さて祖父が死ぬると、古い親類は「じいさんの死んだことだし、親類のつきあいはやめにしよう」と何軒かの家からいって来た。
それでそういう家はまったく他人になっていったのである。親類は家についたものであるはあるが、同時にその家の主人、主婦についたもの、とくに老人の意志によることが多い。
親類づきあいは普通従兄位までの間でおこなわれるが、義理がたくすれば再従兄(またいとこ)までがその範囲になる。それも、相手の家との話しあいによってきまる。
現在私の家でも母は正月のあいさつ、盆の先祖礼にあるいている。しかし妻はほとんどあるいていない。このようにして世代ごとに家の行事もあらたまっていくようである。
忘れられた日本人
宮本常一 (著)
岩波書店 (1984/5/16)
P208
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