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「人生脚本(life script)」とはエリック・バーンによって提唱された概念であり,無意識の人生計画である。
人は誰しも自分の人生で,すでに脚本に書かれたドラマを演じているようなものであると考えたのである。
その脚本の大部分はすでに乳幼児期から青年期までに決定されている。
人生脚本とは,決断された信条の集合体であるともいえる。そして人は脚本を決定し成人した後も,無意識に脚本通りの人生を演じ続けている。とくに人生脚本は,その人が大きなライフイベントに直面したときに,それに対してどのように進むかという決定に大きな影響を与えている。
ほとんどの場合,人はすでに脚本で決定された通りに進み自らの脚本を演じるのである。
そして脚本に従った決定を下し,脚本通りの人生を演じるごとに,自分の脚本を強化しているのである。
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人生脚本はどのようにして形成されるのであろうか。
人生脚本の内容には,その人が幼少期に周囲の環境からどのようなストロークを与えられて育った(と認識した)かが大きく影響する。すなわち両親や周囲の人たちから語りかけられる言葉や態度が影響するのである。
自分は愛されていると確信を持つに十分なストロークを受けとった(と認識した)子どもは,自分の存在を価値があるものであるという「信条(beliefs)」を基に脚本を形成するであろう。愛情を与えてもらえる自分に対して,そして愛情を与えてくれる親(他者)に対して信頼感を持つだろう。子どもはこのように脚本の基となるメッセージを感じとる。
そして子どもが十分に言葉を理解するようになると,さらに具体的な脚本を形成していく。たとえば,自分の存在を価値あるものであるという信条を形成できず,”私は存在する価値が無い”という信条を形成した子どもが,親の言葉を解するようになってから”しっかり勉強していい成績を取りなさい”という指示を受け,”しっかり勉強して親の期待に応えているうちは,私は存在する価値がある。だからいい成績を取るために頑張らないと,私は生きている価値が無い”という生き方を選択してゆく。
人生脚本は,(3),(4),(7)で説明する「禁止令」「拮抗禁止令」「行動プログラム」を骨格として形成されていくのである。
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倉成宣佳 (著)
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