(松平)定信は人格的にほとんど瑕疵のない人物であったが、
大奥の女性に、使命感や改革のエートスを説明しても、およそ意味がないことに気がつかなかった。
~中略~
定信の場合、彼の鋭敏な政治感覚は残念なことに大奥については活かされなかった。
それは要するに「志」という語とは無縁の、本能のみによってしか生きられない「濁流」が、
人の世にはつねに断ち難くあって、それが改革を阻む勢力の結集点になるときの恐ろしさを教えるものである。
中西 輝政 (著)
なぜ国家は衰亡するのか
PHP研究所 (1998/10)
P186
P28
およそ人を扱う場合はには、相手を論理の動物だと思ってはならない。
相手はかんじょうのどうぶつであり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。
P175
理屈どおりに動く人間は、めったにいるものではない。大抵の人は偏見を持ち、先入見、嫉妬心、猜疑心、恐怖心、ねたみ、自負心などに蝕まれている。自分たちの主義、宗教、髪の刈りかた、そして、クラーク・ゲーブルが好きだとか嫌いだとかいった考え方を、なかなか変えようとしないものだ。
デール・カーネギー (著) 香山晶 (訳)
人を動かす
ハンディーカーネギー・ベスト
創元社 (1986/11)
新版 ハンディーカーネギー・ベスト(3冊セット): 「人を動かす」「道は開ける」「カーネギー名言集」
- 作者: D・カーネギー
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: 単行本
人間は動物だからねえ。それを忘れちゃうから、どうも方々で間違いが起きてくるんだな。
頭脳が比較的発達しているから高等動物になっているけど、肉体の緒器官というものは四つ足のときと変わらないんだよ。
それを高等な生きものだと思い込んでしまって、そうした社会をつくろうとしてゆくと、非常に間違いが起きてくるんだよ。
池波 正太郎 (著), 柳下 要司郎 (編集)
新編 男の作法―作品対照版
サンマーク出版 (2004/05)
P118
大政奉還をした慶喜自身に、海舟ほどの「公」や「正」を求める気持ちがなかった。彼が一貫してそうであったことも、これまでみてきたとおりである。
海舟は、何度も裏切られているではないか。慶喜がここで突然、全面的に改心するはずはないのだ。
それに、海舟がもっとも心配したように、幕臣たちの大勢は、その慶喜よりも一段と無理解であった。
慶喜の行為が芝居であったとすれば、その芝居をのみこむ力さえもなかった。
勝海舟 (中公新書 158 維新前夜の群像 3)
松浦 玲 (著)
中央公論新社 (1968/04)
P158
勝海舟―維新前夜の群像3 (中公新書 158 維新前夜の群像 3)
- 作者: 松浦 玲
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1968/04
- メディア: 新書
一八 子曰わく、吾未だ徳を好むこと色を好む如くする者をみざるなり。
~中略~
先生がいわれた。
「わたしは美人を愛するほど熱烈に有徳者を愛する人をまだ見たことがない」 子罕編
論語
孔子 (著), 貝塚 茂樹
中央公論新社 (1973/07)
P250
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