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どんなに優しく接していても、満面の笑顔でいい話をしていても、口が臭いというだけで孫は逃げていってしまうものです。
とはいっても、家族も一応は年上にあたる高齢の口臭をなかなか指摘しにくい。
すると高齢者は、「何となく避けられている気がする」「嫌われている」と思い込んで疎外感を感じてしまうのです。
なぜ高齢者は口臭がするのでしょうか。
「おじいちゃんお口臭い」という入れ歯用製剤のCMが有名になったせいもあり、高齢者のニオイは入れ歯が原因と思われがちです。
でも、入れ歯だけではないのです。口臭は85%が口の問題で起こり、15%が胃などで起きます。1)年齢を重ねることで口内の殺菌と洗浄の効果がある唾液が減るために、2)口臭が発生しやすくなります。
口臭というのはたいていがずっと同じ状態でつきまとっているため、自分では気づきにくいのです。 ~中略~
ですから「自分は大丈夫」と思いがちですが、60歳を超えると43%に口臭があることがわかっています。
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口臭の原因の85%が口の問題で、高齢になると唾液が減って口臭を引き起こします。肌がカサカサと乾燥するように、口の中もカサカサしてくるのです。
唾液は消化を助けるだけではなく、口の中の汚れを流してくれます。乾燥してしまって唾液が少なくなれば、口の中の汚れが流れなくなります。汚れがたまってしまい、ニオイが発生するのです。
また、舌に舌苔(ぜつたい)というものがあります。ベロをベーっと出すと表面が白く(もしくは黄色く)なっている所が舌苔です。
定期的にきれいになっていくものなのですが、唾液が少なくなると舌苔も汚れてしまい、ニオイを発生させます。口の中の汚れが落ちなければ歯周病菌・虫歯菌も抑えることができず、さらにニオイが強くなります。
特に問題になるのは歯周病です。歯周病は40歳を超えると8割の人がかかっています。3)
軽いうちは歯茎が軽く炎症を起こす程度なので、あまり症状がありません。しかし進行すると、歯磨きをして歯茎から血が出ます。さらには、口の中がかゆくなってきます。高齢になると唾液が少なくなり、汚れも落とせず歯周病も落とせず、歯周病が悪化するのです。
老人の取扱説明書
平松 類 (著)
SBクリエイティブ (2017/9/6)
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