2024年11月21日木曜日

いろは口説

 国は日向の大光寺さん 古月和尚のつくりし口説 四十八字のいろはの口説 いろは口説を今語り出す

 いとけなきもの愛してとらせ
 ろう(老)は敬い無礼をするな
 はらが立っても皆までいふな
 にくみ受くるも我が心から
 ほめてもらうとて高慢するな
 へだてないとて遠慮に思へ
 となり近所に不都合するな
 ちかき中にも又かきをせよ
 りこうものぢやと自慢するな
 ぬしのある身をたしなめよ
 るらう(流浪)するのも我が心から
 おやに不幸の妻なら去れよ
 わかき時には身をつつしみて
 か(家)業大事と心にかけよ
 よきもあしくも人事いふな
 たとへ高きも又いやしきも
 れい儀作法をよくわきまえて
 そこつなきよう此世を渡れ
 つらい勤も忍んで通ふしや
 ねがい通りに事成就する
 なにがないとて世をうらむな
 らくがしたけりゃ心棒が大事
 むかしがたきの人をばしたへ
 ういてしげるは水草ばかり
 ゐやな事とて色には出すな
 のちには必ず身のらくと成る
 おやの意見を忘れぬように
 くにの掟をよく守りつつ
 やしきの境をきびしく守り
 まづしき暮らしも心を富ませ
 けしの種でも盗はするな
 ふう者貧者は時世と時節
 こころよく持ち油断をでねば
 えらい人にもなるる此の世
 てらす鏡のくもらぬように
 あしき友達遠ざけて行け
 さいた桜に駒つながれぬ
 き(貴)けん方とてへつらいするな
 ゆかりある人粗略にするな
 めづるこころは目下につかえ
 みぶん相応倹約なされ
 し(死)後の笑をうけてはならぬ
 ゑんがあろうと又なからふと
 ひろい世界のその人々に
 もうし置くこと限りもないが
 せめて口説の言ばを守り
 すすみ行く気で此世を渡れ

(住人注;蘭山の師の古月の作)
上田翁の話では、柳村では昔寺子屋でこの口説を書き写させ、歌わせていたとういう。

郷土門司の歴史
中山主膳 (著)
金山堂書店 (1988/06/01)
P115

郷土門司の歴史 

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