奸を鋤( す )き倖を杜( ふさ )ぐは、他( かれ )に一条の去路を放つを要す。
若しこれをして一も容( い )るる所なからしめば、譬( たと )えば鼠穴( そけつ )を塞ぐものの如し。
一切の去路都( すべ )て塞ぎ尽くせば、則ち一切の好物倶( とも )に咬み破られん。
洪自誠
守屋 洋 ( 著 ), 守屋淳 ( 著 )
菜根譚の名言 ベスト100
PHP研究所 (2007/7/14)
P177
有害な人間を排除するにしても、逃げ道だけは残しておかなければならない。
逃げ道まで奪ってしまうのは、ネズミの穴をふさいで退路を絶つようなものだ。
それでは、大切なものまでかじりつくされてしまう。
問題は自分の意図を理解してもらえなかった場合にこのようなコミュニケーションは多くは最後は攻撃的になって主張を通そうとするか、主張は引っ込めるけれども復讐的になって終わることが多いことです。
アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために
岸見 一郎 (著)
KKベストセラーズ (1999/09)
P166
アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)
- 作者: 岸見 一郎
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 1999/09/01
- メディア: 新書
水俣病を検証した「水俣病の科学」(西村肇/岡本達明著 日本評論社)という本があります。
あの本が出版されたのは、水俣病の発生後ずいぶんたってからですが(二〇〇一年)、それは、チッソ側の隠蔽や資料の不十分さによってなかなか明確にはできなかったところがあったからでしょう。
~中略~
養老 中立の機関にやってもらうとか言ったって、調査されるほうからしたらとにかく責任を追及されれば少しでも自分の罪を軽くしようとしてどうしても隠す方向に動く。
ほんとうに正確な情報を集めるには、むしろ責任を免じてやったほうがいいのではないか。
日本の将来がかかっているし、世界中が見ているわけだから。
養老 孟司
ほんとうの復興
池田 清彦 (著), 養老 孟司 (著)
新潮社 (2011/06)
P130
先生がいわれた。
「腕に自信のある人間が、貧乏な生活に甘んじられないときっと反乱を起こす。しかし、人道にそむいた人間もあまり正面から憎悪すると反乱をおこすにちがいない」
*孔子の時代は前にも述べたように乱世であった。孔子は各国で内乱の現実にぶつかっているので、その経験から反乱がどうしておこるかを述べたのである。腕力があって、道徳心のないものが反乱をおこす。
肉体力と精神との不調和な人が、もし恵まれないとその人間を反乱におもむかせる。そういう悪人をあまり憎むと、また反乱に追いこむことになりかねない。
孔子は政治家としては、なかなかの現実主義者で、けっして一遍の道徳家ではなかった。
論語
孔子 (著), 貝塚 茂樹
中央公論新社 (1973/07)
P221
なぜ嫌なのかを聞いたとしても、嫌だから嫌なのだと、いわゆる「子どもの理屈」をいわれたら、なすすべき術はなくなる。
理由と結論が同じであるから、問答無用といって、これ以上のはたらきかけを拒絶する姿勢である。論理を入りこませる隙がないように防壁を張り巡らされた状況だ。したがって、そのような態度をとるところまで、相手を追いつめてはいけない。
論理を張るにしても、説得や交渉という相手の同意を引き出すのが目的の場合は、完璧を期してはいけない。議論をして議論に勝つのが目的でない点を忘れないことだ。
~中略~
したがって、実際の説得や交渉の場で、最初から終わりまでディベートの手法を使うのは間違っている。実際の場では議論で相手を負かしただけでは何ら意味もない。
議論に勝っても説得や交渉が成立しなかったら、結果的には双方ともに「負け」である。
山崎 武也 (著)
講談社 (2003/11)
P206
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