P49
アレルギーで最初に起きる反応は、「マスト細胞の脱顆粒」である。~中略~
たとえば花粉のアレルギーのある人が、花粉に接触すると全身のどこにでも存在するマスト細胞に花粉の分子がくっつき、それに誘発されてマスト細胞中の顆粒が放出され、中にあったヒスタミンが組織中にばらまかれる。するとかゆくなる。これが「かゆみ」の始まりである。
P59
皮膚の細胞のミクロの世界を覗いてみると、ヒスタミンレセプター(受容体)と呼ばれるごく小さな器官がある。これにヒスタミンが結合すると、かゆみをつかさどる神経を介してパルス(信号)が送られ、それを脳が受け取ることで、「かゆみ」を感じとるというしくみになっている。
P33
皮膚感覚を伝えるのは、知覚神経である。そして知覚神経の中で、皮膚感覚を伝える神経線維には、Aβ、Aδ、Cの三種類がある。
~中略~
そしてCは内臓痛や皮膚の鈍痛を伝える。つまりC繊維が伝えるのは、鈍痛。打撲や捻挫をしたあとしばらく起こるあのズキズキした痛みや、内臓から来るシクシクした痛みである。
「かゆみ」はこのC繊維を伝わるので、同じようにじわじわとゆっくり伝わってくる。
~中略~
つまり、かゆみには脊髄反射がないのだ。正確には、C繊維には脊髄反射がない、ということになる。「痛み」には、痛みから逃避する脊髄反射が存在するが、「かゆみ」にはない。瞬間的に逃げる反射、逃避する行動がないのだ。
だからたとえば、虫に刺されたとき、痛みで手を引っ込めることはあっても、瞬間的にかゆみを感じて逃げる、ということはない。
なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池 新(著)
PHP研究所 (2014/10/16)
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