物事を立論する上でもっとも便利な態度で、現実を頭ごなしに否定してしまえば評論というものはじつに鋭利になる。
現実を全面的に否定しながら、否定する自己のみは肯定するわけだから、その陶酔はとびきり上等の酒をひとりひそかに飲んでひそかに酔うがごとく純粋な酔いを得られるにちがいない。
街道をゆく (1)
司馬 遼太郎 (著)
朝日新聞社 (1978/10)
P117
人道主義者は、常に完全な正義、完全な安全、完全な善の世界を追求して意気高らかだが、 私はむしろ現実社会の不完全な正義、不完全な安全、不完全な善に耐えつつ、前進を目指して現世にかかわり続ける人の苦悩を察して生きたいと思っている。
最善でない次善のの善を求めて常に生き続けることが、現在では実質的に勇気と同義語になっており、それをできるのはほんとうの勇者だということだ。
人生の原則
曾野 綾子 (著)
河出書房新社 (2013/1/9)
P224


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