2025年11月4日火曜日

「仕方がない」と諦めて「水に流す」

  「日本人はいつに変らぬ陽気さと暢気さを保っていた。不幸に襲われたことをいつまでも嘆いて時間を無駄にしたりしなかった。持ち物すべてを失ったにもかかわらずにである」
スエンソンは日本人の勇気と沈着に感心し、「日本人を宿命論者と呼んでさしつかえないだろう」と結論しています。
エド幕末滞在記 若き海軍士官の見た日本人
スエンソン(江戸末期に日本を訪れたデンマーク人)

養老 孟司 (著)
超バカの壁
新潮社 (2006/1/14)
P129

超バカの壁(新潮新書)

超バカの壁(新潮新書)

  • 作者: 養老 孟司
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/05/23
  • メディア: Kindle版


「一年前に私は「日本化」という言葉を使いましたが、日本人が大事にしているメンタリティーや習慣の中には、教わり学ぶ、という人と人のよい関係を妨げる要素もあるようですね。
無論、そういったものは時代を経て変わっていくものですが、一つ例を挙げれば”曖昧さ”でしょうか。私は日本人に、あまり責任や原因を明確にしないまま次に進もうとする傾向があるように思います。
 私には、日本人の選手やコーチたちがよく使う言葉で嫌いなものが二つあります。
「しょうがない」と「切り換え、切り換え」です。ドイツ語にもないと思います。「どうにもできない」はあっても「しょうがない」はありません。
これは諦めるべきではない何かを諦めてしまう、非常に嫌な語感だと思います」

オシムの言葉 増補改訂版
木村 元彦 (著)
文藝春秋; 増補改訂版 (2014/1/4)
P289

オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)

オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)

  • 作者: 木村 元彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/01/04
  • メディア: 文庫

 獲物を追って移動する狩猟・肉食系の外国と異なり、日本は、逃げ場のない狭い国土の中で、決められた土地に定着する草食・農耕民族であるから、定期、不定期に襲う巨大な自然災害を宿命として受け入れて、破壊されては再生しつつ長い歴史を紡いできた。
未曽有の恐怖に襲われながらも、欧米人に見られない郷土への強い帰趨本能を有する。
我が国は、英語には一般名詞がなく国際共通語になった"Typhoon"や"Tsunami"に代表される自然災害大国であるにも拘らず、生まれ育った土地から逃れようとはしない。

自然科学の視点から考える 日本民俗学
橋口 公一 (著)
幻冬舎 (2017/4/20)
P29

自然科学の視点から考える 日本民俗学 (幻冬舎ルネッサンス新書 は 5-1)

自然科学の視点から考える 日本民俗学 (幻冬舎ルネッサンス新書 は 5-1)

  • 作者: 橋口 公一
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/20
  • メディア: 新書

京都 嵐山

調身、調息、調心

P66
 初めはどの雲水も、それまでの生活とのギャップに戸惑い、大変苦労します。しかし、ひと月もすると別人です。背筋がしゃんと伸び、きびきびした動きが身につきます。
 禅の道を極めた高僧になると、ただそこにその人がいるだけで、そばにいる私たちの心まで済んでくるような、風格と品を感じさせるようになります。日々の所作を磨き、修行に精進した結果、そのような徳のある美しさが醸(かも)し出されるんです。
 姿勢を整え、呼吸を整えると、心が整う。これを禅では「調身、調息、調心」と言い、座禅の三要素としています。三者が一体となって座禅が完成し、無の境地を味わうことができるのです。
 決して目立つわけではありませんが、周囲を惹(ひ)きつける魅力を持った人が時々います。そんな人は、所作も、呼吸も、もちろん心も普段から整っているはずです。
 心だけを変えようとしても、人はそうそう変われるものではありません。しかし、日常の立ち居振る舞いなら、意識さえすれば簡単に変えられます。

P95
 心のありようを変えたいと思った時、まず形から入るのはとても大切なことです。

怒らない 禅の作法

枡野 俊明 (著)
河出書房新社 (2016/4/6)

怒らない 禅の作法 (河出文庫)

怒らない 禅の作法 (河出文庫)

  • 作者: 俊明, 枡野
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: 文庫

 

奈良県 十津川

ジャングルの掟こそ永続する

「ジャングルの掟」は個々の場面で見れば弱肉強食だが、ライオンに捕えられる草食動物が絶滅するかといえば、決してそんなことはない。草食動物が少なくなればライオンは飢えて減り、その結果また草食動物が増える。
 それをあえてライオンの活動を抑えて草食動物だけを増やすと、草が尽きて大量餓死が起こる。官僚統制からは程遠いこの仕組みこそが、永遠の秩序なのである。「あるべき明日」
「あるべき明日」

堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る
堺屋 太一 (著)
PHP研究所 (2004/12/7)
P113

堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る

堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る

  • 作者: 堺屋 太一
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2004/12/07
  • メディア: 単行本

英彦山 福岡県 >

アンチ集団主義としての個性尊重

玄侑 集団主義と個人主義っていうのを対置したことが、私は変だと思うんですけどね。人間が生きてゆくうえで、やっぱり何らかの集団はあるわけですよ。

その集団を真上から見た目線っていうのが戦中の目線ですよね。でもやっぱり集団を真横からみなきゃいけない。それぞれ個人の目線と同じ目線で見る。結局その違いだと思うんですよ。
「集団」と「個人」は対置されるものではなかったと思うんですね。
でもそれが公と私っていうものに引きずられて、戦後は集団主義は絶対よくないということになった。
だからアンチ集団主義としての個性尊重に、極端にはしってしまったような気がしますね。

養老 孟司 (著) 玄侑 宗久 (著)
脳と魂
筑摩書房 (2007/05)

脳と魂 (ちくま文庫)

脳と魂 (ちくま文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2020/08/17
  • メディア: 文庫


 型ができてない者が芝居をすると型なしになる。メチャクチャだ。
型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる。
どうだ、わかるか?難しすぎるか。
結論を云えば型をつくるには稽古しかないんだ。
立川談志

大山 くまお (著)
名言力 人生を変えるためのすごい言葉 
ソフトバンククリエイティブ (2009/6/16)
P247


名言力 人生を変えるためのすごい言葉 (SB新書)

名言力 人生を変えるためのすごい言葉 (SB新書)

  • 作者: 大山 くまお
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2009/06/16
  • メディア: 新書



大嘗祭

P46
  新嘗祭(しんじょうさい)が、毎年秋11月下旬の卯の日に宮中でおこなわれる収穫祭であることはいうまでもない。
その年にとれた新穀をアマテラスオオミカミ(または天神地祇)にそなえ、天皇が一緒に食べる神人共食の儀式である。
 これに対し、先帝が亡くなって新帝が即位したときにおこなわれる新嘗祭が、特に大嘗祭と呼ばれた。

P48
かつての天子は「スメミマノミコト」と呼ばれた。「スメ」は神聖を示す言葉、「ミマ」は肉体のことであるから、それは全体として「神聖な肉体を持つ命」という意味になる。
したがって、歴代の個々の天子の体は「魂の入れ物」だったのであり、この入れ物としてのスメミマノミコトのなかに天皇霊が入ってはじめてその天子は威力ある天子となる。

 歴代の天子は、先代からの天子の血を引いているがゆえに威力ある天子となるのではなく、鎮魂(タマシズメ)の儀礼によって天皇霊を自己の体につけ、それによって威力ある天子となるのであり、そのことを実現する場が大嘗祭だった。

P74
これまで述べてきたことをまとめてみれば、大嘗祭とは、歴代の天皇の肉体を次々と通過してきた神武天皇以来の天皇霊次代の天皇の体に付着させるための儀礼であり、すなわち天皇霊の付着・継承ということがその最大の眼目だった。
 同時に新嘗祭にも、毎年暮れになると衰えてくる天皇の霊を強化するという意味が込められていた。それがタマシズメの儀礼であるというのが折口信夫の見方だった。

 

 それに対して、翌年の正月におこなわれる密教儀式、すなわち後七日御修法の場合は、明らかに外部から人間にとりつく邪霊や物の怪を排除するための儀式として考えられていた。

山折 哲雄 (著)
天皇の宮中祭祀と日本人―大嘗祭から謎解く日本の真相
日本文芸社 (2010/1/27)

天皇の宮中祭祀と日本人―大嘗祭から謎解く日本の真相

天皇の宮中祭祀と日本人―大嘗祭から謎解く日本の真相

  • 作者: 山折 哲雄
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2010/01/27
  • メディア: 単行本

 

伊勢神宮 内宮 三重県

2025年11月1日土曜日

南京大虐殺はなかった

日本軍が入城した十二月十三日から翌年二月九日までに、国際委員会は日米英独の大使館に六十一通の文書を提出しており、そこには殺人四十九件、傷害四十四件、強姦三百六十一(うち被害者多数三件、被害者数名六件)などがありますが、大虐殺と呼べるものはありません。この数字自身も、国際委員会書記スマイス教授が認めたように、検証されたものでなく中国人からの伝聞によるものでした。
また国府軍側の何應欽将軍が直後の一九三八年春に提出した大部の報告書にも、南京での虐殺を匂わせるものはいっさいありません。無論、市民虐殺を示唆する日本軍の作戦命令も存在しません。
 当時、中国に関して最も権威ある情報源とされていた「チャイニーズ・イヤーブック」と呼ばれる年鑑がありました。上海で英国系新聞社が出版していたもです。これにも虐殺の影はありません。
一言で言うと、虐殺を示す第一次資料は何一つないということです。

日本人の誇り
藤原 正彦 (著)
文藝春秋 (2011/4/19)
P107

日本人の誇り (文春新書)

日本人の誇り (文春新書)

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/19
  • メディア: 新書

 

愛媛県 石鎚山

なぜアメリカは日中戦争で中国を支援したのか

P179
 アングロサクソンとは、先に述べましたように世界で最も長期戦略にたけた民族です。 その彼らが(住人注;日中戦争で)中国支援に傾いたのは、心に五つの要素があったからと考えられます。
第一は市場としての中国です。いつか世界一の巨大マーケットになる可能性を秘めた中国市場を、日本に独り占めされたらたまらない、と考えたのです。
~中略~
第二はナチスドイツの台頭です。日本を中国と戦わせておけばソ連はソ満国境にそれほど兵を置かなくてもよくなり、西側のドイツとの国境に兵を回すことができるようになります。
~中略~
第三は人種です。アジアの最強国日本と最大国中国による戦争を長引かせておけば両者が共倒れとなり、白人の独占してきた植民地権益への脅威となり始めていた有色人種、なかんずく日本の勢いを当分抑えることができる、という阿吽の呼吸が米英にあったように思われます。
 そのうえ、日本は第一次大戦後のパリ講和会議で、「人種差別撤廃」を提案したとんでもない国なのです。その時は議長のウィルソン大統領がどうにかうっちゃりましたが、日本が大きくなったらやっかいなのです。
~中略~
第四は中国の世界一の宣伝力と、それに動かされた米国世論です。
 中国へ日本が無法無慈悲な侵略を行なっている、と「国民党中央宣伝部国際宣伝処」が中心となり国際世論に、とりわけアメリカに、一八番(おはこ)と言える嘘八百の大宣伝を行ったことです。
 それだけではありません。米国世論の工作には蒋介石夫人の宋美鈴が大活躍をしました。
~中略~
 第五はアメリカに広く深く根付いていた親中反日の精神です。中国に来た多くの宣教師は、日本人よりはるかに教化しやすい中国人に好意を持ち、数億の民をキリスト教徒にするという壮大な夢を描きました。先述のタイム社長ヘンリー・ルースの父親もその一人三十年以上も当地で布教をしていました。

P191
 このような親中反日の感情が、主に二千五百人という在中国宣教師やその関係者からの偏った情報によってアメリカで醸成されました。~中略~
宣教師達は中国があたかもキリスト教国になりうるかのような錯覚をアメリカ人に広め、中国への援助を増加させました。在中および本国の宣教師たちはアメリカにおける一大ロビイストとなっていたのです。

 

P193
 日本軍の北部仏印進駐は中立国米英からの軍事物質援助を絶ち、無意味な戦争を一刻も早く終わらせるために必要だったのです。
~中略~
日中とも戦争などしたくなかったのです。ソ連が火をつけ、その火が消えぬよう米英が懸命にあおり続けた戦争だったのです。米英ソの目的は十二分に達せられました。日中とも多くの犠牲者を出し大いに疲弊しました。
 日本軍は百万近い軍隊を占領地と補給線の防衛のため中国に駐留させることとなり、ソ連やアメリカとの戦いに備えるべき国力をすり減らしました。またスターリンの思惑通り、反共の国民政府軍はとことん打ち破られたため、終戦後には主敵の共産軍にあっという間に負けて台湾に追い出されました。
しかし、米英は最終的に策士スターリンに完敗しました。日本を追いだした後の満州、中国、北朝鮮はすべて共産化され、門戸開放どころではなくなってしまったからです。

日本人の誇り
藤原 正彦 (著)
文藝春秋 (2011/4/19)

日本人の誇り (文春新書)

日本人の誇り (文春新書)

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/19
  • メディア: 新書

 

九重連山 大分県