早熟な才能ゆえに、普通の子の集団から浮いてしまう子どもたちを広島大学理学部の泉俊輔教授は「浮きこぼれ」と呼ぶ。数学好きの中高生を全国から選んで開いた夏合宿で、数学や科学の話題で朝まで盛り上がる少女たちがいた。「早く寝たら?」と声をかけても寝ない。
「学校では「賢いね」と一目置かれてはいるが、浮くのが怖くて「数学が好き」と言い出せない。教室では自分を抑え、孤独や疎外感を感じている」
才能児に共通する特性がある。独創力と抽象的思考力に優れ、精神的に大人びている。
好きなことはすごい集中力と行動力で取り組む。~中略~
日本も従来の低学力(落ちこぼれ)対策に加えて「浮きこぼれ」救済を考え始めてはどうだろう。彼らにものびのびと学ぶ権利がある。
「むかし神童、いまフツーの人」という冗談が通じるような現状は、限りない可能性を浪費しているようで寂しい。
気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)
P189
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