2025年12月1日月曜日

冗長系

 はやぶさがトラブルに見舞われるたび、技術者たちは知恵を絞って秘策をひねり出した。
予想外のトラブルを見越していたようなウルトラCの連続に「宇宙戦艦ヤマト」の技師長、真田志郎を想起した人は少なくない。
「こんなこともあろうかと!」は、真田の決め台詞とされている。真田は波動砲など数々の兵器を秘密裏に作り、地球防衛軍がピンチに陥るたびにどこからともなく出してきて危機を救う。

考えてみれば、技術者としてこれほど痛快なことはない。もちろんピンチがないに越したことはないが、初めての挑戦には、予想外の失敗やトラブルはつきものである。
 重要なことは、動揺しないこと、あきらめないこと、そして「ミスを想定して次の手を打っておく」周到さ。とりわけ、人が駆けつけられない宇宙探査では重要だ。~中略~

 工学者の間では、こうした対策を「冗長系」と呼ぶ。
 私たちはふだん、「冗長」という言葉をいい意味では使わない。「くだくだしく長いこと。無駄」と広辞苑にも書いてある。
 調べて分かった。「冗長」は、英語のredundancyの直訳なのである。この単語には「無駄、余分」という意味に加えて「代理機能性」という意味もある。

気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)
P125

気になる科学 調べて 悩んで 考える

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  • 作者: 元村 有希子
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2013/07/20
  • メディア: Kindle版

 

熊本県 一心行 桜

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