「俗人は戦闘がはじまったのを見て、はじめて乱がおこったと気づく。すでに戦闘がはじまったのは乱がいよいよ花実の段階に至ったということなのであり、乱が芽の段階にあるときはわからないのだ。
良将は乱の萌芽のうちに備え、愚将は乱の花が開いたときになってからようやく準備にとりかかる。
兵法の神秘なところは、乱がその萌しを見せようとするときにすべて勝利を自分の方にもたらそうと備えることであり、これを大易という。
良将が勝利しても、それが格別もてはやされないのは、勝つべき理由があって勝つからだ。天道争わずして勝つ、とはこのことをいうのである」
山鹿素行(兵法奥義講録創業篇」)
奈良本 辰也 (著)
宮本武蔵 五輪書入門
学習研究社 (2002/11)
P72
P140
三三 日常的に、天から与えられた道の実践を心がけていない人は、大事に直面した時慌てふためいて、うまく対応できないものだ。
~中略~
私は、先年(戊辰の戦争)の出陣の際、備えが充分か否かについて、味方の目で見るのでなく、敵の側から見てこれではとても敵(かな)わないような準備を整えることが第一なのだと指示したことがある。
P167
一 事件に遭遇したり、あるいは何か物事を担当するときに、自分はなんと思慮が浅いことかと、よく嘆くものだが、そんなことは必要ないものだ。
およそ、思慮というものは沈思黙考しているときに行うのがよい。そのようにすれば、緊急事態が発生したときには、その八・九割は実行されるものだ。
事件に遭遇したときに、出し抜けに思慮してみても、それは就寝中に夢の中で奇抜な作戦やよい思いつきを得たとしても、朝起きたときには、役立たずの妄想だったと思うことが多いのと同じである。/p>
西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想
西郷 隆盛 (著), 猪飼 隆明 (翻訳)
角川学芸出版 (2007/04)

新版 南洲翁遺訓 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/07/25
- メディア: 文庫
これだけの用意をして総攻撃前日の西郷との会見にのぞもうというのである。
~中略~
単なるおどしではだめなのである。本当にその準備をし、自分でも「若し百万の生霊を救うにあらざれば、我先ず是を殺さんと断然決心」しなければ、大軍を率い名分をかざしてのりこんでくる西郷との対決はむつかしい。
それが勝負の気合いというものであろう。
これだけの準備を整えた海舟は、品川まで来ている西郷に書を送って、面会を求めた。
勝海舟 (中公新書 158 維新前夜の群像 3)
松浦 玲 (著)
中央公論新社 (1968/04)
P174

勝海舟―維新前夜の群像3 (中公新書 158 維新前夜の群像 3)
- 作者: 松浦 玲
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2020/03/03
- メディア: 新書
病気になってから治療するのは、大変つらい。
賢いひとならば、病気にならないように努力するほうが、病気を治療するよりも楽であるあることを知っている。
名将とは、「戦わずして戦いを勝つ」ということであろう。
養生訓 現代文
貝原 益軒 (著) , 森下 雅之 (翻訳)
原書房 (2002/05)
P30
以上のすべてを念頭に、モラル低下や、「どうにでもなれ」効果、また一つの逸脱的行為が道徳心に長期的な悪影響を及ぼす可能性に、どのように対抗すればいいのだろう?
ファッションの領域であれ、人生の他の領域であれ、一つの反道徳的行為は、また別の行為につながる可能性が高く、一つの領域での反道徳的行為が、ほかの領域での道徳心に影響を与え得ることは明らかだ。
これを踏まえて、不正行為の初期兆候に注目し、満開になる前、出芽期のうちに芽を摘むよう、全力を尽くさなくてはならない。
ずる―嘘とごまかしの行動経済学
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 櫻井 祐子 (翻訳)
早川書房 (2012/12/7)
P157

ずる――噓とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/09/10
- メディア: 文庫
諸外国が、我が国を手中にしようと、虎視眈々たる昨今、足元が極めて危ういような事態が眼前に迫っているのに、今年は外国人はやってこないであろう、来年はまだ外国人との戦闘は始まらぬであろうなどと都合よく考えて、まさかの時、外国軍を迎え撃つための軍事訓練も中途はんぱ、小銃・大砲の準備も不十分、弾丸、火薬等も多くの貯えがないといった有様では、実に手ぬるいことといわねばなりません。
昔より変事というものは、思いもよらぬ時に勃発するもので、今夜にも、いやたった今にも、いかなる不慮の出来事が生ずるか、予測しがたいのであります。
その時になっては、これまで節約々々と千回も万回も繰返し唱えてこられましたことも、何の役にも立たなくなると、恐れながら存ずるものであります。
意見書
啓発録
橋本 左内 (著)
講談社 (1982/7/7)
P165
「ライオンに追われたウサギが逃げ出す時に、肉離れしますか?要は準備が足らないのです」
オシムの言葉 増補改訂版
木村 元彦 (著)
文藝春秋; 増補改訂版 (2014/1/4)
P33
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