基本中の基本です。経営者の指示が現場で実行できる組織にならなければ、何を言っても始まりません。

 基本的で重要なことというのは、しばらく手を抜いて見ないでおくと必ずまたやらなくなるという特性があります。これは、気の緩みです。経営者としてはこうした現場の緩みを絶対に見逃してはいけないのです。
~中略~
 基本の徹底は、当たり前のことを当たり前にやるしかありません。経営には魔法の杖はないのです。

利益を3倍にするたった5つの方法―儲かる会社が実践している!
大久保 恒夫 (著)
ビジネス社 (2007/08)
P109

 

利益を3倍にするたった5つの方法: 儲かる会社が実践している!

利益を3倍にするたった5つの方法: 儲かる会社が実践している!

  • 作者: 大久保 恒夫
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2007/08/01
  • メディア: 単行本
大分県 天ヶ瀬温泉 天水

粒子線施設は原発のおまけ

P97
 適応患者は少ない。施設建設費も巨顎になる。ならば、何故これほど多くの粒子線治療施設が建設されてきたのか。改めて9ページのマップを見ると、粒子線治療施設は北海道、福島、茨城、福井、静岡、佐賀、鹿児島と原発立地県に多く作られていることに気づく。
 国会議員で唯一の原子力の専門家として原発事故問題を追求し、12年11月の衆議院解散をもって隠退した吉井英勝氏が指摘する。
「原発立地県に多いのは、電力会社をはじめとする日本の財界中枢が構成する”原発利益共同体”が「核の医療利用」「地元の科学技術発展」などを口実に、原発新設や再稼働を狙っているからです。
~中略~
 佐賀県に誘致の話が最初に持ちあがったのは、06年3月。九州電力が玄海原発3号機への導入を目指していたプルサーマル計画に対し、古川康知事が事前了解を出した時のことである。
~中略~ 宮崎泰茂県議が説明する。
「プルサーマル受け入れの見返りとして、知事らの地域振興策の求めに対して二階さん(住人注;当時の経済産業大臣だった二階俊博・衆議院議員)が『陽子線はどうですか?』と言ったのが発端だった。当初は、陽子線治療施設を予定していたんです。しかし、後に鹿児島で陽子線治療の計画が先行していることがわかり、重粒子線に切り換えていったのです」
~中略~

サガハイマットの設置費用は150億円とし、佐賀県の補助筋20億円と民間からの寄付や出資金で130億円を集める計画だった。 資金調達を率先したのは九州電力で、40億円に寄付も約束した。
~中略~
 ちなみに、粒子線治療施設の誘致に敗れた唐津市には、早稲田の中高一貫校が設置された。10年4月に開校されたが、九電はこの学校法人にも20億円を寄付している。原発立地県でなければ、常識的には考えられない”手厚さ”である。他の原発立地県の事情も、推して知るべしだろう。
 サガハイマットは見込み通りに寄付は集まらず、県は、国から交付された地域医療再生基金を取り崩して8億3000万円を追加補助する。
隣県の福岡県にも援助を乞い、5億9000万円の補助を受けている。九電の松尾新吾会長(現・相談役)は、福岡県の小川洋知事の後援会長を務める。
「資金繰りに困窮した古川知事が、九電の松尾さんに泣きついて橋渡ししてもらったのです。県境を越えた補助金など異例というほかはありません。~略」(宮崎泰茂県議)

P99
 鳥栖市内でレストランを経営する男性は、こう語った。
「がん患者のためと言ったって、300万円もする治療を受けられる人は限られると思います。いま鳥栖市には市民病院もなければ、公的なリハビリ施設もない。税金はもっと市民に身近な医療機関に使われるべきです」
~中略~
サガハイマットは、すでに30億円近くを金融機関から借りており、さらに追加借り入れを検討しているともいう。頼りだった九電の寄付も、業績悪化を理由にストップっしている始末だからだ。今後、年間25億円前後の運営費ものしかかってくる。患者がそのツケを支払わされることがないよう願うばかりである。

取材・文 亀井洋志(ジャーナリスト) 

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ
別冊宝島編集部 (編集)
宝島社 (2013/4/22)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 大型本

 

本邦でも、あちこちに、「癌治療の目玉として」粒子線治療の設備はできるようである。まことわが同胞は箱モノが好きなのだなあと痛感する。基本的な感覚は整備新幹線と変わりがない。 そんなことをする暇と金があったら、絶対的に不足している放射線治療医や医学物理士を育成するべきであるが、そういう地道なことには予算がつきにくいのであろう。新聞記事にもならないしね。  粒子線治療などは莫大な設備投資がかかる。一旦できてしまったものは、壊すに壊せない。その費用を回収するために、必要のない患者さんにまで、高い金をとって粒子線治療を行うことが近い将来起こるであろう。 すでに米国からは、従来陽子線治療の非常によい適応とされていた前立腺癌治療においても「通常の」放射線治療の治療計画の改善によって、陽子線はコストパフォーマンスが悪すぎるという論文が出されている。  本来設備は、これこれで必要だからこのくらい作る、というものであって、まずは「最新鋭の」ものを作ってから使い道を考える、のではないはずである。しかしわが国は、戦艦大和以来、後者のやり方が主流のように思えるのは私だけだろうか。

偽善の医療
里見 清一 (著)
新潮社 (2009/03)
P184

 

偽善の医療 (新潮新書 306)

偽善の医療 (新潮新書 306)

  • 作者: 里見 清一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/01
  • メディア: 新書
佐賀県 名護屋城跡

ほめられ世代

P182
 オーストラリアに滞在していたときのことです。
 あるラジオ番組で、会社経営者たちが大卒の新入社員についての不満を語っているのを耳にしました。
 高等教育を受けた頭のいい20代前半の新入社員たちは、絶え間なくおだてたりほめたりしなくてはならず、批判めいたことを口にしようものならたちまち不機嫌になり、仕事を辞めてしまう者さえいるというのです。
 アメリカをはじめ、他の先進国においても、管理職は同じ問題に直面しています。スパルタ式の教育を受けた世代の人間にとっては、この甘やかされた傷つきやすい新入社員はじつに頭の痛い存在です。
 キャロル・ドゥエックはこうした新人たちを「ほめられ世代」と呼んでいます。
 彼らは心優しい親と教師に囲まれて育ちました。親や教師たちは子供たちの自尊心を育て、自身をもたせたいという願いから、絶え間なく無条件のほめ言葉を与えてきました。
そして、子どもたちの脆いプライドを傷つけるかもしれないからと、批判めいた言葉は口にしないようにしてきました。
 しかし結果は裏目に出てしまいました。高い自己信頼感をもった大人になるどころか、彼らは自信のない甘やかされた人間になってしまったのです。
「いま、私たちの職場には、つねに安心させることが必要で、批判を受けつけない人間があふれている。
挑戦し、粘り強さを発揮し、間違いを認めてそれを正していくことが求められるビジネスの世界で、そんな人間が成功するとは思えない」

P185
「人間にとってこれほどひどい呪いはないのではないかと私は考える。それは、努力なしにすべての願いが完全にかなえられ、希望や欲望、そして葛藤さえ残らないことである」

作家 サミュエル・スマイルズ 

ハーバードの人生を変える授業
タル・ベン・シャハー(著), 成瀬 まゆみ (翻訳)
大和書房 (2015/1/10)

ハーバードの人生を変える授業

ハーバードの人生を変える授業

  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2014/03/07
  • メディア: Kindle版


 最近の若い世代の様子を見ていると、子ども時代にきちんと叱られなまま大人になってしまった人が多いのではないかと感じるのです。というのも、自分がミスした時や間違いを指摘された時に、きちんと謝ることができない若者が増えているからです。
 本人も謝らなければならないとわかってはいるようですが、「すみませんでした」の一言がなかなか出てきません。素直に謝ることができないのは、大人から真剣に叱られたことがないまま育ったからではないでしょうか。
 一概には言えませんが、最近の学校や幼稚園、保育園などでは、以前のように先生が厳しく生徒や児童を指導することが少なくなったと聞きます。
叱るのは目にあまる問題行動を起こした時くらいで、大問題にならなければ良しとする、事なかれ主義が増えてきているように思えてなりません。
 そうは言っても、子どもの人格形成において、一番の責任が家庭にあることは言うまでもないでしょう。成らぬことは成らぬ。そう言わなければならない場面では、毅然とした態度をとりましょう。
「子どもがかわいそう」「嫌われたくない」と言いなりになってしまうと、子どもは自分の行いを顧みる機会を逃したまま成長してしまいます。
 上手に叱るためには、普段から家庭の雰囲気を明るくし、親子関係を円滑にしておく必要があります。そのためには、一緒に食卓を囲むことが一番の近道でしょう。

怒らない 禅の作法

枡野 俊明 (著)
河出書房新社 (2016/4/6)
P147

怒らない 禅の作法 (河出文庫 ま 14-2)

怒らない 禅の作法 (河出文庫 ま 14-2)

  • 作者: 枡野 俊明
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: 文庫

 

2026年1月9日金曜日

計画とは「将来への意志」である

 計画とは「将来への意志」である。将来への意志は、現在から飛躍し、無理があり、実現不可能に見えるものでなくてはならない。現在の延長線上にあり、合理的であり、実現可能な計画は、むしろ「予定」と呼ぶべきだろう。
将来への意志としての計画は、本来困難なものなのだ。困難を受け入れ、困難にいどみ、困難に打ち勝つモチーフを計画は自らのうちにもたねばならない。
 計画は、個々人にとっては、自己研鑽の場をつくる高い目標を掲げ、なにがなんでもやりぬく強烈な意志の力によって、群がる障害に耐え、隘路を乗りこえる過程で、真の人間形成が行われる。艱難汝を珠にす。
 そして艱難を自らに課し続ける人間のみが、不断の人間的成長を遂げる。
我に百難を与えたまえ。
 計画とは、結局、自分のものであり、自分のためにある。そのことを各人が自覚したとき、計画は真の力を現わす。

経営の行動指針―土光語録
土光 敏夫 (著), 本郷 孝信 (編集)
産能大出版部; 新訂版 (2009/10/15)
P62

経営の行動指針―土光語録

経営の行動指針―土光語録

  • 出版社/メーカー: 産能大出版部
  • 発売日: 2009/10/15
  • メディア: 単行本

 

 世人は「なに今日あって明日なき命だ」と言って、予定計画などに耳を貸そうとせぬ者が多い。
しかし、これは愚かなことである。人の生命は今日あるごとく、明日もあるであろうと信ずるこそ合理的である、幸か不幸か知らぬが、ともかく明日にも死んだならば、それで済むであろうが、もし生きていたとすれば、毎日毎日無計画のために、大いにまごつかされる。
これは、日本人が今日あっても明日はないかもしれぬという、消極の思想を有するためであるが、これに反し、西洋人は今日あるから明日もあろう、来年もあろうという積極の思想で計画し準備する。
もし、個人が今日あって明日も知れぬというならば、国家のこともまた同じである。今日あって明日あるや否や分からぬ国家であれば、何もなすことがなくなってしまう。何人かかかる議論に首肯するであろうか。

修養
新渡戸 稲造 (著)
たちばな出版 (2002/07)
P234

修養 (タチバナ教養文庫)

修養 (タチバナ教養文庫)

  • 作者: 新渡戸 稲造
  • 出版社/メーカー: たちばな出版
  • 発売日: 2002/07/01
  • メディア: 新書
大分県 九重連山

日新

 一つだけ座右の銘をあげろといわれれば、中国の古典「大学」にある「まことに日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」をあげたい。商時代の湯王が洗面盤に彫りつけ、毎朝洗顔の際自戒に資したという。
~中略~
 わたしは一日の決算は一日にやるよう心がけている。うまくゆくこともあるが、しくじることもある。しくじれば、その日のうちに始末する。反省し正解を得て、きれいさっぱり清算する。今日が眼目だから、昨日の尾を引いたり、明日へ持ち越したりしない。昨日を悔やむことはないし、明日を思いわずらうこともない。
 このことを積極的にいい表わしたのが「日新」だ。昨日も明日もない。
 新たに、今日という清浄無垢の日を迎える。今日という一日に全力を傾ける。今日一日を有意義に過ごす。これは私にとって、最大最良の健康法(精神的にも肉体的にも)になっているかもしれない。

経営の行動指針―土光語録
土光 敏夫 (著), 本郷 孝信 (編集)
産能大出版部; 新訂版 (2009/10/15)
P200

経営の行動指針―土光語録

経営の行動指針―土光語録

  • 出版社/メーカー: 産能大出版部
  • 発売日: 2009/10/15
  • メディア: 単行本

 

大分県 九重連山

報道の役割

  私は新聞を経営するに当たり、近頃わが国の恥にさえなっている誹謗や人身攻撃にわたることは、一切これを避けるように心を用いた。
こうした種類のものを載せてくれと頼んでくる筆者は、たいていきまって新聞の自由を主張し、新聞は乗合馬車のようなもので、料金を払う者は誰でも乗る権利があるなどと弁じ立てるのだが、そういう時には、私はいつも次のように応えた。

「もしお望みならその文章は別に刷って上げよう。あなたはお気に召すだけ何部でも持って行ってご自分で配るがよろしい。
だが、私は人の悪口を広めるようなことは引き受けたくない。私は有益な、あるいは興味ある記事を提供すると購読者に約束しているのだから、読者に関係のない個人的な言い争いは載せることができない。
そんなことをすれば、明らかに読者の利益を害するのだから」

フランクリン (著), 松本 慎一 (翻訳), 西川 正身 (翻訳)
フランクリン自伝
岩波書店 (1957/1/7)
P181

フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)

  • 作者: フランクリン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/01/07
  • メディア: 文庫


 政府は、さらに出版物取締り強化をはかって、九月七日には治安維持罰則勅令を公布した。その維持令には、社会不安をうながすような記事を掲載した新聞、雑誌等の発行人に対して、十年以下の懲役、禁錮、又は三千円以下の罰金に処すことが明記されていた。
またその取締りを一層確実なものにするため、九月十六日には新聞、雑誌等の原稿を洩れなく検閲する命令が内務省から発せられた。
~中略~
大地震発生後新聞報道は、たしかに重大な過失をおかした。
その朝鮮人来襲に関する記事は、庶民を恐怖におとしいれ、多くの虐殺事件の発生も促した。その結果、記事原稿の検閲を受けねばならなくなったのだ。 
しかし、それは同時に新聞の最大の存在意義である報道の自由を失うことにもつながった。記事原稿は、治安維持を乱す恐れのあるものを発表禁止にするという条項によって、内務省の手で徹底的な発禁と削除を受けた。

関東大震災
吉村 昭 (著)
文藝春秋; 新装版 (2004/08)
P232

 

 

新装版 関東大震災 (文春文庫)

新装版 関東大震災 (文春文庫)

  • 作者: 吉村 昭
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/08/03
  • メディア: 文庫


糸井 世界の人々が福島に対して抱いているイメージは、そうとう現実と違っているんでしょうね。
早野 おそらく。最近、福島県で撮影されてYou Tubeに公開された「HAPPY福島版」という動画が話題になっていたんですが、そこでは福島の人たちが笑顔で踊ったりしているんですね。それを見た外国人たちが、「これは本当に福島で撮ったのか?」って、なかなか信じない。そういう感じは、この会議(住人注;県立福島高校に通う3人が、ヨーロッパの高校生が集まる研究発表会で、福島第一原発事故の影響に関する発表をした)で、ものすごくリアルのものとして実感しましたね。
糸井 遠くにいて、ニュースだけで知っていることと、実際の現場はまったくかけ離れていることもあるんですよね。
以前お会いした、国際的なジャーナリストの方から聞いたんですけど、「紛争地区に入っても、ほとんどの地域では人々が普段どおりの生活を送っている」そうなんです。ある地域で住民が激しく投石をしているって聞いて取材に行くと、まったくその気配がない。住民の人に訊いてみたら、「その投石は午後三時から、一本向こうの通りでやりますよ」みたいなことを言われたそうです。
早野 うん、そんなものかもしれない。
糸井 やっぱり、国際報道って、限定的でショッキングなことをピックアップしていることが多いから、国内の報道もそうですよね。
早野 そういう感じですね。悪いことはニュースになるけれど、そうじゃないことはニュースにならない。悪かった状況が徐々に回復している、なんていうことは報道されませんからね。

知ろうとすること。
早野 龍五 (著), 糸井 重里 (著)
新潮社 (2014/9/27)
P163

 

知ろうとすること。 (新潮文庫)

知ろうとすること。 (新潮文庫)

  • 作者: 早野 龍五
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/09/27
  • メディア: 文庫




大分県 九重連山

共創の場

今の時代に必要なのは、市場を”競争の場”ととらえるだけでなく、”共創の場”ととらえる視点です。
共創の場ができると、対話を通して、それぞれが持っている優れた知が場に取り込まれ、そこで生まれた新しい知が、実践を通してまた一人ひとりの中に取り込まれて、気づきが生まれる。
これが繰り返されて、どんどん知が膨らみ、それまで不可能だったことが可能になっていくのです。
野中 郁次郎

勝見 明 (著), 鈴木 敏文, 野中 郁次郎
セブン‐イレブンの「16歳からの経営学」―鈴木敏文が教える「ほんとう」の仕事
宝島社 (2005/10)
P187

セブン‐イレブンの「16歳からの経営学」―鈴木敏文が教える「ほんとう」の仕事

セブン‐イレブンの「16歳からの経営学」―鈴木敏文が教える「ほんとう」の仕事

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2022/01/27
  • メディア: 単行本

 

大分県 九重連山