2026年3月31日火曜日

沖縄人

 沖縄に何度か旅行して感じたことは、沖縄人の温和さである。
 沖縄に住むひとびとは、いかにも固有のにおいの高い日本人的形質をもち、ことばも、奈良朝もしくは室町時代に分化した日本語を話している。
日本人よりも日本人であるこの地のひとびとが、日本人が集団になった場合のたけだしさや、鋭敏すぎる好奇心からまぬがれているのは、歴史的に鉄器が不足していたことに有力な原因があるのではないか、とふと思ったりした。
 沖縄は、この稿の沖縄の旅(第六巻)ですでにふれたように、石器(木器をふくめて)時代が、本土の室町時代までつづいた。その後も、鉄器はつねに寡少で、農具は生産性のひくい木器がしばしば主力であるという歴史がつづいた。
木器の稼働能力が人間の欲望の限界をなしたということが沖縄人のおだやかな性格をつくるのに、よほど重要な原因をなしたかと思える。

街道をゆく (7)
司馬 遼太郎(著)
朝日新聞社 (1979/01)
P193

街道をゆく〈7〉大和・壷坂みちほか (1979年)

街道をゆく〈7〉大和・壷坂みちほか (1979年)

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和歌山県 那智の浜

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