上り坂半分・下り坂半分の人生100年時代を迎えたのに、「降りる」のをどうしても拒否するひとたちがいる。
昔から長寿は人間の切なるのぞみだったのに、それを実現した社会で、どうして老いを拒否し、嫌悪しなければならないのだろうか。
PPK(ぴんぴんころり。死の直前までぴんぴんしていて、ころりと逝くことを理想とする考え方)と聞くたびに、私は老いを拒否する思想を感じ取ってしまう。老いを見たくない、聞きたくない、避けたい否認し、老化に抵抗するひとにとっては、ある朝ぽっくり、は理想だろう。
サクセスフル・エイジング(成功加齢と訳す)は、アメリカ生まれの概念。 老いを拒絶する際たる思想だ。定義は「死の直前まで中年期を引き延ばすこと」と、ジェロントロジスト(老年学者)の秋山弘子さんが教えてくれた。
死ぬ直前まで[中年期」を引き延ばすことができるなら、そもそも「老年期」など存在しないといってよい。
それに、齢のとり方まで、成功だの失敗だのと、他人から言われたくない。「生涯現役」しそうもそのひとつ。
男おひとりさま道
上野 千鶴子 (著)
文藝春秋 (2012/12/4)
P86

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