2025年3月5日水曜日

高血圧の治療には根拠がない

 今や「高血圧症」は国民病といわれ、患者数は約5500万人もいるとされる(2011年国民健康・栄養調査より)。5500万人というのは、とてつもない数である。日本人の成人の半分以上が、「高血圧症」という病気なのだ。
 普通に考えれば、こんなことがあるはずはない。
~中略~

 血圧は気にしないほうがいい。むしろ、気にしてはいけない。血圧を気にすることは、それ自体ストレスであり、そのマイナス思考が、かえってさまざまな病気を招くのだ。ガンも脳卒中も心臓病も、最大の原因がストレスなのは、いうまでもない。


高血圧はほっとくのが一番
松本 光正 (著)
講談社 (2014/4/22)
P4

高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

  • 作者: 松本 光正
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/04/22
  • メディア: 新書

予約診療は誰のため?

 たとえば、外来患者の予約制をとった病院はたいてい、無断でやって来ない患者が多くて困っているとききます。
仕方なく、五人一組にまとめ、そのグループごとに、一定時間内に診察する予約制を工夫した公立病院がありました。
するとこんどは、予約時間を少しでも過ぎると、「なんだ、この病院は約束を守らないのか」と、どなりつける患者がいるというのです。
予約制をとる以上、それだけの診療要員をしばりつけるのですから、コスト(費用)がかかります。それを支払わずに、キャンセル(取り消し)電話もせず、文句だけ並べるというのは、甘えです。身勝手な予約者が多くて、予約料金もとらないとすると、予約制そのものをやめるほかなくなります。一定の料金を支払っても、定時刻に外来診療をうけられるほうが、いまの日本では大きなサービスになると思います。
藤田 真一

患者本位の病院改革
新村 明(著),藤田 真一(著)
朝日新聞社 (1990/06)
P218

患者本位の病院改革

患者本位の病院改革

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2023/01/24
  • メディア: 単行本

 

2025年3月4日火曜日

シベリア

P47
こんにちとなると信じがたいほどのことだが、紀元前三千年から同二千年といった古代には、シベリアは日本よりはるかに文明の度合いが高かった。 日本が縄文時代の闇のなかにあるとき、すでにシベリアでは青銅器文化が興っていた。青銅器文化は紀元前四千年ごろにオリエントで興る。千年ほどを経てシベリアに入り、紀元前千五百年から同千二百年ごろには青銅の冶金(やきん)術がよほど普及していたから、金属冶金についていえば、中国の殷(いん)・周より早かったかもしれない。 すくなくとも中国に影響をあたえうる地理的な、あるいは時間的位置にあったといえる。  オリエントからはるかにつたあった古代シベリアの冶金技術は、この地なりに生産力の高い諸民族を生んだ。ただしその力が広域を支配して一大国家を形成するにいたらなかった。 多くの民族は、冶金術で生産を高め、広域社会をつくるよりも、むしろ原始的な採集生活にどどまって暮らしてゆく方が生きやすかったのかと思われる。

P71
シビル汗国という長大な壁が倒れてはじめてロシア人の現実の地理的世界としてシベリアが湧出(ゆうしゅつ)したといっていい。
 しかし、その後の冒険的なロシア人の目で見れば、シベリアはなお黒貂とその巣のかたちをしていた。
 冒険的なコザックを中心とする任意の征服者たちが、あらそってシベリア征服に乗り出し、城塞をつくり、原住民を抑圧し、黒貂をとりあげ、それを買うべく商人たちが奥地に入った。さらにはモスクワの方針によって開拓農民も進出した。

P72
 ロシアの勢力がシベリアの東端に達するのは、イェルマークがイルティシュ川で水死してからわずか六十三年後の一六四八年のことである。

 

P185
シベリアには、森林(タイガ)や河川で原始的な狩猟採集の生活をしているひとびとだけではなく、大小の遊牧民族も住んでいた。
その最大のものが、バイカル湖畔に遊牧するブリヤート・モンゴル人だった.低地モンゴル人といってもいい。  だからモンゴル高原のモンゴル人とは、別に考える必要がある。

ロシアについて―北方の原形
司馬 遼太郎 (著)
文藝春秋 (1989/6/1)

ロシアについて 北方の原形 (文春文庫)

ロシアについて 北方の原形 (文春文庫)

  • 作者: 司馬遼太郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/04/21
  • メディア: Kindle版

「インターナショナル」の概念

 一説によると「インターナショナリゼーション」というのは、本来、ヨーロッパ列強による、第三国の共同の統治、管理を意味する言葉であった、という。
つまり、ヨーロッパ列強が非ヨーロッパ世界に進出し、第三国を統治し管理することを示す概念なのである。こうしたヨーロッパ諸国の管理と責任において非ヨーロッパ世界がヨーロッパの原則のもとに参加させられてきたということだ。しかし、これは、またヨーロッパからすれば「文明化」であり「近代化」と呼ばれるプロセスだったのである。
~中略~
 そしてさらに歴史的経緯を続ければ、二十世紀に入って、十九世紀ヨーロッパのこうしたヨーロッパ中心的な文明観が否定され、むしろアメリカ的な文化相対主義、世界的なデモクラシーの思想がでてくるとき、「インターナショナル」の語は、今日そうであるような「世界的」あるいは「超国家的」という意味に変換されてゆく。
 しかし、それにもかかわらず、「インターナショナル」の概念は、その出生の場であるヨーロッパ的文明観のニュアンスを完全に払拭したわけでもないし、またできるものでもない。

現代民主主義の病理―戦後日本をどう見るか
佐伯 啓思 (著)
日本放送出版協会 (1997/01)
P65

現代民主主義の病理 戦後日本をどう見るか (NHKブックス)

現代民主主義の病理 戦後日本をどう見るか (NHKブックス)

  • 作者: 佐伯 啓思
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 1997/01/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

2025年3月3日月曜日

不毛な国会

P132
 無駄な会議こそ社会人生活最大のタイムコストである。この本を読んでいるあなたも、さまざまな場面で「この会議は無駄だなあ」と思うことがあるかもしれない。  その典型が国会だ。会議は開いてはいるものの、そこでのやりとりで国益のために生産的なものはほとんど生まれないからだ。
~中略~
現在の自民公明連立与党のように、両院で与党が安定的な過半数を持っている場合、法案が国会に提出されたときはすでに与党内審議を終えているため、基本的に議論は出尽くしており、与党は賛成で固まっている。そのため国会での審議で、賛否も内容もほとんど変わることはない。つまり、国会とは結論がすでに出ているにもかかわらず、時間を議論に費やしたことを証拠として残すためだけに行なわれる会議なのだ。そこに、議員の相当なタイムコストが費やされている。ちなみに、議員は一人当たりにつき4億円ほどの国費が投入されている。誰もが最悪に無駄だと感じるだろう。
 与党内審議にも政府内の議論にも参画できない野党にとっては、唯一の見せ場が国会の委員会・本会議での政府与党追求である。
そのため、野党にとっては国会の審議ほど重要な見せ場はないが、えてして国益の追求より、与党議員や閣僚のスキャンダル追及や自分の選挙区への「頑張っています」アピールの場になる。そのため、まじめな与党議員や閣僚にとって国会での時間浪費はたまったものではない。

P134
 もっと悲惨なのは閣僚である。両院合わせて月曜から金曜までほぼ終日委員会に縛りつけられ、いろんな質問に答えないといけない。ミスを犯さないように答弁のすりあわせもやるので、委員会開催中以外にも相当な時間が早朝から深夜まで費やされる。こうやって日本の省庁のトップの貴重な時間が失われていき、官僚主導になってしまう。
野党による与党追求の専売特許的謳い文句は、「○○大臣よ!あなたは政治主導ではなく官僚主導になっている。リーダーシップが足りない!」だが、皮肉なことに野党の質問こそが、大臣たちが省内でリーダーシップを発揮したり、政策を考えたりする時間やエネルギーを奪っているのだ。
 政治ニュースで、たとえば「この法案は70時間審議されました」などと言われているが、その70時間には、その法案に関係ない質疑や「お前、この前の審議聞いていなかったのか?」と言いたくなるような繰りかえしの同じ質疑がたくさん含まれているケースが多い。審議時間の長短にあまり意味はないのだ。

頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
田村耕太郎 (著)
朝日新聞出版 (2014/7/8)

頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法

頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法

  • 作者: 田村耕太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2014/07/08
  • メディア: 単行本

声の大きいものが勝つ


 (住人注:カリフォルニア大学バークレー校の)研究チームは、互いに知らない4人の学生を組み合わせてグループをつくり、数学の問題を与え、協力して解いてもらいました。
被験者グループの学生のやり取りはすべてビデオで記録され、それを見て、被験者には誰をリーダーにするか、決めてもらいます。
 さらに、被験者グループとは関係ない第三者にもビデオをみてもらい、リーダーに誰がふさわしいかを別途、選んでもらいました。
 すると、被験者も第三者も、同じ人物をリーダーに選びました。しかし、ここで選ばれたリーダーたちは、特に数学の能力がほかのメンバーよりも秀でているわけではなかったのです。
 では、どのような基準で、彼らはリーダーとして選ばれたのでしょうか?
 被験者には、数学の問題に取り組んでもらう前に、短い性格判定テストのようなものをやってもらっていました。そのデータと照らし合わせてみると、そのテストで「支配性」が高いとされた学生ほど、リーダーに選ばれやすいということがわかったのです。
 ここで、「支配性」が高いというのは、ほかの学生を強制的に働かせたり、自分の数学能力の高さを認めさせるために恫喝したり、などという行為を行ったということではありません。
 とても単純なことなのですが、ビデオを見ると、「支配性」の高い学生は、一番最初に発言していたのです。
 さらに彼らは、ほかの学生よりも強い調子、確信に満ちた様子で話す傾向がありました。
 つまり、この実験から、「実力のある人がリーダーになる」のでなく、「確信のある人がリーダーになる」ということがわかったのです。
 実力のある優秀な人であっても、リーダーに選ばれるとは限らない、その実力が確信をとまなったときにだけ、リーダーにふさわしいとして、多くの人が納得してその人を選ぶのです。
 日本における内閣支持率も、この原理に随うとみてよいでしょう。

脳はどこまでコントロールできるか?
中野 信子 (著)
ベストセラーズ (2014/8/19)
P83

脳はどこまでコントロールできるか? (ベスト新書)

脳はどこまでコントロールできるか? (ベスト新書)

  • 作者: 中野信子
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2015/07/17
  • メディア: Kindle版

糸井 前略~
 何か大きな問題が起こったときに、大きい声を出したり泣いたりして伝える、っていう手法は、歴史的にずっとあったわけです。戦争中もあったし、学園粉争の中でもあった。
でも、本当に問題を解決したいと思ったときには、やっぱりヒステリックに騒いだらダメだとぼくは思うんです。「大変だぞ!」「死んじゃうぞ!」って、でかい声を出している人は、何か落ち着いて説明できない不利なことがあるのに、それはひとまず置いといて、とりあえず大声出せばみんなが来ると思ってやっているんじゃないかと思う。
だから、どんあにいい人でも、叫びながら言っているこことは注意深く聞かなくちゃいけない。「どんあ非常事態であっても、叫ばないでちゃんと説明してくれる人を見つけなきゃならない」ということを、ぼくは過去の経験の中で学んでいたんです。

知ろうとすること。
早野 龍五 (著), 糸井 重里 (著)
新潮社 (2014/9/27)
P45

知ろうとすること。(新潮文庫)

知ろうとすること。(新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/05/01
  • メディア: Kindle版

 

裸の王様

 言葉や行動が感情的なリーダーというのは、一部の受けはいいけれど、時に独善的となり、周りの人が顔色をうかがい、最後には面従腹背、「裸の王様」になっていきがちだ。

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)
P319

気になる科学 調べて 悩んで 考える

気になる科学 調べて 悩んで 考える

  • 作者: 元村 有希子
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2013/07/20
  • メディア: Kindle版

 

 明らかにパウエルのこの哲学は、上司に対して異議を唱えることを反抗ととらえるような組織機構では通用しない。
情報の伝達者を殺してしまう組織では、情報はとだえてしまう。だからこそパウエルの法則はいう。「あらゆる組織は、王様にあなたは裸だと言える反逆者を許容する度量をもつべきである」と。
 実際、パウエルはこの法則を個人的にも実践している。彼は部下たちにこう言っている。
「ここの王様(である私)は、裸のときには、おまえは裸だと言ってもらいたい」
パウエル自伝「マイ・アメリカン・ジャーニ」P320

パウエル―リーダーシップの法則
オーレン ハラーリ (著), Oren Harari (原著), 前田 和男 (翻訳)
ベストセラーズ (2002/05)
P120

パウエルリーダーシップの法則

パウエルリーダーシップの法則

  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2002/05/01
  • メディア: 単行本

2025年3月1日土曜日

均衡こそ自由の基礎

 マッキンダー(住人注;H・J・マッキンダー)は、これら古い文明の歴史を持つモンスーン地帯の諸国が、やがてその生産力を開発して、北大西洋圏やハートランド(住人注;ユーラシア大陸の心臓部)と均衡状態がたもてるようになれば、はじめてそこに自由と幸福を基調にした地球上の社会が実現されるだろうと予言して、彼の論文を結んでいる。
均衡こそ自由の基礎だ、というのが彼の生涯の哲学だった。

地政学入門―外交戦略の政治学
曽村 保信 (著)
中央公論社 (1984/01)
P83

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))

  • 作者: 曽村 保信
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1984/03/22
  • メディア: 新書

 

アメリカでは自立が求められる

P52
「アメリカ人にとって最大の恐怖は、老いて痴呆になってナーシングホームに追いやられること」とは、わたしが在米中よく聞いたせりふです。
当時はその含意を十分には理解できませんでしたが、いま考えると、アメリカ社会で自立性を失うことは、即、死を意味するからだと思われます。
 日本でも、老いて体力知力が衰え、介護老人福祉施設(特養など)に入所する人が増えています。二〇〇〇年秋の調べで、施設数は約四五〇〇、在所者数は三〇万人です。
そのうち死亡による退所者の平均在所日数は一六〇〇日ですから、施設内での余命は約四年半になります。入所者の大部分は認知能力が衰えた人と考えてもよいでしょう。
 ベティ・フリーダンによれば、アメリカでは、八六年にナーシングホームで息を引き取った人の四分の一は入所して一ヶ月以内、半分ほどが六ヶ月以内でした(註⑪)。厳密な比較はできませんが、日本とは大差があります。

P55
 要約しますと、「自立性尊重」という倫理意識がもっとも色濃いアメリカ社会では、いったん自立性を失うと、生命の「生かされる」という側面は無視されたまま、生存の場から消えていくように見えます。

「痴呆老人」は何を見ているか
大井 玄 (著)
新潮社 (2008/01)

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書 248)

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書 248)

  • 作者: 大井 玄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/01/15
  • メディア: 新書

 

食塩摂取量と高血圧の関係

 世界の研究者の間でも、食塩摂取量と高血圧の関係は長い間謎とされていた。
長年の論争に決着をつけたのが、1988年に世界32ヵ国、52の地域の専門機関が協力した大規模疫学調査、「インターソルト・スタディ」である。
 世界中の、1万人以上もの人のデータを分析した結果、パプアニューギニアなど生活環境が極端に違う場所を除き、食塩摂取量と高血圧には何の関係も見られないという結果になった。
 実際、フィンランドを除くヨーロッパ主要国はどこも減塩を主張していない。
 世界ではとっくの昔に非常識になったことが、日本では今も常識としてまかり通っているのである。


高血圧はほっとくのが一番
松本 光正 (著)
講談社 (2014/4/22)
P158

高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書)

  • 作者: 松本光正
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/06/06
  • メディア: Kindle版

 厚生労働省は男性8g/日以下を目標値、日本高血圧学会は6g/日未満を推奨値としています。
微妙に「目標値」と「推奨値」という言葉が使い分けられています。言葉のニュアンスから考えると、男性8g/日以下、女性7g/日以下は遵守してくださいね、それでもまだ余裕がある、まだ頑張れるぞという人は、6g/日未満にチャレンジしてみてください、というようなイメージでしょうか?
 ちなみに、2013年の統計では、塩分摂取率は男性11.1g/日、女性9.4g/日なので、日本国民は男女とももうすこし減塩を頑張る必要があるようです。

心房細動のすべて ――脳梗塞、認知症、心不全を招かないための12章
古川 哲史 (著)
新潮社 (2018/12/14)
P183

心房細動のすべて―脳梗塞、認知症、心不全を招かないための12章―(新潮新書)

心房細動のすべて―脳梗塞、認知症、心不全を招かないための12章―(新潮新書)

  • 作者: 古川哲史
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/12/21
  • メディア: Kindle版