P56
降圧剤を飲むことで、はたして寿命が延びるのか?
~中略~
日本では国民病とされ、これほどうるさく言われるにもかかわらず、驚くべきことに、偽薬を用いた本格的な臨床試験は、ほとんど行なわれていない。欧米では、何度も行われている。
ただし日本でも、一度だけ行われたことがある。いや、行われたという言い方は、正確ではない。マスコミの横やりが入り、途中で止めてしまったからである。にもかかわらず、その試験は信用に値する、非常に精度の高い結論をもたらした。
厚生省の事業の一環として行われた実験が、それである。~中略~ これは製薬会社ではなく、研究者の主導で行われた。
~中略~
その結果、降圧剤を使用した人としなかった人のあいだに、死亡率の差はなかった。脳卒中や心筋梗塞などの発症率にも差は見られなかったのである。
これは、高齢者に降圧剤は、効果がないことを示している。
それだけでない。ガンの発症率は降圧剤を使用したグループのほうが高いという結果が出たのだ。
研究者や製薬会社の期待とうらはらに、降圧剤の副作用が強調される結果となってしまったのである。
しかし、試験中に一部のマスコミから、「高血圧患者に対して偽薬を使うのは問題だ」と非難の声が上がり、中止されてしまった。
P62
カルシウム拮抗剤(住人注;降圧剤のタイプの中の一つ)には大きな問題がある。
カルシウムチャンネルは、血管だけでなく、体中すべての細胞にあるものだ。降圧剤により、そこをふさいでしまうと、細胞が十分に機能しない可能性がある。
このことで、何よりよくないのは、免疫細胞がきちっと働かなくなることだ。~中略~
カルシウム拮抗剤は、免疫力を弱めてしまう。そのため、普通なら摘み取っていたガンの芽を放置してしまうのだ。
1993年の茨城県の調査によると、降圧剤を飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて、ガンによる死亡危険度が1・14倍。しかも男性に限ると1・3倍大きいという結果が出ている。
P67
なぜ、降圧剤を飲むと自立度が下がるのだろうか?
薬で無理に血圧を下げると、脳の血流が悪くなる。実際、降圧剤を飲み始めてから、頭がボーッとしたり、忘れっぽくなったりするという話をよく聞く。
立ちくらみがしたり、足元がふらついたりすることも多い。そうなると転びやすくなる。
~中略~
古くから使われているチアジドという利尿系の降圧剤では、尿酸が溜まりやすくなり、痛風の原因になることがわかっている。
高血圧はほっとくのが一番
松本 光正 (著)
講談社 (2014/4/22)
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