比較認知科学というのは、人間とそれ以外の動物を比較して、人間の心の進化的な起源をさぐる学問のことである。
~中略~
比較認知科学という自分の研究の焦点になっているのは、「心」と「ことば」と「きずな」だと思う。
この三つが、人間という生き物を考えるうえでとても重要な側面だ。チンパンジーの研究を通して、そう気がつくようになった。
「心」と「ことば」と「きずな」が人間にとって大切だということは、すでに長いあいだ、われわれは知っていたのだと思う。
たとえば、「心に愛がなければ、どんなに美しいことばも、相手の胸に響かない」という表現がある。聖パウロのことばだそうだ。
「人と人との間」にある「人間」の本質をうまく言い得ている。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P2

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