この(住人注;新時代を迎えた)明治十年代はどんな時代だったか。天下の台所といわれ、日本の経済を支配していた大坂が維新後に火が消えたように落ち込んだ。自由開市で特権がご破算になり、蔵屋敷が廃止され、大名への貸し金がただ同様になる。問屋はほとんど倒産してしまう。明治五年(一八七二)には、人口が二十六万と最盛期の六割になった。大坂の坂は「土に返る」のだから縁起が悪いと、阪に変えた。阝(こざと)には盛んとか多いの意味がある。
大阪学大谷 晃一 (著) 新潮社 (1996/12)P52
大阪学
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