2025年12月26日金曜日

オペラント条件づけ

オペラント条件づけというのは、私たちの行動は「報酬」と「罰」を操作されることによって変わる、という理論にもとづいている。
 痛い場合、痛みについて不平をいう、同情を受けるような言動が多い、いやな仕事はしない、保険金で暮らすようになる、楽(らく)なことばかり追い求める、健康なときには受けたことのないようなよい待遇を受ける、すなわち、痛いことを理由に、際限なく自分に都合のよいようにしか行動しなくなる傾向がある。このことが、痛みをますます強くする因子として働く。したがって、これらの個々の行動を、痛みの「強化因子」とよんでいる。
 確かに、この行動さえつづけることにより、「報酬」を得ることができるとわかれば、どこまでもその行動をつづける人は多いと思われる。そして、それによって得た「報酬」のうま味を一度おぼえると、まともな行動は馬鹿らしくなり、うま味が、それ以上のうま味を欲するようになる。
 一度、社会保障制度の適用を受けると、もう今となってはその必要はなくても、その保障を打ち切られないように、痛みと、それによって生ずる行動パターン、例えば、異常な歩行などが強化されるものである。

痛みとはなにか―人間性とのかかわりを探る
柳田 尚 (著)
講談社 (1988/09)
P166

痛みとはなにか: 人間性とのかかわりを探る (ブルーバックス 748)

痛みとはなにか: 人間性とのかかわりを探る (ブルーバックス 748)

  • 作者: 柳田 尚
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1988/09/01
  • メディア: 新書

鳥取県 大山寺

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