P58
ギャンブルでは必ず胴元がもうかる仕組みをつくっています。客に「勝っている」という感覚を持たせながら、コミッション(手数料)などのかたちであまりそれとは意識させないように少しずつ利益を集める、という方法をよっています。
この原理原則さえ知っていれば、少額で長く遊べば遊ぶほどだらだらとマイナスがふくらんでいくということがわかるので、楽しんだらそれで切り上げよう、だとか、大きく儲けてある程度勝ったタイミングでさっと切り上げよう、などと方針を立てやすくなるのですが、そうできる人とできない人の差は大きいようです。
将来の不確実性によるリスクを低く評価し、より大きく勝負に出るという性質は、それが仕事に適切に生かされれば、能力を存分に発揮してビジネスを発展させる力になり得るのかもしれません。 確実な利益か、未来の不確実な勝負か。どちらを選択するかに決まった正解はなく、だからこそ賭けに対する人間の性質にも多様性が存在するのです。
しいて言えば、自分の選んだ答えを正解にする力が重要、といったところでしょうか。 賭けごとをしている最中に高揚を感じさせる脳の仕組みは、基本的に恋愛と一緒です。
報酬系にドーパミンが放出されると快楽を感じるようにできています。ギャンブルはこのドーパミンを出せるよう、うまく設計されています。~中略~
こちらからのアクションに対して確実に利益があるのなら、これはもうゲームではなくて作業です。地道な喜びがある場合もあるかもしれませんが、そこに私たちが大きな快楽を得ることはほとんどありません。できるだけ不確実に、変動する割合で、変化のある間隔で報酬が来る。すると、私たちの脳はあっという間にそのアクションをし続けるようになります。
P62
日本人に多く見られる形質の持ち主による勝負の仕方というのには特徴があります。
慎重で自分を守りながら損失を少なくして勝とうとするやり方です。
ビジネスでも、手堅く勝っていわゆる富裕層にはなれるけど、大勝して世界的な大富豪に、という人は少ないようです。資産が1億円以上の人は多くても10億円以上の人は意外なほど少ない、ということを聞きます。
空気を読む脳
中野 信子 (著)
講談社 (2020/2/20)

0 件のコメント:
コメントを投稿