一一 子曰わく、故( ふる )きを温めて新しきを知る、以て師と為すべし。
~中略~
先生がいわれた。 「煮つめてとっておいたスープを、もう一度あたためて飲むように、過去の伝統を、もう一度考えなおして新しい意味を知る、そんなことができる人にしてはじめて他人の師となることができるのだ」 ( 故きを温めて )「 温 」を朱子の新注で「 たずねる 」と訳しているか意訳にすぎる。漢の鄭玄( ていげん )にしたがって、冷えた食物をあたためなおす意味にとるが、これが原義である。
*孔子はたんなる物知り、過去のことをよく記憶しているだけでは学者になれないと考えたのであろうが、そこまでいわずに、物知りでは他人の先生にはなれないと控えめに述べている。
為政篇
論語
孔子 (著), 貝塚 茂樹
中央公論新社 (1973/07)
P42
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