P216
老いて子に養われるようになると、若いときから一緒にいるものに対しては怒りやすくなる。
欲深く、子を責め、人をとがめて、節度を失う。心を乱すものも多い。そうならないように、自ら我慢も必要である。
若いときに慎み深く節度を守っていたとしても、老人になると欲深くなり怒りやうらみごとが多くなる人が多い。
後略~
P217
老いると気力が少なくなる。気力をへらさないようにしなければいけない。
まず、第一に怒らないこと。憂い、悲しみ、泣き、嘆かないこと。
葬儀には関わらないこと。使者の家族を訪ねないこと。
また、もの思いにふけらないこと。
後略~
P225
年をとったら、心の楽しみのほかに気をつかってはいけない。時の流れにしたがって楽しむといい。
悩み事がなく、四季の移り変わりや、美しい風景、自然の美しさなどを、楽しむのがいい。
養生訓 現代文
貝原 益軒 (著) , 森下 雅之 (翻訳)
原書房 (2002/05)
(住人注;思春期と)同様に老年期には老年期に特有なP(住人注;親的な自我状態)、A(住人注;大人の自我状態)、C(住人注;幼児的な自我状態)のアンバランスが考えられる。この一つのタイプとして、第6図のように、巨大なPと老化したAとのあいだに葛藤を起こすタイプがある。すなわち、時代が変化しても、子ども時代から身についた戦前の義理・人情を中心とした価値観は、簡単に変わるものではない。
しかし、現実的には、脳の動脈硬化などによって、現実認知のAの力が衰退してくる。また、体力やバイタリティ(C)も低下してくるため、Pが古めかしい価値観や理想をいかに主張しても、実行に移せない状態になる。このようなP、A、C間のあつれきとアンバランスは、多かれ少なかれ、老人の自我常態の特色である。
セルフコントロール―交流分析の実際
池見 酉次郎 (著), 杉田 峰康 (著)
創元社; 新版 (1998/11)
P50
「頭髪が白くなったからとて<長老>なのではない。ただ年をとっただけならば〔空しく老いぼれた人〕と言われる」(「ダンマパダ」―法句経― 二六〇)
ボクは坊さん。
白川密成 (著)
ミシマ社 (2010/1/28)
P134
なぜ短命だったかというと、動物性蛋白質や脂肪分の不足が主な原因だったと考えられている。
~中略~
たしかに欧米では「肉の摂りすぎが短命の要因」として、長寿の日本を見習おうという動きもある。
だが、アメリカ人の場合、一日に約一四〇グラムもの脂肪を摂っているのである。
それに比べて日本人は約六〇グラムである。肉に関しては、アメリカが一日に約三〇〇グラム、日本は七八グラムである。
~中略~
つまり肉は摂りすぎるのはよくないが、摂らなさすぎも問題がある。
「菜食主義がいい」「年よりは魚だ」などと、決めつけて食生活が偏ってしまうのはかえってまずい、ということだ。
和田 秀樹 (著)
祥伝社 (2006/10)
P123
P44
老人は人間の最大の人権の一つを失う。老人は対等なものからもはや批判されない。
(「格言と反省」から)
P48
人は子どもを大目に見るように、老人を大目に見る。
(「格言と反省」から)
ゲーテ格言集
ゲーテ (著), 高橋 健二 (翻訳)
新潮社; 改版 (1952/6/27)
P62
高齢になると、人の役に立っている実感が得られなくなる、ということがわかっています。1)
見る・聞く能力が落ちる上に体を動かす能力も十分でないため、周りのサポートを必要とするからです。
特にそれまで主婦として支えてきた、仕事で家を支えてきた、という自負があるひとほど、今の状況に満足できません。
あなたも「仕事も家事もしなくていい」と言われたら最初は嬉しいかもしれませんが、何だか満たされない思いにならないでしょうか?満足できない高齢者は自分が否定されている気がして、「死ねばいいと思っているだろう」「早く死にたい」などと言ってしまいます。
P67
特に注意が必要なのは、家族の死別で環境が変わった時です。高齢であるために、夫ないし妻に先立たれます。老夫婦が同時に亡くなることは事故でもない限りないので、家族がいても、ほぼ確実に独り身・1人暮らしの時期がやってきます。そして1年以内、特に6か月程度では残された高齢者は死亡率が40%上昇します。4)
つまり死別後の1年間は、周りはそんなに忙しくてもこまめに連絡をとって様子を確認したほうがいいのです。配偶者との死別により、鬱状態になる人が多きことも覚えておいてください。
残された側が男性だと要注意です。男性のほうがより危険であることがわかっており、鬱にならなくてもお酒におぼれてアルコール中毒になる確率も上がります。
老人の取扱説明書
平松 類 (著)
SBクリエイティブ (2017/9/6)
P133
ある茶人が言っていたことですが、歳をとったら、何か人前に身をさらす稽古事をするといいと。
人前で芸をするなどして、人の視線にさらされると、いやでも身だしなみ、立ち居ふるまいに神経を使うようになる、ということなのでしょう。 その緊張感が心身によい影響を与えるのだと思います。
P158
いまの時代、ひと昔前の日本の社会と違い、老人世代は尊敬されるどころか、若い世代からは嫌われる存在になってしまっています。
たとえば、加齢臭という言葉がテレビのCMで、平気で流れるということ自体、嫌老社会の一端をあらわしているのではないでしょうか。
そんな社会の中で、嫌われる勇気をもつということは、孤立を恐れない自覚ではないでしょうか。自分自身の内なる声に、忠実に生きて行動し、若い世代の顔色を見たり、阿(おもね)ったりしないということです。
同世代に対しては、これまでのような、慣れあい的な世間付きあいを遠慮する。自分がどうしても、出席したい、行きたいと望まないかぎり、冠婚葬祭から身を引く。
百歳人生を生きるヒント
五木 寛之 (著)
日本経済新聞出版社 (2017/12/21)
一 人生は一日一日と費やされて行き、あますところ次第に少なくなって行く。それのみかつぎのことも考慮に入れなくてはいけない。
すなわちたとえある人の寿命が延びても、その人の知力が将来も変わりなく事物の理解に適し、神的および人間的な事柄に関する知識(1)を追求する観照に適するかどうか不明である。
なぜならば、もうろくし始めると、呼吸(2)、消化、表象、衝動、その他あらゆる類似の機能(3)は失われないが、自分自身をうまく用いうること、義務の一つ一つを明確に弁別すること(4)、現象を分析すること(5)、すでに人生を去るべきときではないかどうかを判断すること(6)、その他すべてこのようによく訓練された推理力を必要とする事柄を処理する能力は真先に消滅してしまう。
したがって我々は急がなくてはならない、それは単に時々刻々死に近づくからだけでなく、物事に対する洞察力や注意力が死ぬ前にすでに働かなくなってくるからである。
マルクス・アウレーリウス 自省録
神谷 美恵子 (著)
岩波書店 (2007/2/16)
P35
0 件のコメント:
コメントを投稿