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コーラなどの甘い清涼飲料水が糖分を多く含むことはわかるとして、注意が必要なのはいかにも健康に良さそうな商品です。
代表的なところをあげたただけで、ウイダーinゼリー・エネルギーに45グラム(角砂糖11個分)、C.C.レモンに50.5グラム(角砂糖12個分)、デカビタCに28.3グラム(角砂糖7個分)といった具合に大量の糖が含まれています。
本来、健康な人間の体内には約4.5リットルの血液であり、その中のブドウ糖濃度(血糖値は空腹時90mg/dlです。
つまり、その血液中には4グラム前後のブドウ糖が存在します。それだけあれば十分だから、この数値なのです。
では、4グラムでいいところに、コーヒー飲料などを飲んで、いきなり大量の砂糖がドバーッと入ってきたらどうでしょう。人間の体がまったく想定していなかった、ばかげた事態が起きるのです。
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液体の糖質は口にしてすぐに血糖値が上がり始め、30分後にはピークに達してしまいます。缶コーヒーを1本飲めば、糖尿病のない健康な人でも30分後には血糖値が140くらいまで急上昇します。これを「血糖値スパイク」と呼びます。
このときに、体の中で起きている変化について簡単に説明しましょう。
血糖値がぐんと上がると、セロトニンやドーパミンといった脳内物質が分泌されて、ハイな気分になります。だから、「仕事前に気合を入れるには缶コーヒーがぴったりだ」と誤解してしまうわけです。
このハイな気分になるところを「至福点」と言います。
一方で、血糖値が急激に上がったことを察知した体は、それを下げるために慌てて膵臓から大量のインスリンというホルモンを放出します。そして、血糖値が急激に下がります。
血糖値が大きく下がると、ハイな気分から一転、イライラしたり、吐き気や眠気に襲われたりと不快な症状が出ます。
すると、「またあのハイな気分になりたい」とばかり、血糖値を上げる糖質が欲しくなり、同じことを繰り返してしまうのです。
これは、「糖質中毒」という脳がおかしくなってしまった非常に深刻な症状です。しかし、中毒に陥っている本人には、その自覚がまったくありません。
実は清涼飲料水などのメーカーは、人の至福点について計算し尽くし、商品を設計しています。言ってみれば、糖質中毒患者を増やすことで利益を得ているのです。
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もともと清涼飲料水は、アメリカでトウモロコシが生産過剰に陥ったことがきっかけで生まれたと言われています。~中略~
しかし、税金をたくさん納めている企業に対し、国や自治体が本気で規制に乗り出すことはできません。アメリカでは買収された学者が「肥満を呼ぶのは糖質ではなく脂肪だ」という説を垂れ流し、いまもそれを信じている人が世界中にいます。
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コロラド大学デンバー校のリチャード・ジョンソン博士は腎臓病の研究が専門ですが、「ナショナル・ジオグラフィック」誌でこのように述べています。
「病気を研究し、その根本原因をたどると、必ずそこには砂糖があります」
「なぜ米国人の肥満は加速する一方なのか。その一因は砂糖だと考えています。
かつて、アメリカでは糖尿病や心臓病の増加は、肉などの脂っぽいものを多食するためだと考えられてきました。
そのため、人々は摂取する脂肪の量を減らしてきたのに、相変わらず肥満は増えています。
彼らは、清涼飲料水、ピザ、ハンバーガーなどを多食し、糖質を過剰摂取しているからです。
そして日本でも、同じことが起きています。
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