2025年3月12日水曜日

大阪の食い倒れ

近世から「京の着倒れ・大坂の食い倒れ」といわれてきた。食い倒れとは、飲食にぜいたくをして財産をつぶしてしまうことである。果たしてそうなのか。
 平成元年の「全国消費実態調査報告」の各府県別の家計分析で、食費を全支出で割ったいわゆるエンゲル係数を見てみる。大阪は二八・〇%で、全国平均の二六・五よりは高い。東京は二六・一である。しかし京都は二九・一で大阪よりうえになり、全国平均よりはかなり高い数字である。むしろ京都の方が食い倒れといえる。
~中略~
 大阪の食い倒れとは、味にぜいたくする意味とは少し違う。食べ物で倒産した話を、大阪で聞いたことがない。
京都は将来また売れる着物を財産として残す。大阪の食い倒れとは、あすの活動のために、食事にけちけちしないことを意味している。ただ、安くて栄養があってうまいものを選ぶ。

大阪学
大谷 晃一 (著)
新潮社 (1996/12)
P61

大阪学

大阪学

  • 作者: 大谷晃一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/05/24
  • メディア: Kindle版

 

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