免疫細胞の中には、神経伝達物質のレセプターをもっているものがある。
神経伝達物質とは神経細胞から神経細胞へとインパルスを伝えるもので、つまり「気分」の決定権を持っている物質だ。
免疫細胞がこれのレセプターをもっているということは、免疫細胞と気分は、つながりをもっているということだ。
多田 富雄 (著), 南 伸坊 (著)
免疫学個人授業
新潮社 (1997/11)
P158
P158
アレルギーの治療は、昔に比べるとだいぶロジックのあるものが多くなってはいるが、まだまだ珍奇な民間療法も多い。それなりに有効とされている理由のひとつは、アレルギーの発症には著しい心因性要素があるからであろう。アレルゲンの見つからない成人の気管支喘息は山ほどあって、免疫学的にアレルゲンを特定できるのはむしろ少数派である。そういう例では、ストレス、精神的ショック、騒音、気圧、運動その他あらゆるものが発作の誘引となる。
~中略~
汎アレルギー症候群というのもカナダで報告されている。電話機、食器、ポリエステルの下着、眼鏡、新聞、便座など、あらゆる肌に触れるものによって皮膚に激しい発疹が出る。拒否の程度の低いごくわずかの物の間にひっそりと身をおき、社会から隔離されて暮らすほかはない。
このようなすさまじい拒否に対しては、抗原と抗体の特異的な反応を基礎にしていた免疫学はお手上げである。なぜアレルギーはここまでエスカレートしてしまったのであろうか。
P164
人工的な環境変化によるものはやむを得ないとして、アレルギーの拒否の姿勢はますます頑なになってきたらしい。夫の精液に対して全身性のアレルギー症状としてのショックを起こした女性も、何例か報告されている。
ペットに対するアレルギーは誰でも知っている。犬のフケに対して、飼い主はしばしばペットアレルギーを起こす。しかし、最近、飼い主の方が人間のフケに対してアレルギーを起こした例が見つかった。
相互拒否の根は深い。
免疫の意味論
青土社 (1993/04)
ここでは(住人注;ベネズエラの熱帯雨林に住むヤノマミ)マラリアが流行している。悪寒、発熱、頭痛の発作時にシャーマンは悪霊を取り除こうとする。四、五時間後、発作はおさまり、嘘のように症状は緩和する。実はマラリア発作は放っておいても四、五時間で発作はおさまるのだ。
しかし病気は心理的なものが大きく作用する。シャーマンの治療は他の病気に対しても大きな威力を発揮している。
関野 吉晴 (著)
グレートジャーニー―地球を這う〈1〉南米~アラスカ篇
筑摩書房 (2003/03)
P103
グレートジャーニー―地球を這う〈1〉南米~アラスカ篇 (ちくま新書)
- 作者: 関野 吉晴
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2003/03
- メディア: 新書
病を忘るれば病おのずから逃る
すべての疾病は不覚に生じて自覚に成るものが多い。自覚せざるときは病既に身に生じて居てもなおいまだ病を知らず、 一たび病あるを自覚するに及んで病は大にその勢を張る。
換言すればもし自覚せざれば病はあるもなおなきが如くで、また自覚すれば病はなきもなおあるが如きである。
進潮退塩(明治四十五年七月)
努力論
幸田 露伴 (著)
岩波書店; 改版 (2001/7/16)
P233
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