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ボクは二〇年以上、漢方の勉強をしていて、師匠がいたんですが、一〇日ぐらい前に八〇数歳で亡くなられました。その師匠がおっしゃったことをときどき思い出すんですが、師匠はこういうことをおっしゃったことがあったんです。
「「良師は規矩を教える」という言葉があるよ」と。
「規矩を教える」というのはどういう意味か。「規矩」というのは物差しです。物差しとはどういうことか。師匠が弟子に知識を教えると、弟子はその知識を持って、「ああ」と納得してそれをやる。
ところが規矩を教えると、規矩というのは物差しだから、物差しを習った弟子は自分でいろいろなものを見て、「これがいいんじゃないか」とか、「これとこれを組み合わせてみようかな」というような方法論を学ぶ。
そして、それを使って自分の知識や情報の世界を築き上げていく。そして最終的には、この方法論で自分の世界を築き上げて、そして師匠とは違う世界が出来てくる。だけどまあ、そこまではまだ弟子なの。
そして、その弟子のなかのほんのわずかな人が、師匠から学んだ規矩を捨てて、自分が築き上げた世界から新しい規矩を作り出す。その方法論を作るようになったときに、その弟子を「出藍」と言うのね、藍です。
「出藍の誉れ」というのはそういう規矩を、方法論を超えることができた弟子のことです。

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