もっとも室生寺を弘法大師にむすびつけるのは、学問的根拠がないといわれる。多分江戸初期に室生寺の大パトロンであった桂昌院(五代将軍綱吉の生母で大の仏教信者)と護持院隆光の作意によるものであろう。
それはともかくとして、室生寺は寺伝にいう女人高野の名にふさわしく、可愛らしく、華やかな寺である。伽藍も仏像も神秘的で、しかもあやしい色気がある。深山の杉木立に咲く山桜にもたとえられようか。
土門拳 古寺を訪ねて―奈良西ノ京から室生へ
土門 拳
小学館 (2001/09)
P144

土門 拳 古寺を訪ねて 奈良西ノ京から室生へ (小学館文庫 G と- 2-2 VISUAL SERIES)
- 作者: 土門 拳
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2001/09/06
- メディア: 文庫
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