孔先生がいわれた。
「君子には守るべき三つの戒めがある。年少の頃は血気がまだ安定していない、戒めは異性関係にある。 壮年になると血気が盛んになる、戒めは闘争好きにある。老年になると血気はすでに衰える、戒めは欲張りにある」
李氏篇
論語
孔子 (著), 貝塚 茂樹
中央公論新社 (1973/07)
P473
P473
孔先生がいわれた。
「君子に三種の敬虔さが要求される。天命にたいして敬虔であり、大人にたいして敬虔であり、賢人のことばにたいして敬虔であるということである。
小人は天命を解しないのでこれに敬虔でなく、大人になれてずうずうしくなり、聖人のことばを軽視する」
~中略~
*日本人は無宗教であるといわれる。そのことは、人間を超越するものを信ぜず、敬虔の感情を持たないということである。
中国のかつての支配者は、天にたいして敬虔であった。西洋の支配者は神にたいして敬虔であった。日本の現代の支配者は自分より強い権力者は恐れるが、それだけで、敬虔の感情を持たない。私はこういう権力者の感情と行動にたいしてあわれみを感じる。
李氏篇
天下国家の主君(しゅくん)たるもの、平治(へいじ)を欲(ほつ)せずと云(いう)ことなし。然(しか)りといえども、愛敬(あいけい)の徳の天下国家を治める大根本(だいこんぽん)なることを弁(わきま)えず。
是(ここ)を以(もつて)殺罰(さつばつ)のことを以て天下国家を治めんとす。終(つい)に亦(また)亡びざるは鮮(すくな)し。 (「中庸続解」)
中江藤樹 人生百訓
中江 彰 (著)
致知出版社 (2007/6/1)
P196
<君子>君は群に通じ、子は尊称で、朝廷の会議に参列できる貴族たちの総称が原義である。
周から春秋時代にかけては、これら貴族にふさわしい教養、品位のことをさすようになる。これを「紳士」とか「お人柄」「人物」と訳する。
春秋末期の下級氏族出身の孔子は、この貴族的な理想を一般化し、貴族に代わる新興知識階級のための新しい理想の人間像を形成した。
この意味の「君子は」、「学者」「人格者」「求道者」などと訳する。場合によってニュアンスがちがい、いろいろな訳語をつかわねばならないので、君子の語を訳さずにそのままでつかうことが多い。
学而篇
論語
孔子 (著), 貝塚 茂樹
中央公論新社 (1973/07
P9
「論語」のなかでは「君子」ということばが、さんざん使われている。「君子人カ、君子人ナリ」といったように、孔子のえがいた理想的哲人を現す語であったようである。しかし、「論語」は政治哲学の匂いが濃い。
したがって「君子ハカクアルベシ」と孔子がいう場合、ズバリいえば「役人はカクアルベシ」ということなのだ。
美称でいえば牧民者、実質的には中国の古代サラリーマンの倫理要綱であり、処世術なのであだ。
だからこそ「君子、アヤウキニチカヨラズ」などと、まるで卑俗な明哲保身の術を教えているのである。
司馬遼太郎が考えたこと〈1〉エッセイ1953.10~1961.10
司馬遼太郎 (著)
新潮社 (2004/12/22)
P67
司馬遼太郎が考えたこと〈1〉エッセイ1953.10~1961.10 (新潮文庫)
- 作者: 遼太郎, 司馬
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/12/22
- メディア: 文庫
「孟子」(梁恵王上篇)、は「恒産(こうさん)(一定の財産)がなくても恒心(こうしん)(心の安定)を失わないのは、君子だけだ」(恒産無くして恒心有るは、惟(これ)士のみ能と為す)といっている。
石田梅岩『都鄙問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ14)
石田梅岩 (著), 城島明彦 (翻訳)
致知出版社 (2016/9/29)
P150
石田梅岩『都鄙問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ14)
- 出版社/メーカー: 致知出版社
- 発売日: 2016/09/29
- メディア: 単行本
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