(住人注;世界のメディアの以下のような論評)ビン・ラディンが死しんで9・11から続いていたイスラームとの戦争も終結する期待が高まった。一方、二〇一一年一月にチュニジアではじまりエジプトに飛び火した中東民主化の主役はツイッターやフェイスブックを使いこなす若者たちだ。
そこには、十年前に猛威を振るったイスラーム原理主義の影はない。ビン・ラーディンの死は新しい民主化運動としての「アラブの春」を象徴する事件だ・・・・・。
このような見方は、ひどく欧米中心的で、中東の本当の姿を伝えていません。第一に、ツイッターやフェイスブックのような情報ツールは、アフガニスタンのタリバン幹部も大好きです。だれでも携帯電話をもっていれば使えるようになったはずですから、ニューヨークの若者だろうと、イスラームの若者だろうと同じように使っているだけです。
ジャーナリストの頭には、アメリカで流行ったものをイスラームの若者も使うようになったのだから、きっと欧米化のきざしが出てきたにちがいない、という思いがあったのでしょうが、これは欧米諸国の優越感にもとづいた思い込みにすぎません。テクノロジーが、思想を決めるわけではないのです。
イスラームから世界を見る
内藤 正典 (著)
筑摩書房 (2012/8/6)
P86
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