脳梗塞は高血圧が原因といわれるが、そうではない。むしろ、血圧の低いときに起こる疾患である。
脳の血管が詰まりかけたとき、体は懸命に血流を勢いよくし、血のかたまりを吹き飛ばそうとする。血圧を上げて、脳を守ろうとしているのだ。
「高血圧だから、脳梗塞になった」のではなく、「脳梗塞だから、血圧を上げて治そうとしている」のだ。原因と結果を取り違えているのである。
このとき、血流が弱く、血のかたまりを押し流すことができなければ、簡単に脳梗塞になってしまうだろう。これは少し考えれば、わかることである。
薬で血圧を下げることは、命取りなのだ。「脳梗塞は(降圧剤を処方した)医師によって作られる」と言っても過言でない。
東海大学医学部名誉教授・大櫛陽一氏の研究によれば、
「降圧剤を飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて脳梗塞の発症率が2倍になる」という。
~中略~
実は、戦後1950年代までは、脳卒中のうち、約90%が「脳溢血」だった。時代を下るにつれ、脳溢血は減り、脳梗塞が増える。70年代に入ると逆転し、90年代に入ってからは、脳溢血が10~20%で横ばい、脳梗塞は80~90%で90年代半ばから急に増加している。
なぜ昔は、これほど脳溢血が多かったのか?
それは戦後の日本は、非常に栄養状態が悪かったからである。~中略~
血管がもろいうえに、強い肉体ストレスが加わって、たやすく血管が破れていたのである。そのため、脳溢血が多発していたのだ。
こうして、「高血圧=脳卒中で倒れる」というイメージが医者や国民の間に広まったのである。
高血圧はほっとくのが一番
松本 光正 (著)
講談社 (2014/4/22)
P53
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