子宮頸がんワクチンという名前を聞くと、がんに対するワクチンのように聞こえますが、そうではありません。子宮頚がんの原因となるヒトパピローマウイルスの感染を予防するためのワクチンです。
なので、正確には、子宮頸がんワクチンではなくて、ヒトパピローマウイルスワクチンと呼ぶべきものです。このワクチンの接種により、子宮頸がんの7割程度は予防できるのではないかと考えられています。
あくまでも一般論としてですが、ワクチンはその作用機序から、どうしても一定の割合で副反応の比率と、ワクチンを接種することによって享受するメリットを勘案して、統計的には接種した方がいいと判断されています。
また、一定以上の割合の人がワクチンを接種すると、ワクチンを接種していない人への感染率も低下して、感染の蔓延を防ぐ効果も出てくるので、社会防衛的にも大きな意義があります。
しかし、だからといって、強制的に接種というのはむずかしいところがあります。病気に罹っていないのに、予防的にワクチンを接種してひどい副反応があったらイヤだから接種しない、と考える人がいるのも理解できます。
このあたりは、接種するワクチンの副反応のリスクと、接種によるメリットをよく考えて、最終的に個人で判断するしかありません。
こわいもの知らずの病理学講義
仲野徹 (著)
晶文社 (2017/9/19)
P284
0 件のコメント:
コメントを投稿