記事:共同通信社
提供:共同通信社【2008年9月11日】
健康保険組合連合会は10日、65歳以上の医療費を賄うため各健保組合が拠出する負担金の増大に伴い、2008年度は約1500組合の9割が赤字決算になるとの見通しを明らかにした。09年度以降も財政状況はさらに悪化することが懸念されるという。
トラック輸送大手の西濃運輸健保組合や持ち帰りすしチェーンを展開する京樽健保組合など計13組合が4月以降、負担増に耐えられず解散。中小企業のサラリーマンらが加入する政府管掌健康保険(政管健保)に移るなどしており、今後も健保組合の解散が増える可能性がある。
75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度の4月スタートに伴い、同制度への拠出に加え、65-74歳の医療費も加入者数に応じて負担する仕組みに変わったことが主な理由。新制度導入前の07年度は、全体の45%に当たる680組合が赤字決算になるとしており、導入後の08年度には赤字組合が倍増することになる。
健保連は、06年度の医療制度改革の前に、政府側から65歳以上の医療費を賄うための負担増は1100億円程度と説明を受けていたが、実際には約4000億円に膨らみ、増加分のうち74歳以下が約3200億円を占める。
健保組合が負担増に対応するには、保険料率の引き上げなどが必要。しかし、西濃運輸健保や京樽健保などは労使合わせた料率が政管健保の8・2%を超えることになり、解散に踏み切った。移行先の政管健保は医療給付費の13%を国庫で負担しており、解散が増えれば国庫負担も増大する。
政府は、健保組合の負担増の激変緩和措置として本年度予算に約148億円を計上しているが、健保連は不十分として今後大幅な増額を求めていく方針だ。