いま思えば、考古学者たちは震災前からサインを出していた。仙台平野に沓形(くつかた)遺跡という約二〇〇〇年前の弥生時代の遺跡がある。
震災の五年前から本格的に発掘され、当時は二キロ(現在は四キロ)内陸のこの遺跡から津波の砂の層が発見されていた。砂は分厚いところで五センチを超えていた。
集落は津波で徹底的に破壊され、再び人が住みはじめたのは津波から四〇〇年後という衝撃的な事実もわかっていた。
つまり、仙台平野は約二〇〇〇年前、約一一〇〇年前(貞観津波)、四〇〇年前(慶長三陸津波)、そして二〇一一年(東日本大震災の津波)と、はっきりしているだけで、二〇〇〇年間に四回もの大津波に襲われている。
いずれも内陸四キロ前後まで浸水。五〇〇年前後の周期性をもったきわめて反復性の高い自然現象であったことがわかる。
天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災
磯田 道史 (著)
中央公論新社 (2014/11/21)
P191

天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)
- 作者: 磯田 道史
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/11/21
- メディア: 新書
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