時分にも恐るべし。去年さかりあらば、今年は花なかるべき事を知るべし。
時の間にも、男時・女時とてあるべし。
能にも、よき時あれば、かならず悪きことまたあるべし。これ力なき因果なり
~中略~
この男時・女時とは、一さいの勝負に、定めて、一方色めきてよき時分になることあり。
これを男時と心得べし。
勝負の物数久しければ、両方へ移り変はり移り変はりすべし。
世阿弥 (著), 竹本 幹夫 (翻訳)
風姿花伝・三道 現代語訳付き
角川学芸出版 (2009/9/25)
P285
人が世の中に処して行くのには、形勢を観望して気長に時期の到来を待つということも、決して忘れてはならぬ心掛けである。処世と信条
渋沢栄一 (著)
論語と算盤
角川学芸出版 (2008/10/25)
P35
若しくは也(また)惰性煩労し、事由寂寞として、強いて自ら催逼(さいひつ)すれば、徒(いたずら)に辛苦を成す。
翰(ふで)を韜(おさめ)筆を屏(しりぞ)けて、
以て後図を須(ま)ち、心慮の更に澄むのを待ちて、方(は)じめて連緝(れんしゅう)を事とするには若かず。
止(た)だに作文の至術のみには非ず、抑(そもそ)も亦た養生の大方なるのみ。
文鏡秘府論 南
もしあなたが思索することに疲れて文章が上手くまとまらないときは、いくら強引に書こうとしてみても、辛く苦しいだけです。
そんなときはいっそペンをおいて後で考えることにし、心が澄んでくるのを待って、態勢を整えてから創作に臨むのがよいでしょう。
これは単に文章作法のコツだけでなく、人生に通じる大切な法則でもあるのです。
空海 人生の言葉
川辺 秀美 (著)
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010/12/11)
詩と文章について一一六
わるい時がすれば、よい時は必ず来る。
おしなべて、事を成す人は、必ず時の来るのを待つ。
[松下幸之助] 松下電器創業者 | 1894-1989
人生はワンチャンス! ―「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法
水野敬也 (著), 長沼直樹 (著)
文響社 (2012/12/11)
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【大橋佐平】(一八三六~一九〇一)―時機―
植木を移すに必ず時あり。時を失すればその木枯るることあり。これ労して益なし。
越後長岡藩といえば河井継之助が有名。しかしこの藩でもっとも物事が見えていたのは河井ではない。大橋佐平であった。~中略~
ところが大橋は一念発起して五〇歳で上京。出版社「博文館」をはじめた。これが大成功 ~中略~
事業の秘訣をこう語っている。〈事を起すに順序あり。物を扱うに機会あり〉〈もし機会を失すれば如何に骨折りするも無駄骨に過ぎず、世に処するもの大に心せよ〉。~中略~〈機会は自ら作るべし、時の来るのを待つというは迂遠(うえん)なり。自ら思い立つ時が即ち機なり〉(坪谷善四郎「大橋佐平翁伝」とも書き加えている。
日本人の叡智
磯田 道史 (著)
新潮社 (2011/04)
P112
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