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乾皮症とは、皮膚が乾燥してガサガサになったり、ウロコのようになったりして、ポロポロと剥がれてくる病気で、これも強いかゆみをともなう。特に高齢者に多い病気であり、ほかに軽症のアトピーとも関係するが、ここでは話を単純にするために炎症を伴わない乾燥肌、乾皮症に限って話をすすめよう。
まずメカニズムについて。これは皮膚の乾燥が発端になる。原因は、「冬場コタツに入ったりストーブになたったりしたことで乾燥させてしまった」「石鹸の使いすぎで皮膚のバリアを落としすぎてしまった」「アカスリをして皮膚のバリアを自分で壊してしまった」などである。
こうして皮膚のバリアが剥がれ落ちて乾燥が進むと、九一ページで述べたように、NGFが出て、本来は真皮と表皮の境界部になる知覚神経の末端が、表皮の中まで伸びてくる。皮膚のバリアが失われたことで、危険を察知し、外部に対して探知機を出すのだ。
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冬場に乾燥する最大の理由は、「気温が低下することで血流が皮膚の表面に来なくなるから」なのである。
寒くなると体温を逃がさぬよう皮膚の血管が収縮するため、血流が減る。血液という水分が来ていないのだ。
だから冬に乾燥するのは、湿度の問題だけではなく、気温による影響が大きいということだ。冬場は保湿を心がけてほしい。
また年齢が上がれば、皮膚の保湿力は若い頃と比べて弱くなり、乾燥しやすくなる。石鹸も若い頃と同じように使っていては、当然乾燥するわけだ。
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ここで皮膚がデリケートな人におすすめの入浴法を紹介しておく。
たとえば男性なら、毎朝か夜かシャワーを浴びるか湯船に浸かる。髪の毛は毎日洗うが、髪が短ければシャンプーはごく少量でいい。
洗顔料は頭についたシャンプーがそのまま流れ落ちていくだけでも十分だが、においのある汗の出る股間や腋が気になれば、少量の低刺戟の石鹸を泡立てて軽く洗う。もちろんタオルも何も使う必要はない。
髪が短ければリンスも不要だろう。また、入浴後に男性化粧水などつける必要もない。
もちろん女性の場合は、そこまで簡単にはいかないかもしれない。
しかし、シャンプーの回数や量を減らす、洗浄力の強いボディーソープをあまり使わないようにするなど、長期的に見て皮膚のバリアをできるだけ傷つけない洗い方をおすすめした。
なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池 新(著)
PHP研究所 (2014/10/16)
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