2025年1月24日金曜日

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症は、いまだはっきりした原因がわかっていない病気である。手のひらと足の裏に、膿の水ぶくれが多発する。ビオチンン(ビタミンH)が効くという説もあるが、実際の有効率はそれほど高くない。
 金属アレルギーの手足の症状と一見似ているところがあり、一方、掌蹠膿疱症の悪化因子の一つに金属アレルギーがあることも知られている。
~中略~
 ただしはっきりいえることは、口の中の「衛生状態」がとても大きな影響をおよぼしているということである。
口腔内の衛生状態は全身性の疾患も引き起こす、いろいろな病気の母地だということを理解してほしい。


なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池 新(著)
PHP研究所 (2014/10/16)
P186

なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

  • 作者: 菊池 新
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/10/16
  • メディア: 新書

 

歯が命

毎朝、まず熱い湯で目を洗い温める。鼻の中をきれいにする。ぬるま湯で口中をすすいで前日からの汚れを出す。干した塩を使い上下の歯と歯茎を磨き、熱湯を使い十分すすぐ。
~中略~
 そのあと、別の塩湯で目と口を洗い直し、口をすすぐ。毎朝、これをしておけば歯は丈夫で老年になっても歯は抜けない。
視力も衰えず、老いても眼病にかからず夜でも細かい文字を読んだり書いたりすることができる。
 わたしも毎日これを実行しているので、八十三歳になっても細かい字を読み書きできるし、歯も一本も抜けていない。そして爪楊枝も使うこともない。

養生訓 現代文
貝原 益軒 (著) , 森下 雅之 (翻訳)
原書房 (2002/05)
P141

養生訓 現代文

養生訓 現代文

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2020/12/23
  • メディア: 単行本

 

 人に良い印象を与えようと思ったら、清潔であることが殊に大切だ。君は、手や爪をいつもきれいにしているか。
歯は、毎日、毎食後必ず磨いているだろうか。歯は時に大切だ。
いつまでも自分の歯で噛めるためにも、あの耐え難い痛みを経験しないですむためにも、注意を怠ってはならない。
それに歯が悪くなると、嫌な臭いを発するようになるから、、周りの人に対しても失礼だ。

父から若き息子へ贈る「実りある人生の鍵」45章
フィリップ・チェスターフィールド (著), 竹内 均 (翻訳)
三笠書房 (2011/3/22)
PP223

父から若き息子へ贈る「実りある人生の鍵」45章 (知的生きかた文庫)

父から若き息子へ贈る「実りある人生の鍵」45章 (知的生きかた文庫)

  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2011/03/22
  • メディア: 文庫

 

 

毎朝一回歯を清め口を清むるは普通の人の為す所であるが、毎食後に歯を清め口を清めたなら、その人は必ず普通の人よりも齲歯その他の口内の疾患との距離を多くし得るに疑いない。
(明治四十四年十一月)

努力論
幸田 露伴 (著)
岩波書店; 改版 (2001/7/16)
P152

努力論 (岩波文庫)

努力論 (岩波文庫)

  • 作者: 幸田 露伴
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2015/01/01
  • メディア: Kindle版

 

 十年前から慢性のじんましんに悩まされている五十六歳の男性患者さんがいた。

 診療室に入って来た時点からわかるほど、タバコの臭いの混じった強い口臭を持っていて、聞けばヘビースモーカーで、ひどい歯槽膿漏だという。 口の中には、たくさんの義歯。検査をしたら、案の定金属アレルギーもあることがわかった。  しかしこの患者さんに特徴的な点は、歯の金属に一切手をつけなくても、じんましんが治ったことだ。つまり、歯槽膿漏の治療をして、歯みがきをきちんとおこなうことを徹底したのである。
 彼が患っていたのは、「病巣感染」というもので、歯の根っこや口の中や喉に住んでいる(その場所では特段何の悪さもしない)菌に対して、アレルギー反応を起こすという病気である。
金に対するアレルギー反応で、じんましんが出る以外にも、体のほかの場所で症状を出すこともある。
 原因となる菌は、おもに連鎖球菌、ブドウ球菌などの常在菌である。
~中略~
 この病巣感染という状態を起している人は、慢性の難治性皮膚疾患の患者に非常に多いと考えられる。
 いろいろな皮膚病の原因として口腔内の衛生環境の悪化が想定されている。特に慢性じんましんや尋常性乾癬、掌蹠膿疱症ではその主たる原因であるという報告も多い。

なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池 新(著)
PHP研究所 (2014/10/16)
P194

なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

  • 作者: 菊池 新
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/10/16
  • メディア: 新書

 

免疫

こうした例を(住人注;腎移植の拒絶反応)見ると、免疫がたんに微生物から体を守る生体防御のための働きではなくて、基本的には「自己」と「自己でないもの(非自己)を識別して、「非自己」を排除して「自己」の全体性を守るという機構であることこがわかる。

免疫・「自己」と「非自己」の科学
多田 富雄 (著)
日本放送出版協会 (2001/03)
P15

免疫・「自己」と「非自己」の科学 (NHKブックス)

免疫・「自己」と「非自己」の科学 (NHKブックス)

  • 作者: 多田 富雄
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2001/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


P3
 一度かかった病気には、次はかからない。二度目の「疫」病からは「免」れる。「免疫」という言葉には、そんな意味が込められている。
 そうした免疫の働きを担う主役の一つを人類が突きとめたのは、いまから百年以上も前のことだった。日本の北里柴三郎が、破傷風菌の毒素を中和する抗毒素―現代の私たちが「抗体」と呼ぶ免疫分子―を、留学先のドイツで発見したのです。

P306
免疫とはかつて、外部からやってくる病原体を攻撃し排除する防衛システムと考えられた。その防衛力を削ぎ落とすブレーキの営みは、かつてなら免疫の対極に位置するものと捉えられた。
しかし、その認識のしかたはどうやら間違っていたらしい
。免疫は、病原体やがんなどの敵と向き合い対峙する能力の内に、攻撃を ほどほどに収めるしくみを重要な要素として含んでいたのだ。
 免疫の攻撃力が強ければ、力をもてあました攻撃系の免疫細胞は身内の臓器や組織を攻撃し、深刻な自己免疫疾患を起こす。逆に攻撃力が弱くなれば、人は感染症やがんにかかりやすくなる。
 私たちはこのように、免疫の両輪といえるアクセル(攻撃)とブレーキ(抑制)のバランス中で、ある時は健康に生き、ある時は病気になったり死んだりしているのだ。

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病
岸本 忠三(著), 中嶋 彰 (著)
講談社 (2016/1/21)

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス)

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス)

  • 作者: 岸本 忠三
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/01/21
  • メディア: 新書


キシリトールとむし歯予防

 キシリトールガム含有ガム製品についてはEFSAの評価は「100パーセントキシリトールのガムを食後少なくとも3回噛む」ことによる「虫歯リスク低下」という効果を認めていますが、
  特定保健用食品の表示は「このガムは、虫歯の原因にならない甘味料(キシリトール及びマルチトール)を使用しています。また、歯の再石灰化を増強するキシリトール、フクロノリ抽出物(フノラン)、燐酸一水素カルシウムを配合しているので、歯を丈夫で健康に保ちます」と、
使用目安は「一回に二粒を五分噛み、一日七回を目安にお召し上がりください」となっており、
成分と使用方法と結果の関係が明確ではありません。

畝山 智香子 (著)
ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想
化学同人 (2009/11/30)
P170

ほんとうの「食の安全」を考える: ゼロリスクという幻想 DOJIN選書

ほんとうの「食の安全」を考える: ゼロリスクという幻想 DOJIN選書

  • 作者: 畝山智香子
  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2018/09/24
  • メディア: Kindle版


修行者も歯が命

P260
「三千威儀経」に云われている、「口を清めるというのは、楊枝(注;今で云えば歯ブラシ。)を噛む、口を漱ぐ、舌をこそぐのである」と。

P262
(二五) このようであって、釈迦如来もすでに楊枝を用いられたのであるから、人も天人も楊枝を仏に供養し奉るのである。

P263
この十八種の翼が調えられていないならば、修行者の行道はできないのだ。十八種のうち楊枝はその第一に挙げられている、真っ先に調えなければならないのだ。

P266
(三一)しかるに、日本一国では官においても民間においても、出家人も在家人も、みな楊枝を知っている、これは仏の光明に浴しているのであろう。

P267
 この噛んだ楊枝で、嗽の水を右手に取って目を洗うことの起源は、「三千威儀経」の説である。日本国では昔からある教えである。
 刮舌の法は、僧正栄西が伝えたものである。
~中略~/p>

 

(三三)嗽をするとき、この文句を口の中で誦えねばならない。
「華厳経」に云う、「澡漱口歯、当願衆生、向浄法門、究竟解脱 サウソウクシ、タウグヮンシュジャウ、カウジャウホフモン、クキャウゲダチ」。

現代文訳 正法眼蔵 3
道元 (著), 石井 恭二 (翻訳)
河出書房新社 (2004/9/4)

現代文訳 正法眼蔵〈3〉 (河出文庫)

現代文訳 正法眼蔵〈3〉 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/01/09
  • メディア: Kindle版

 

立松 そう、歯の磨き方まで。中国に行って、道元が最初に気づいたのは、中国のお坊さんの口が臭いということだった。道元はこれは仏に対する礼に欠けると考えて、日本に帰ってから、歯を磨く作法を規定したのだそうです。
その、道元が鎌倉時代に決めた決まりを、お寺の中ではいまでも守っているわけです。

親鸞と道元
五木寛之(著),立松和平(著)
祥伝社 (2010/10/26)
P71

親鸞と道元(新潮新書)

親鸞と道元(新潮新書)

  • 作者: 平岡聡
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/02/17
  • メディア: Kindle版

 

大豆イソフラボンとビスフェノールA

  大豆イソフラボンは比較的強い女性ホルモン様の活性があり、そのために骨粗しょう症予防などの効能を謳って食品に添加されたのですが、このような外来性のホルモン様物質はいわゆる内分泌かく乱物資としても知られています。

ごく微量の外来性のホルモン様物質に対して有害である可能性があると主張されているのがいわゆる環境ホルモン問題ですが、添加された大豆イソフラボンは量も活性もそのようなプラスチックや環境中に含まれるとされる汚染物質によるものより遥かに大きなものでした。

~中略~
つまり単純に女性ホルモンとしての活性で考えると、ポリカーボネートの哺乳瓶に入れたミルク200ミリリットルに入っているかもしれないビスフェノールA10マイクログラムにくらべて、納豆一パックに入っている大豆イソフラボン30ミリグラムのほうが、およそ3万倍の活性あるのです。
そしてビスフェノールAの女性ホルモンの作用が心配だからという理由でポリカーボネート製の哺乳瓶は市場から消えてしまった一方で、イソフラボンは健康成分としてさらに添加されたりサプリメントで摂ったりしようとされているわけです。

畝山 智香子 (著)
ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想
化学同人 (2009/11/30)
P171

ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)

ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)

  • 作者: 畝山 智香子
  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2009/11/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


北海道 旭山動物園

日々に、あらゆる面で、私はますますよくなってゆきます

P15
「日々に、あらゆる面で、私はますますよくなってゆきます」
Day by day, in every way I'm getting better and better.

P60
器質性疾患の場合は病気のことをくよくよ悩んでいると、よけい重症になってしまう。なぜなら、くよくよ悩むことによって、器官のもつあらゆる機能を病気にゆだねてしまい、自分の生命力をわが身の破壊にさし向ける結果となるからだ。

他方、病気に注意をはらわず、「かならずなおる」という自己暗示でそれに対抗すれば、病気の力を弱め医師による治療をはかどらせることになろう 

C.H.ブルックス、E.クーエ (著), 河野 徹 (翻訳)
自己暗示
法政大学出版局; 新装版版 (2010/1/14)

自己暗示〈新装版〉

自己暗示〈新装版〉

  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 2010/01/14
  • メディア: 単行本


とにかく、日記の初めの一行に、「今日もいい一日だった」と書いてしまうのだ。つらいことがあっても、何ごともなかった日でも、もちろん、すごくいいことがあった日にも、何も考えずに、まず最初に「今日もいい一日だった」と書いてしまえばいいのである。
~中略~
 特別に何ということもない平凡な一日だった。こんなときでも、「今日もいい一日だった」と書けば、平穏無事に暮らせることがどんなにありがたいか、それに気づくきっかけとなるだろう。
 こうして、「今日もいい一日だった」と書き続けているうちに、ものの見方が前向きに変わっていく。

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術
保坂 隆 (著)
大和書房 (2011/6/10)
P48

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術 (だいわ文庫)

  • 作者: 保坂 隆
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2011/06/10
  • メディア: 文庫
北海道 美幌

不信は高くつく

P126
 不安が連鎖するときりがありません。不信は金、コストがかかるものなのです。
私は人を信用するのがいちばん安い、結果的には得をする道だと思う。
 もちろん誰も彼も信用する必要はありません。それではオレオレ詐欺に引っ掛かり放題ですからね。でも自分が信用できると思った相手はきちんと信用する。
 かっては「かかりつけの医者」というのがいて、それを信用した。それで医者が間違ったら仕方ないね、ということでした。それをやらないようになってからややこしくなった。
セカンドオピニオンを求めたら、サードオピニオンは欲しくなるのです。
~中略~

 これは先ほどの社会コストの話とつながります。身近な医者を信用せずに全員が何人もの医者にかかったらどうなるでしょうか。全体として医療費は増えるから個人の負担額も増えます。本当に治療を要する人は医者にかかれなくなります。
 不信は高コストなのです。

P160
 ところが、これがひとつ世代が若くなると変わっていた。紛争のときの学生さんを見て「どうしてこんなに教師たちへの不信感が強いのだろう」と感じたのです。学生と教師のあいだに不信が生じたのはあの時が初めてだと思います。
 この「不信」は今でも連綿と続いています。学問の場だけでなく、それによって医療そのものも変えてしまいました。患者さんが医者を信用しなくなってしまいました。
 しつこいようですが医療訴訟問題の根本はここにあります。
 このときから、私は相手を「信用しない」ことによる社会的コストというものに、非常に敏感になったのです。相手を警戒すること、だまされないようにすることで得をすると思うかもしれません。しかし実は不信感を持つコストというのは非常に高くつきます。
なぜならばあくまでも保証を求めていかないといけない。そこに限度はないからです。

養老 孟司 (著)
養老訓
新潮社 (2007/11) 

養老訓 (新潮文庫)

養老訓 (新潮文庫)

  • 作者: 孟司, 養老
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫


P331
共有地の悲劇
 お金と同様、信用は経済に欠かせない潤滑剤だ。人がほかの人―小売業や企業―を信用していれば、買ったり、貸したり、信用を供与したりする可能性は高くなる。
昔は紳士同士の握手で商取引がおこなわれたものだ。
しかし、握手が詐欺に終わると信用は消えさり、以後のすべての取引は、詐欺師が相手でも真に善良な人が相手でもむずかしくなる。

P335
 信用は貴重な公共財であり、これを失うとすべての関係者にとって長期的にはマイナスの結果となりうる。
大半の人も企業もこのことに気づいていないか、無視しているのではないかと思う。
信用を裏切るのはたやすい。悪いプレーヤーが市場に数人いるだけで、ほかのすべての人にとって信用がだいなしになってしまう。

P336
 今日、体重を減らし、髪を維持・再生し、セックスライフを向上させ、毎日に活力を与えることを約束する「魔法の薬」の商売は、個人で簡単にはじめられる。
疑いを知らない人たちは、そういう薬を買ってプラセボの恩恵を存分に受けながら、多額のお金を失っている。
その一方で、不正直な薬商人は大もうけしながら、総体的な信用の度合いをいっそうむしばんでいる(すくなくとも、プラセボ効果の恩恵を受けられなかった人にとってはそう言える)。
このように信用がむしばまれると、つぎの魔法の薬売りが商品を売り歩くのに苦労するだけでなく(これ自体は喜ばしいことだ)、ほんとうに信じるに値する相手を信用することまでむずかしくなってしまう。

予想どおりに不合理[増補版]
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 熊谷 淳子 (翻訳)
早川書房; 増補版版 (2010/10/22)

 

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: ペーパーバック


P41
 インターネットをちょっと検索すると、「クスリはこんなに危険」といった情報があふれており、とても合理的とは思えないような症状までが、「これも副作用、あれも副作用」
「医者はカネ儲けのために無理やりクスリを出す」などと強調されている。
 このようにこれまでの医療に強い不信感を持っている若い人たちにとっては、東洋医学的な施術やサプリメントは「からだにやさしい」「自然の摂理にかなっている」と見えるのも当然だ。
~中略~

 一方で、東洋医学や代替医療などに対しては無条件に信頼しすぎてしまい、客観的には不利益を被っていると思われることも少なくないのだ。
~中略~
 医療関係者もいまの若い世代が、「病気を治すこと」以上に「健康な状態をより長く続けること」に関心がシフトしてきていること、またなるべく西洋医学に頼らずにサプリメントや自分にできる健康法で何とかしたいと思っていることなどを理解すべきだろう。
~中略~
 ただ、これは私が医療の世界の人間だからかもしれないが、若い人たちにはもう少し「従来の医療も信じてほしい」と言いたい。

P45
どうも若い人たちは、心霊現象だけではなく、「絶対に薬草」など、民間療法の話などにたいしてもすぐに信じやすい傾向を持っているようだ。
~中略~
 なぜそこまで医学に不信感を抱き、科学的な情報を集めようとしているのに、超常現象、心霊現象となると簡単に信用してしまうのか。
~中略~
 これだけ情報があふれ返っていていて、すべてのことに「ソース」と若い人が言うような裏付けや根拠を求めることも可能なこの時代だからこそ、彼らにとって説明のつかない不思議なオカルト的な現象がその信憑性を増している、とは考えられないだろうか。
 つまり、「情報やデータが多すぎて、かえってそれらは信用できない」という逆説的な現象が起きているのだ。
 また、データではなくて「誰が言ったか」と発言者によって信用度が決定される、という傾向もあるようだ。
~中略~
 何でも理屈やデータで説明できる、と思い込むのも間違いだし、科学を信用しすぎるとあの原発事故のような悲劇につながることもあるので警戒する必要はあるが、だからといって「クスリをいっさい使わず、ハンドパワーですべてを治す先生が絶対に正しい」と即決するのもあまりに短絡的だ。

若者のホンネ 平成生まれは何を考えているのか
香山リカ (著)
朝日新聞出版 (2012/12/13)

若者のホンネ 平成生まれは何を考えているのか (朝日新書)

若者のホンネ 平成生まれは何を考えているのか (朝日新書)

  • 作者: 香山リカ
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2012/12/13
  • メディア: 新書




患者は、医者はろくでもない奴ばっかりで、自分の出世や金儲けしか考えず、そのためには患者をモルモットにすることなど何とも思わないと疑う。
医者は、患者はすぐ訴えるし、仮に患者が了解したといっても、それまで見たこともない身内や親戚、金の亡者のような弁護士が尻を叩く、と思っている。
 現在の医療不信は、後者、つまり医者が患者を信じていない、ということの方が遥かに深刻である。
同意書云々とは別に、医者が予防線を張り、必要以上の検査を行い、過剰診療を行うことは、当然のことながらアメリカでは「進んで」いて、こういうのを予防的医療(Preventive medicine)という。病気を「予防」するのではない。自分が訴えられないように予防するのである。これを非難することが、誰にできよう。  千人に一人、万人に一人、理不尽なクレームをつける患者がいる限り、病院は、製薬会社は、官庁は、結果的に一般の患者さんに対してはインフォームドコンセントハラスメントなる予防策をやめない。
第一、インフォームドコンセントを「きちんと取る」ことは必須であると、現在の医療倫理はお墨付きを出してしまっているのである。私は、この風潮は大嫌いであるが、もはや止められないと思う。

偽善の医療
里見 清一(著)
新潮社 (2009/03)
P158

偽善の医療 (新潮新書)

偽善の医療 (新潮新書)

  • 作者: 里見 清一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/01
  • メディア: 新書


メンテナンスフリーのインプラントは無い

P40
 インプラント治療では、インプラント体を埋入して、骨と結合された後に上部構造を装着するわけですが、上部構造周囲に天然歯と同じようにプラーク(歯垢)が付くと、最近によってインプラント周囲炎を発症します。インプラント周囲炎とは、天然歯で言えば歯周病と同じと考えてよいものです。
~中略~
 インプラント体が非自己であることがばれてしまう、つまりインプラント治療が失敗する原因は「炎症」か「過重負担」のどちらかです。~中略~
 従って、インプラント治療を行なったら、一生これが非自己であると認識されないために、炎症や過重負担が生じないよう、細心の注意を払ってメンテナンスを行なうことが大切となるのです。

P49
 一方で、患者さんのメンテナンス意識の欠如が、インプラントの長期残存の妨げになっている場合もあります。少し厳しい言い方になってしまいますが、「一生使えるかどうかは、患者さんの心がけ次第」という面もあるのです。
~中略~
 私が勤務する東京歯科大学千葉病院では、過去3年間にインプラント治療を行なった患者さんのうち、2年以上メンテナンスに来ていない方が30%に達しています。~中略~
 インプラント治療を始めるそもそもの理由は、自分の歯が抜けてしまったことにあります。自分の歯であっても一生持たなかったわけですから、プロによる適切なメンテナンス治療もないまま、インプラントが長期間安定するとは考えにくいのです。

 

住人注; せっかくインプラント治療を行なったのに、お口にトラブルが起きるのは、たいへん不幸なことです。
そうならないためには上記のようにメインテナンスが重要です。
住人が考えるに、患者さんのお口の中は一人の主治医が責任をもってメインテナンスを含めた治療計画を立てるべきであり、原則的にメインテナンスもインプラントを行なった歯科医院でやってもらうべきです。
転勤など止むを得ない事情の場合は別ですが、インプラントを受ける際は「メインテナンスを含め、私の口の健康の維持を責任もってやっていただけますか」と聞いてみましょう。
「うちはインプラント以外はしませんので、メンテナンスは他所の病院でやってもらってください」と言われたらちょっと心配です。でも、 心ある歯科医はその様なことは言いませんのでご安心を。
インプラントに限らず形あるものはいつか壊れます。
ベンツにしてもボルボにしても車検をちゃんと受けていても一生乗れるわけではありません。まして歯は毎日過酷な環境で機能しています。
歯科医は一生持たせようと粉骨砕身努力しますが、神様ではありません。
壊れる日をできるだけ先延ばしするために(あわよくば一生使えるよう)、コストパフォーマンスを向上させるために、メンテナンスを受けられたほうが患者さんにとって得策です。

歯科大教授が明かす 本当に聞きたい! インプラントの話 角川SSC新書
矢島 安朝 (著)
角川マガジンズ(角川グループパブリッシング) (2013/3/9)

歯科大教授が明かす 本当に聞きたい!インプラントの話 (角川SSC新書)

歯科大教授が明かす 本当に聞きたい!インプラントの話 (角川SSC新書)

  • 作者: 矢島 安朝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2013/05/09
  • メディア: Kindle版

医療には絶対とか100%ってのはありえない

「患者さんが、医療を利用するケースはふたつあります。
ひとつは、回復する可能性があるかどうか。良くなる可能性があるかどうか。良くなる可能性があるならば利用した方がいい。
もうひとつは、生活の中身です。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)ですね。
生活が改善する可能性が高い場合です。ただ、医療ってのは不確実性ですから、やってみないとわからない。絶対とか100%ってのは医療にはありえない。良くなる可能性が高ければ医療を利用すればいいだけです。
メシが食えなかったのに食えるようになればいいし、歩けなくなったのが歩けるようになる可能性があるなら、一応やってみたらいいと思います。ただ、期待通りにならなかったケースがいくらでもあることだけは知っておいてほしい」
中村仁一

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ
別冊宝島編集部 (編集)
宝島社 (2013/4/22)
P138

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 大型本

 神経芽腫は、交感神経や副腎の元になる細胞に由来する性に特有の腫瘍で、小児にとっては脳腫瘍に次いで頻度の高い神経系の腫瘍です。~中略~
わが国でも、生後6ヶ月の乳児を対象に、1984年からスクリーニングがおこなわれました。
 スクリーニングをして早期発見、早期治療をして神経芽腫の死亡率を減らそう、という発想は極めて妥当です。しかし、2004年には中止されています。中止にいたった理由は、欧米の二つのグループから、スクリーニングをしても神経芽腫による死亡率は減少しない、という論文が発表されたことによります。いずれの研究も、スクリーニングをおこなった地域とおこなわなかった地域における死亡率を比較したものです。 
 どうしてこのような結果になったかというと、神経芽腫には自然退縮する、すなわち、放置しておいても勝手に治る症例が相当数ある、ということがあげられます。
スクリーニングは鋭敏ですから、ほうっておいても大丈夫な患者さんまでひろいあげてしまっていた可能性が高いのです。治療にはある程度のリスクが伴いますから、おそらく、その影響とスクリーニングによるピックアップが相殺して、死亡率に違いが認められなかったのでしょう。多くはないかもしれませんが、うけなくてもよい治療をうけて亡くなったお子さんもおられる可能性があるのです。
 神経芽腫は特殊な例なのかもしれませんが、このような事例があったことは、頭にいれておいたほうがいいでしょう。よかれと思ってやってみても、必ずしも思いどおりの結果になるとは限らないのです。これは、早期発見、早期治療に限らず、けっこう世の中にありふれていることのように思います。

こわいもの知らずの病理学講義
仲野徹 (著)
晶文社 (2017/9/19)
P216

こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義

  • 作者: 仲野徹
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: 単行本