2025年4月1日火曜日

人生五十、功なきを愧(は)ず

 将軍足利義満の幼いときからの参謀・細川頼之は、その人望と知略によって、縦横に腕をふるってきた。そうして義満を立派なリーダーに育てあげた。
が、やがて長じた義満にひどく疎まれるようになる。
独裁権力を築こうという義満は、深謀遠慮の策略で、諸将をたきつけて反頼之派を作るのに成功する。野心満々の長は、力量のある保護者がだんだん邪魔になる。
よくある話である。
 かくて康歴元年(1379)閏四月十四日、細川頼之は讃岐へ追放された。
都をあとにするときの、頼之の作った漢詩がいい。
「人生五十、功なきを愧ず 花木、春過ぎて夏すでになかばなり 満室の蒼蠅掃えども去り難し 起ちて禅搨(ぜんとう 住人注;座禅をする台)を尋ねて清風に臥せん」

この国のことば
半藤 一利 (著)
平凡社 (2002/04)
P104

この国のことば

この国のことば

  • 作者: 半藤 一利
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2002/04/01
  • メディア: 単行本

 

 

一六 子曰わく、我に数年を加え、五十にして以て学ぶ。易( また )大過なかるべし

~中略~

先生がいわれた。
「 天が私に数年の歳をかしてくれ、五十歳までまだ学問をつづけるなら、まあたいした過ちがなくなるだろうよ 」
述而篇

          論語
     孔子 (著), 貝塚 茂樹
      中央公論新社 (1973/07)
     P193


二三 子曰わく、後生( こうせい )畏( おそ )るべし。焉( いずく )んぞ来者の今に如かざるを知らんや。

四十五十にして聞こゆることなきは、これ亦( また )畏るるに足らざるのみなり。


~中略~


先生がいわれた。
「若い人は恐るべきだ。これから出てくる人が現在の自分たちほどになれないと、だれがいえようか。四十歳、五十歳になるまでに、しっかり勉強するようにさとしたのである。 」

子罕編
         論語
         孔子 (著), 貝塚 茂樹
        中央公論新社 (1973/07)
            P253

 

論語 (中公文庫 D 3)

論語 (中公文庫 D 3)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1973/07/10
  • メディア: 文庫

 

 

 

撫塵(ぶじん)は昨日なれども、不惑催す。
遍照発揮性霊集 巻第三

赤ちゃんだったころが昨日のことのように思えるのに、 もう四〇になってしまった。

空海 人生の言葉
川辺 秀美 (著)
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010/12/11)
生と死について一八七

 

空海 人生の言葉

空海 人生の言葉

  • 作者: 川辺秀美
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2013/02/04
  • メディア: Kindle版

 

 

 

 

浮世の月見過ごしにけり末二年

<この世の月を余分に見てしまった。寿命を過ぎて二年間も>―「浮世の月」には<この世の月日>という意味が託されている。<「人生五十年、それさえ自分には十分すぎるのに、さらに二年も長生きしてしまった>(前書)といういさぎよい辞世の句である。
たった二年を「二年間も」ととらえている。

西鶴という鬼才―新書で入門
浅沼 璞 (著)
新潮社 (2008/02)
P177

西鶴という鬼才: 新書で入門 (新潮新書 250)

西鶴という鬼才: 新書で入門 (新潮新書 250)

  • 作者: 浅沼 璞
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/02/01
  • メディア: 新書

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