世味を飽き諳( そら )んずれば、覆雨翻雲に一任して、総て眼を開くに慵( ものう )し。
人情を会し尽くせば、牛と呼び馬と喚( よ )ぶに随教して、只だ、これ点頭するのみ。
洪自誠
守屋 洋 (著), 守屋淳 (著)
菜根譚の名言 ベスト100
PHP研究所 (2007/7/14)
P123
酸いも甘いも知り尽くしてしまえば、人の心がどう変わろうと、気にならない。
眼を見開いて確かめるのさえおっくうだ。
人の心がわかってしまえば、牛と呼ばれようが馬と呼ばれようが、腹も立たない。
ただ、ハイ、ハイとうなずくばかりだ。
河や海が数知れぬ渓流のそそぐところとなるのは、身を低きに置くからである。
その故に、河や海はもろもろの渓流に君臨することができる。
同様に、賢者は、人の上に立たんと欲すれば、人の下に身を置き、人の前に立たんと欲すれば、人の後ろに身を置く。かくして、賢者は人の上に立てども、人はその重みを感じることなく、人も前に立てども、人の心は傷つくことがない
老子
デール・カーネギー (著) 香山晶 (訳)
人を動かす
ハンディーカーネギー・ベスト
創元社 (1986/11)
P232
道は開ける ハンディーカーネギー・ベスト (2) Handy Carnegie’s Best
- 作者: D・カーネギー
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 1986/10
- メディア: 文庫
[第二百三十三段] 万事あやまちがないようにと思えば、何ごとにも真心をこめて、人を分け隔てせず、うやうやしくし、言葉数が少ないに越したことはない。
男女老少いずれも皆、そういう人がよいにきまっているが、ことに若くてきりょうのよい人が、すべてきちんとしているのは、忘れがたく、心がひかれるものだ。
凡てのあやまちは、もの慣れたふうに巧者ぶって、得意然とした様子をして、人を軽蔑するところから起るのである。
徒然草―現代語訳
吉田 兼好 (著), 川瀬 一馬
講談社 (1971/12)
P297
とにかく、歴史的作品、古典を探求しないと、浅学になる。学問・勉強が狭い。
いくら自分は天才だとか秀才だとか思っておっても、やっぱり人間の智恵だの才能というのはたかが知れている。長い歴史に幾億の人の中からふるい残されておるような人物や文献をよく了承しないと、いい気になってしまう。
人間いい気になるというのは一番浅薄なことです。~略~
本当に人を知り、本当にいいものを学んだら、知り学ぶほど謙虚・謙遜になるべきだ。
酔古堂剣掃「人間至宝の生き方」への箴言集
安岡 正篤 (著)
PHP研究所 (2005/7/1)
P100
酔古堂剣掃(すいこどうけんすい) 「人間至宝の生き方」への箴言集 (PHP文庫)
- 作者: 安岡 正篤
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 文庫
報告書や手紙の中で、自分の知性や博識を印象づけようとして、わざとむずかしい言葉を使いたくなることはないだろうか。だが、ダニエル・オッペンハイマーが行った研究によれば、難解な言葉は逆効果らしい。~中略~
そして一般の人にそうした難解な言葉を使った文章サンプルを読んでもらい、それを書いた人物の知性を評価してもらった。 するとわかりやすい言葉ほど、書き手の知性が高いと評価されることがわかった。
不必要に難しい言葉を使った文章は 悪印象を残したのだ。
その科学が成功を決める
リチャード ワイズマン (著), Richard Wiseman (原著), 木村 博江 (翻訳)
文藝春秋 (2012/9/4)
P59
自分の欠点をさらけ出したり失敗した話をしたりすれば、不完全な人間である証拠を示したことになる。それだけ人間味が感じられる。相手も構えなくてよいので、お互いに間の距離も縮まってくる。
それに、自分を下の位置に置いたプレゼンテーションになるので、相対的に相手を上に据えた結果になる。相手は無意識のうちにちょっとした優越感を感じる場合もあるだろう。
本人が自分の長所について説明したり成功した話をしたりしたのであれば、自慢話であるから、誰も聞きたいとは思わない。表向きは調子を合わせていても、内心では迷惑に思っている。したがって、本気で話を聞こうともしない。そのような心理状態の中では、説得しようとしても耳も傾けてもらえないだろう。
超説得力
山崎 武也 (著)
講談社 (2003/11)
P104
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