P123
デート相手とレストランに行ったら、料理の値段はけっして口にしてはいけない。
たしかに、メニューには値段がはっきり書いてある。それに、たしかに、レストランの格を示して相手を感心させるまたとない機会かもしれない。しかし、値段のことをくどくど言えば、ふたりの関係は社会規範から市場規範に変化してしまうだろう。
たしかに、デートの相手は、この食事のためにあなたがいくらついやしているかきづかないかもしれない。たしかに、義理の母親は、あなたが六〇ドルするスペシャルリザーブのメルローをプレゼントしたのに、一〇ドルのブレンドワインをもらったとしか思わないかもしれない。
だがこれは、人間関係を特別な領域に維持して、市場規範から遠ざけておくために支払わなければならない金額なのだ。
P126
この実験は悲しい事実を物語っている。社会規範が市場規範と衝突すると、社会規範が長いあいだどこかへ消えてしまうのだ。社会的な人間関係はそう簡単には修復できない。
~中略~
社会規範は一度でも市場規範に負けると、まずもどってこない。
P128
あなたが企業なら、ふた股はかけられないと肝に銘じるべきだ。
あるときは顧客を家族のように扱い、一瞬後には、そのほうが便利だからとか利益があがるからという理由で、顧客を非個人として、さらには厄介者や競争相手であるように扱うわけにはいかない。社会的な関係とはそんなものではない。
それでも社会的関係を望むならそうすればいい。
~中略~
顧客に提案する企業の価値はシンプルにして、自分たちが何を提供し、見返りに何を期待しているかをはっきり打ちだすことだ。どんな社会規範も社会的な期待も提示しないのだから、それを逸脱することもありえない。
しょせん、これはビジネスだと割りきるべきだ。
P136
結局のところ、お金はたいていの場合最も高価な方法だ。社会規範は安上がりなだけでなく、より効果的な場合が多い。
P141
要するに、プレゼントは経済効率が悪いものの、社会の潤滑油として重要だ。
友人を作ったり、山あり谷ありの人生を通じて長くつづく関係を築いたりする助けになる。
お金は、ときに無駄づかいする価値がじゅうぶんにあるのだ。
予想どおりに不合理[増補版]
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 熊谷 淳子 (翻訳)
早川書房; 増補版版 (2010/10/22)

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/10/22
- メディア: ペーパーバック
値段が安くなったブランドものをお客様が買わないのは、高いモノを買うことで消費意欲が満たされるからです。
ブランドのネクタイを恋人にプレゼントするときに、ディスカウントストアではなく、百貨店か直営店で買うでしょうし、もらう側もそのほうが喜びます。プレゼントを百貨店や直営店で買ったという事実が、商品の中身以上の付加価値をつくるのです。
~中略~
言い換えると、商品自体の価値以上の価値をお客様は求めているのです。そうであるなら、小売りはお客様のニーズに応え、価格とは違う価値を提供しなければならないのです。/p>
利益を3倍にするたった5つの方法―儲かる会社が実践している!
大久保 恒夫 (著)
ビジネス社 (2007/08)
P158

利益を3倍にするたった5つの方法―儲かる会社が実践している!
- 作者: 大久保 恒夫
- 出版社/メーカー: ビジネス社
- 発売日: 2007/08/01
- メディア: 単行本
P46
金は大切なものであるが、金が第一義的な判断材料となる気配が見えた人には、近寄るべきではない。
金で動く人の場合は、「金の切れ目が縁の切れ目」となる。金があるうちはよいが、金がなくなったときには即座につきあいも断たれてしまう。
P189
実際に正しいことを提唱している場合でも、そこに「金」がからんでいることがわかったら、人々は背を向ける。
はっきりと金儲けをするという意図はなくても、結果的に金銭的な利益につながっていって、それを人々が知ったとき、その大義名分も立ちどころに説得力を失う。
超説得力
山崎 武也 (著)
講談社 (2003/11)
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