2024年12月5日木曜日

名利は厭う可きに非ず

名を干めずして来る者は、実なり。


利の貪らずして至る者は、義なり。


名利は厭う可きに非ず。


但だ干むると貪るとを之れ病と為すのみ。

              「 言志耋録」第二〇五条


            佐藤 一斎 著

               岬龍 一郎 編訳

               現代語抄訳 言志四録

               PHP研究所(2005/5/26)

               P236

自分が要求しないで得られる名誉は、その人の実績によるものである。
がめつく要求しないで得られる利益は、正しく行った成果である。
このような名誉と利益は遠慮すべきものではない。
ただ、みずから名誉を求めたり、利益をむさぼるというのは、弊害をもたらすだけである。

[現代語抄訳]言志四録

[現代語抄訳]言志四録

  • 作者: 佐藤 一斎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2005/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


人望は固(もと)より力量に由って得べきものに非ず、
また身代の富豪なるのみに由って得べきものにも非ず、
ただその人の活溌なる才智の働きと正直なる本心の徳義とをもって次第に積んで得べきものなり。

 人望は智徳に属すること当然の道理にして、必ず然るべき筈なれども、
天下古今の事実において或いはその反対を見ること少なからず。
藪医者が玄関を広大にして盛んに流行し、売薬師が看板を金にして大いに売り弘め、
山師の帳場に空虚なる金箱を据え、学者の書斎に読めぬ原書を飾り・・・・

~中略~
然らば即ち栄誉人望はこれを求むべきものか。
云く、然り、勉めてこれを求めざるべからず、ただこれを求むるに当たって分に適すること緊要なるのみ。

福沢 諭吉 (著)
学問のすすめ
岩波書店; 改版版 (1978/01)
P178

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

  • 作者: 福澤 諭吉
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/02/09
  • メディア: 新書




 

ブッダは、
正しい方法で裕福になることは、富を適切な方法で使うことと同じように重要だ
と説いています。
これは次の言葉によく現れています。
「賞賛されるにふさわしい善良な人は、法に則った方法で富を求め、己と他者のしあわせのために用いる」

ダライ・ラマ14世 (著), ローレンス・ファン・デン・ムイゼンバーグ (著), 岩木 貴子 (翻訳)
ダライ・ラマのビジネス入門 「お金」も「こころ」もつかむ智慧!
マガジンハウス (2008/7/24)
P128

ダライ・ラマのビジネス入門 「お金」も「こころ」もつかむ智慧!

ダライ・ラマのビジネス入門 「お金」も「こころ」もつかむ智慧!

  • 作者: ダライ・ラマ14世
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2008/07/24
  • メディア: 単行本


「もうけ方と使い方に気をつけるなら、欲が悪いなどということは、どこにもないのだ」
鈴木正三

松原 泰道 (著)
人生百年を生ききる
PHP研究所 (2004/08)
P220

人生百年を生ききる (PHP文庫)

人生百年を生ききる (PHP文庫)

  • 作者: 松原 泰道
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 文庫


P236
かくのごとき誤解あり
仁義道徳をもって人を治める者は、生産利殖に関係する者ではない
「論語と算盤」実業と士道

自らの信義に基づいて、お金儲けと社会貢献とを両立させている人は、世界の実業界には、数え切れないほどいるのです。
その人たちにとって、財産とは、競争の目的ではなく、結果に過ぎません。

P248
真正の利殖は仁義道徳に基づかなければ、決して永続するものではない。
「論語と算盤」仁義と富貴

渋澤 健 (著)
巨人・渋沢栄一の「富を築く100の教え」
講談社 (2007/4/19)

巨人・渋沢栄一の「富を築く100の教え」 (講談社BIZ)

巨人・渋沢栄一の「富を築く100の教え」 (講談社BIZ)

  • 作者: 渋澤 健
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/04/19
  • メディア: 単行本



 

P118
企業人の代わりに私欲のない天使が役員の椅子に座っても、利益については関心をもたざるをえない。
いかなる事業においても、問題は経済活動に伴うリスクをカバーし、赤字を出さないために必要な利益をあげることだからである。
「現代の経営」

利益とはリスクに備えるプレミアム
P119
企業にとっての第一の責任は、存続することである。換言するならば、企業経済学の指導原理は利益の最大化ではない。損失の回避である。
したがって企業は、事業に伴うリスクに備えるために、プレミアム(余剰分)を生み出さなければならない。リスクに対するプレミアムの源泉は一つしかない。
利益である。
「現代の経営」

P・F・ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)
経営の哲学 (ドラッカー名言集)
ダイヤモンド社 (2003/8/1)

経営の哲学 (ドラッカー名言集)

経営の哲学 (ドラッカー名言集)

  • 作者: P・F・ドラッカー
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2003/08/01
  • メディア: 単行本


四〇四 正しい法(に従って得た)財を以て母と父を養え。正しい商売を行なえ。つとめ励んでこのように怠ることなく暮らしている在家者は、(死後に)<みずから光を放つ>という名の神々のもとに赴く。」

ブッダのことば―スッタニパータ
中村 元 (翻訳)
岩波書店 (1958/01)
P83

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1958/01/01
  • メディア: 文庫


P130
商品を売って利益を得るのは、商人として当然の道である。仕入れ値で売るのが商人の道というのは聞いたことがない。売掛金(うりかけきん)を欲とみなして「道に非(あら)ず」とするなら、孔子はなぜ子貢(司馬遷の「史記」貨殖列伝に登場するほどの利殖の達人)を弟子にしたのだろうか。
子貢は、孔子の説く道を商売にうまく適合させたのである。その子貢も、売買利益を得なければ富豪にはなれなかっただろう。商人の売買の儲けは、武士の俸禄と同じ。儲けのないのは、武士が俸禄を受けずに出仕するようなものだ。

P136
商売は、正しい方法で利益を上げることで成り立っている。正しい方法で利益をあげるのが商人としてのまっとうな生き方であり、利益を上げられないのは正しい商人の道とはいえない。

石田梅岩『都鄙問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ14)
石田梅岩 (著), 城島明彦 (翻訳)
致知出版社 (2016/9/29)

石田梅岩『都鄙問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ14)

石田梅岩『都鄙問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ14)

  • 出版社/メーカー: 致知出版社
  • 発売日: 2016/09/29
  • メディア: 単行本

 

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