2010年10月26日火曜日

清涼飲料水「がんに効く」 薬事法違反容疑で社長逮捕

清涼飲料水「がんに効く」 薬事法違反容疑で社長逮捕
2010年10月25日 提供:共同通信社

 徳島県警生活環境課は23日、医薬品の承認を受けていない清涼飲料水を「がんに効く」などとうたって販売したとして、薬事法違反の疑いで、香川県さぬき市長尾東、会社社長宮西清恵(みやにし・きよえ)容疑者(70)を逮捕し、会社事務所など関係先7カ所を家宅捜索した。
 県警によると、「健康補助食品として売った」と容疑を否認している。同容疑者は下着・健康食品販売の「シャンロワール」社(徳島市南末広町)の販売代理店「雅」の社長。香川を中心に愛媛や徳島でも営業していた。清涼飲料水は同社から仕入れ、製品概要を説明する研修にも参加していた。県警は今年2月に同社を薬事法違反容疑で家宅捜索していた。
 逮捕容疑は2009年5月、愛媛県新居浜市内の喫茶店で「がんの治療や予防に効果がある」などとうたい、同市の50代の女性に厚生労働省から医薬品として承認を受けていない清涼飲料水4本と錠剤の瓶詰3点を約15万円で販売した疑い。
 シャンロワールはこれまでの取材に対し回答していない。
 民間の信用調査会社によると、シャンロワールは1988年設立。資本金は3千万円で2005年9月期の売上高は68億円。女性用の下着や健康食品を販売している。

癌学会など朝日記事に抗議…がんワクチン問題で

癌学会など朝日記事に抗議…がんワクチン問題で2010年10月22日
提供:読売新聞

 東京大医科学研究所が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験で、医科研付属病院の患者が消化管出血を起こした情報をワクチンを提供する他の病院には知らせていなかったと朝日新聞が報じた問題で、日本癌(がん)学会(野田哲生理事長)と日本がん免疫学会(今井浩三理事長)は22日、朝日新聞社に対する抗議声明を公表した。
 問題になっているのは、今月15、16日に掲載された一連の記事。出血は医科研単独の臨床試験で起き、これとは別の臨床試験を行っていた他の病院の医師には伝える義務がなかったにもかかわらず、これを批判するなどした。これに対し、癌学会ホームページに掲載された抗議声明では、「大きな事実誤認に基づいて情報をゆがめ、読者を誤った理解へと誘導する内容」と批判。同社に速やかな記事の訂正と謝罪を求めた。
 一方、記事で触れられたオンコセラピー・サイエンス社(本社・川崎市、角田卓也社長)も22日、誤った記事によって「株価が一時ストップ安となり、約83億円の損失となった」として、朝日新聞社に抗議文を送った。

25年度の医療費52兆円 1・4倍、伸び率年2% 厚労省が推計

25年度の医療費52兆円 1・4倍、伸び率年2% 厚労省が推計 【1】
2010年10月25日 提供:共同通信社

 厚生労働省が将来の国民医療費を推計したところ、10年度の37兆5千億円が25年度には1・4倍に膨らみ、14兆8千億円増の52兆3千億円に達することが22日分かった。
 医療機関への報酬改定などの影響を除くと医療費は例年3%台で伸びているが、今後は高齢化による増加が鈍り、25年度までの伸び率は年2・2%にとどまるとしている。推計には13年度に導入予定の新たな高齢者医療制度の影響を織り込んでおり、25日の高齢者医療制度改革会議に示す。
 厚労省は06年時点では、25年度の国民医療費を56兆円と推計していたが「医療費を抑えたい政府が過大に試算している」との指摘が続出した。前回の推計を下回る結果となったことで、政府、与党が進めている税制と社会保障の一体改革の議論にも影響を与えそうだ。
 国民医療費は病気やけがの治療で医療機関に支払われる1年間の総医療費。15年度では10年度比約5兆円増の42兆3千億円、20年度では47兆2千億円と推計した。医療費の伸びが鈍化するのは、02年度に長期投薬の規制が緩和され、受診回数が減っていることなどが要因とみられる。
 このうち75歳以上の医療費は、後期高齢者医療制度を廃止して新制度を導入する予定の13年度では、10年度比2兆円増の14兆8千億円。25年度には10年度の倍近い24兆1千億円と見込んでいる。
 患者の窓口負担を除き、保険料や税金で賄う「医療給付費」は、全年齢で10年度の31兆9千億円が25年度に45兆円となる見通し。
 今回の推計に反映させた新制度では、70~74歳の窓口負担引き上げや現役世代の負担増、税投入拡大などの厚労省方針が既に判明している。
※国民医療費と医療給付費
 病気やけがの治療で医療機関に支払われる1年間の医療費の総額が国民医療費。医療費全体の指標として一般に使われる。薬の調剤費や入院時の食事療養費は含まれるが、美容整形などの自由診療、正常な分娩(ぶんべん)や健康診断などは除かれる。医療給付費は、国民医療費から患者の窓口負担を除いた分で、保険料と税金(公費)で賄われる。

2010年10月21日木曜日

「糖尿病連携手帳」作成 医科歯科連携の推進へ

 糖尿病患者に対して糖尿病における療養上の指導や記録等に使われていた「 糖尿病健康手帳」が本年8月、「糖尿病連携手帳」(日本糖尿病協会編)として リニューアルされ、糖尿病における医科歯科連携の推進に向けて、歯周病や「 かかりつけ歯科医」に係る事項などが明記された。
今後、希望者に対して無償 で配布される。  本連携手帳の特徴は、病院とかかりつけ医などの連携による質の高い糖尿病 治療の実現を目的に、「糖尿病連携パス」として活用するための改訂を加えて いること。
歯科関係では、患者説明用に歯周病の説明が他の合併症と同列に記 載された。また、連携先として「かかりつけ歯科医」がかかりつけ医、かかり つけ眼科医などと並んで明記され、かかりつけ歯科医の受診時に本連携手帳を 提示するよう求めるとともに、基本情報や検査結果欄には歯周病の結果記載欄 が設けられている。
 連携手帳の問い合せ先は日本糖尿病協会(〒102-0083東京都千代田区4-2-1 MK麹町ビル5階、
TEL:03-3514-1711
HP: http://www.nittokyo.or.jp/ )。

歯科医療費2兆5473億円 前年度比200億円、0.7%減

歯科医療費2兆5473億円 前年度比200億円、0.7%減
 構成割合は7.2%に減少  平成21年度医療費の動向

 平成21年度の医療費の動向(概算医療費)が8月16日、厚労省より公表され、 歯科医療費は前年度比200億円減(▲0.7%、休日等補正後▲0.6%)の2兆5473億 円で、構成割合は前年度の7.5%から7.2%に下がった。
医科が入院で4300億円増 (3.1%、同3.2%)の14兆324億円、入院外で3500億円増(2.8%、同2.9%)の12兆 7291億円、調剤が4300億円増(7.9%、同8.1%)の5兆8695億円とそれぞれ増加 する中、歯科医療費だけが減少した。
 歯科の受診延日数は4億1千万日で、前年度より200万日、0.5%減少した。1日 当たり医療費は6200円で、横ばいであった。
 平成21年度の医療費は35兆2501億円で、前年度より1兆1900億円増加。70歳 以上で15兆5千億円と全体の44.0%を占めた。70歳未満は18兆1千億円で51.2%、 公費は1兆7千億円で4.8%。75歳以上だと12兆円で34.2%であった。医療費の増 加傾向は続いており、7年連続で過去最大を更新している。
 1人当たり医療費は27万6千円で前年度より1万円増加。70歳以上は77万6千円 で1万9千円増え、そのうち75歳以上は88万2千円で1万9千円増えた。70歳未満は 16万8千円で4千円増加した。
 概算医療費は、社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会にお ける審査分の医療費で、国民医療費の約98%を占める。

2010年10月20日水曜日

日本の1人当たり医療費は、OECD加盟31ヵ国中20位

2010年10月19日 提供:WIC REPORT(厚生政策情報センター)

医療保障制度に関する国際関係資料(10/18)《厚労省》 
厚生労働省は10月18日に、医療保障制度に関する国際関係資料について発表した。
(1)2008年におけるOECD加盟国の医療費の状況(p1参照)
(2)2007年の、G7諸国における総医療費(対GDP比)と高齢化率の状況(p2参照)
(3)2007年時点の、医療分野についての国際比較(p3参照)
(4)主要国の医療保険制度概要(p4参照)-が整理されている。 

このうち(1)のOECD(経済協力開発機構)加盟国における医療費の状況を見てみると、日本は総医療費の対GDP(国内総生産)比は8.1で31ヵ国中22位、1人当たり医療費は2729ドルで31ヵ国中20位となっている。
ちなみに、総医療費(対GDP比)、1人当たり医療費とも、1位はアメリカで、それぞれ16.0、7538ドル(p1参照)。 
また、(3)の国際比較からは、「人口1000人当たり総病床数が際立って多い」「病床100床当たり医師数・看護職員数は逆に非常に少ない」「急性期、医療全体で見ても、平均在院日数は極端に長い」「1人当たり外来診察回数が多い」などの特徴が日本の医療には存在することが分かる(p3参照)。

(その1:0.4M)

2010年10月13日水曜日

70~74歳、窓口負担2割に 現行1割から引き上げ

70~74歳、窓口負担2割に 現行1割から引き上げ 13年度から5年かけ 新高齢者医療で厚労省方針
2010年10月4日 提供:共同通信社

 厚生労働省は2日、2013年度に導入予定の新たな高齢者医療制度で、医療機関の窓口で支払う患者の自己負担割合について、現在は暫定的に1割となっている70~74歳の負担を見直し、早ければ13年度から段階的に2割負担に引き上げる方針を固めた。
 新制度では現役世代の負担増が避けられない見通しとなったことから、厚労省は高齢者にも応分の負担を求める考え。高齢者の窓口負担は総額で1700億円増える一方、公費投入は同程度減ると試算している。ただ、負担増には政府、与党内にも慎重な意見があり、調整は難航しそうだ。
 厚労省の方針では、早ければ13年度に70歳を迎えた人(10年度に67歳)から引き上げを開始。5年間かけて年度経過ごとに順次、70歳になる人へ対象を広げ、70~74歳の全体が2割負担となるのは17年度の見通しだ。現在68歳以上の人は1割負担のまま。
 方針通り見直されれば、高齢者の窓口負担は、一般的な所得の人で(1)75歳以上が1割(2)70~74歳が2割(3)69歳以下は3割-と整理される。
 ただ、70歳以上でも課税所得が145万円以上で、かつ夫婦の合計年収が520万円以上(単身は年収383万円以上)の世帯は「現役並み所得」と扱われ、現行通り3割負担だ。
 70~74歳の窓口負担は本来、自公政権の法改正に基づき08年度から2割になる予定だった。だが同年度の後期高齢者医療制度開始に伴う高齢者の負担軽減策の一環で、それまでの1割を維持し引き上げを凍結していた。
 後期医療制度廃止後の新制度では、75歳以上は国民健康保険か、健康保険組合など被用者保険に移る予定。高齢者医療の枠組みが変わるのに合わせ、厚労省は現在の負担軽減策を見直し、本来の規定に戻すことにした。
※新高齢者医療制度
 後期高齢者医療制度を2012年度末に廃止し、13年度から75歳以上は国民健康保険(国保)か被用者保険に加入。国保に約1200万人、被用者保険に約200万人が後期医療から移る。75歳以上の国保は都道府県単位の運営とし、財政も区分し別会計とする方向。厚生労働省は、一連の見直しを盛り込んだ関連法案を11年の通常国会に提出することを目指している。

2010年7月16日金曜日

「豊かな死」1位は英国 日本は23位、医療費高で

2010年7月15日 提供:共同通信社

 【シンガポール共同】世界で最も「豊かな死」を迎えられるのは英国-。英調査会社が14日、終末医療の現状などを基準にした40カ国・地域の「死の質ランキング」を発表。日本は高額な医療費と医療に従事する人員の不足がたたり、23位と低い評価だった。
 調査したのは、ロンドンが拠点のエコノミスト・インテリジェンス・ユニット。終末医療や苦痛を和らげる緩和医療について各国の医療関係者に聞き取りを行い、普及状況や質、医療費など複数の観点から評価した。
 トップは英国で、ホスピス普及率の高さに加え、専門家養成の環境が整備されていることなどが評価された。2位以下はオーストラリア、ニュージーランドが続いた。
 高齢化が著しい日本について、調査に当たったトニー・ナッシュ氏は「医療システムは高度だが、在宅医療など患者や家族に寄り添うケアが難しいようだ」と分析した。
 施設の整備度が評価される一方、医療保険の不備が問題視された米国は9位。中国(37位)、ブラジル(38位)など新興国は軒並み評価が低く、人口増大に医療普及が追いつかないと指摘されたインドは最下位だった。

2010年7月13日火曜日

参議院議員選挙2010

参院選の医師候補ら厳しく、37人中26人が落選
第22回参議院議員選挙の開票結果、医療関係候補者の当落まとめ(2010/7/12、2010/7/13 訂正)
2010年7月12日 星 良孝(m3.com編集部)


第22回参議院議員選挙が7月11日に投開票され、自民党が51議席を獲得し改選第1党となり、民主党を含む与党が過半数割れする結果となった。今回の選挙では、医師や薬剤師などの医療者、元厚労省幹部、患者団体の非営利組織(NPO)役員などを含めると、37人の医療関係者が立候補したが、26人が落選するという厳しい結果に終わった。新人医師候補に限ると、14人中13人が落選した。選挙区で新人医師の当選なし


 まず選挙区を見ると、民主党公認候補のうち当選したのは、宮城県選挙区(定数2)の現職、政策審議会会長で医師の桜井充候補、大分選挙区(定数1)の現職、厚生労働省政務官で医師の足立信也候補の二人に限られた。
 医療関係の新人候補は軒並み落選を強いられた。福島県選挙区(定数2)では、医師の新人、岡部光規候補が次点で落選したほか、鳥取選挙区(定数1)から同じく医師の新人、坂野真理候補が自民候補との事実上の一騎打ちで敗れた。医師以外の候補でも、埼玉選挙区(定数3)において、歯科医師の現職、島田智哉子候補が落選したほか、兵庫県選挙区(定数2)において、元厚労省職員の新人、三橋真記候補が落選し、広島県選挙区(定数2)で、非営利団体の「乳がん患者友の会きらら」世話人代表の中川圭候補が落選した。徳島選挙区(定数1)では薬剤師の吉田益子候補が競り負けた。
 選挙区と比例区を合わせて10議席を獲得したみんなの党は、医療関係者3人を新人候補として擁立していたが、いずれも落選した。選挙区で落選したのは、愛知県選挙区(定数3)の薬師寺道代候補、三重選挙区(定数1)の矢原由佳子候補のほか、熊本選挙区(定数1)の薬剤師、本田顕子候補である。新党改革の医師候補も落選した。千葉選挙区(定数3)の新人、古閑比佐志候補、大阪府選挙区(定数3)の新人、山分ネルソン祥興候補だ。千葉選挙区では、新人で薬剤師の清水哲候補も落選した。
 議席数を大幅に増やした自民党において選挙区の医療関係者は2人で、埼玉県選挙区(定数3)では関口昌一候補がトップ当選し、山形県選挙区(定数1)の現職、元厚労相副大臣の岸宏一候補が激戦を制した。
 共産党では、オピニオンリーダーとしてメディア露出の多かった現職の党幹事長で医師の小池晃候補(東京都選挙区)が接戦の末に敗れたことが大きい。


医療界の声、届ける難しさ
 比例区を見ると、民主党の医療関連候補は、現職の小林正夫候補(厚生委員会理事)、同じく現職の津田弥太郎(厚生委員会理事)、新人の歯科医師西村正美候補は当選したが、ほかの候補は当選がかなわなかった。日本医師連盟の推薦を受けた病院理事長で新人の安藤高夫候補が落選したほか、現職で医師の土田博和候補、現職で元決算委員会委員長、元薬害エイズ被害者原告代表の家西悟候補も落選した。
 自民党でも、医療関係の候補は厳しい結果となった。元日本看護協会で、新人の高階恵美子候補、元参院議員で元厚生政務官の藤井基之候補、新人で医療団体役員の赤石清美候補は当選したが、現職の元政治倫理公職選挙法特別委員会理事で医師の西島英利候補が、日医の支援を受けていたものの落選したほか、衆議院議員からの鞍替え組としては、元厚労相副大臣の木村義雄候補が落選した。
 そのほかの党では、公明党から、新人で医学博士の秋野公造候補が当選したほかは軒並み苦戦。国民新党からは、新人で医療法人理事長の後藤俊秀候補が落選。共産党からは、新人で医療法人役員の森正明候補が落選、みんなの党からは、元衆議院議員で日医の支援を受けた、医師の清水鴻一郎候補が落選した。新党改革では、新人で自衛隊医官の中村幸嗣候補が落選した。
 今回の選挙においては、日医が民主党推薦の方針を打ち出したことのほか、新党の結党の流れもあり、医療関係の候補者が幅広い党から出馬した。だが、いずれも苦戦。医療界が政治の場に自らの要望を届けることの難しさが浮き彫りになった。

医師の過労自殺裁判で、最高裁が異例の和解勧告

2010年07月08日  「最高裁から、より良い医療の実現のためには、本件は和解により解決するのが妥当であるという考えが示され、弁護団もそのような最高裁の意向に賛同したこと、そして和解の前提として、病院側が、中原利郎氏の死亡が新宿労働基準監督署長により労災認定された事実を真摯に受け止め、弁護団も病院のそのような姿勢を評価したことから、和解に至った」  7月8日、小児科医だった中原利郎氏(当時44歳)が1999年8月に過労自殺、遺族が病院側に損害賠償を求めた裁判で、最高裁で和解が成立、午後5時半から記者会見に臨んだ川人博・弁護士らによる弁護団はこう説明しました。和解額は700万円です。
労災認定を求める行政訴訟では2007年3月の東京地裁判決で遺族側が勝訴、うつ病の発症が過重労働によることが認められました(国は控訴せず確定)。
 民事訴訟では、
(1)病院での業務が過重であったか、それによって自殺の原因となったうつ病が発症したか、
(2)うつ病の発症に関して、使用者である病院の安全配慮義務違反および注意義務違反が認められるか、の2点争点でした(『「医師の過重労働の放置につながる判決」、小児科医の過労死裁判』を参照)。
一審では、(1)と(2)ともに否定され、二審の2009年3月の東京高裁判決では、(1)が認められたものの、(2)は否定され、原告敗訴。  遺族側は判決を不服として最高裁に上告受理の申立を行いました。上告受理、高裁判決の破棄差し戻しには至らなかったものの、最高裁のあっせん趣旨を踏まえて和解に応じることにしたとのこと。  
川人弁護士によると、2008年の司法統計によれば、最高裁に上告申立・上告受理申立がされた民事・行政事件は約4500件で、うち最高裁で和解になったのはわすか延べ8件。原判決が破棄されたのは、56件にすぎないそうです。こうした中での和解勧告について、川人弁護士は、「今回の事件が単に一個人の問題にとどまらず、社会的な事件だというとらえ方を最高裁はしたのだろう」とみています。  遺族側の記者会見の様子も併せ、詳報は改めて医療維新でお伝えします。
【最高裁の和解条項】 申立人らは、亡中原利郎医師の遺志を受け継ぎ、小児科医の過重な勤務条件の改善を希求するとともに、労働基準法等の法規を遵守した職場の確立、医師の心身の健康が守られる保健体制の整備を希求して、本件訴訟を提起したのに対し、相手方は、相手方病院の勤務体制下においては、中原医師の死亡について具体的原因を発見し、防止措置を執ることは容易ではなかったという立場で本件訴訟に対応してきたところ、裁判所は、我が国におけるより良い医療を実現するとの観点から、当事者双方に和解による解決を勧告した。  当事者双方は、原判決が認定した中原医師の勤務状況(相手方病院の措置、対応を含む)を改めて確認するとともに、医師不足や医師の過重負担を生じさせないことが国民の健康を守るために不可欠であることを相互に確認して、以下の内容で和解し、本件訴訟を終了させる。
1.相手方は、中原医師の死亡が新宿労働基準監督署長により労災認定された事実を真摯に受け止め、同医師の死亡に深く哀悼の意を表する。
2.相手方は、申立人らに対し、本件和解金として、労災保険給付金とは別に、合計金700万円の支払義務があることを認め、これを本日、本和解の席上で支払い、申立人らはこれを受領した。
3.申立人らは、その余の請求を放棄する。
4.当事者双方は、今後、本件事案並びにこの和解の経過および結果を公表する場合には、原判決認定事実(原判決が引用する第1審の認定事実を含む)を前提としてこれを行い、相手方病院を含む我が国の医療現場におけるより良い医療を実現することを希求するという本和解の趣旨を十分に尊重し、相手方当事者を誹謗中傷しないことを相互に確約する。
5.当事者双方は、申立人らと相手方との間には、本和解条項に定めるほか、何らかの債権債務がないことを相互に確認する。
6.訴訟の総費用は、各自の負担とする。